デスクトップパソコンと言ったら大きく分けて二種類あるかと思います。一つはタワー型で、本体がボックスになっているもので、もう一つはディスプレイまで本体についている「一体型パソコン」です。
どちらも机上型パソコンですので「デスクトップパソコン」と言えますが、実は一体型パソコンはデスクトップパソコンとは異なる部分がたくさんあります。 そしてその分、選ぶときに注意すべきことがたくさんあります。 この記事では一体型パソコンを購入する時に気を付けたいことを6選紹介していきます。気を付けたいことというか、留意しておくべき点になります。
この記事を2文で説明すると
- 一体型パソコンはデスクトップパソコンよりはノートパソコンに近い仕様
- 重たい処理を行う人は、一体型パソコンはあまり向いていない
一体型パソコンとは?
BableTechの伝統文化になりますが、まず最初に「そもそも一体型パソコンとは何なのか?」について説明していきます。
これにつきましては以前の記事でも説明しましたが、サイト開設初期に投稿した記事ですので少し見にくくなっているかもしれませんので改めて説明します。
マウス・キーボードを用意すれば使えるパソコン

こちらは前私が使っていたDellの一体型パソコンになりますが、ご覧の通りマウスとキーボードだけ接続されています。本体に処理装置、記憶装置、ディスプレイ、スピーカーがすべてついていますので、タワー型パソコンのように周辺機器をごちゃごちゃとつけずに済みます。

タワー型では本体(箱状のもの)がかさばる上に、モニターを自分で用意しなければなりません。そしてスピーカーについても本体に内蔵されていないので自分で用意する必要があります(中には内蔵されているものもあります)
そのため、一体型パソコンは設置が非常に楽になっています。また、モニターとの相性問題について考える必要が無いので、初心者でも安心です。
一体型パソコン購入時の注意点
それでは早速一体型パソコンを購入する時の注意点について説明していきます。
1.処理性能
まず最初に処理性能についてです。
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パソコンにはCPUと呼ばれる中央処理装置が搭載されていますが、実は多くの一体型パソコンではノートパソコン用のCPUが利用されています。というのも、ボディが小さく薄型な上に冷却性能もあまりありませんので、ノートパソコン向けの消費電力の少なくて性能の低いCPUを採用せざるを得ないわけです。
中にはデスクトップパソコン用のCPUを搭載しているものもありますが、その多くはデスクトップパソコン用の超省電力モデルCPUとなっていて、性能が抑えられています。
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例えばこの人気一体型パソコンにはIntel第7世代の「Core i7-7700HQ」という高性能モバイル向けのCPUが搭載されています。「HQ」シリーズということでノートパソコン性能としては非常に高めになっていますが、実は同世代のデスクトップ向けCPUと比較すると案外性能が低めになっていたりします。
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こちらは同世代のデスクトップ向けCPUと比較したものになります。Core i7-7700HQが一般的なデスクトップ向けのCore i7-7700よりも低性能になっていることがわかります。 また、省電力デスクトップ向けの「Core i7-7700T」についても低めになっています。
一体型パソコンではこの低めの2シリーズが搭載されることが多いです。もちろんモバイル向けとは言えども優秀なものは優秀です。しかしどうしてもデスクトップ向けと同じような性能を発揮しようとしたらタワー型パソコンよりもコストがかかってしまいます。 そのため、同価格帯で比べると一体型パソコンの方が比較的性能が低めです。なので一体型パソコンの性能についてはノートパソコンと同じだとおさえておきましょう。注意点というよりは留意点といった感じです。
ただ、そんな中Appleの一体型パソコン「iMac」では堂々とタワー型デスクトップパソコン向けCPUが採用されているので、非常に高性能です。
また、一体型パソコンではボディが小さい上に、この後詳しく説明しますが拡張性に乏しいので、パソコンゲームで重要になってくる「グラフィックボード」が搭載されていないことが多いです。 そのため、多くの一体型パソコンはゲーム性能もかなり低めになっています。
2.スピーカー
これは私が実際にDellの一体型パソコンを購入して思ったことですが、「一体型」という割にはスピーカーがチャチくて、外付けスピーカーが欲しいレベルでした。 中にはこだわりにこだわったスピーカーを搭載しているものもありますが、基本的にはおまけ程度のものと考えておいた方が良さそうです。
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この一体型パソコンなんかはものすごく大きなスピーカーが付属していますので相当音質が良いことでしょう。 ただ、逆にこのようなスピーカーを搭載している一体型パソコン以外については基本的にチャチいです。
iMac内蔵のスピーカーは一体型としては非常に優秀な方ですが、それでも総合的な音質は2,000円くらいのスピーカーとさして変わりません。そのため、音楽などを聴きたい人は別でスピーカーを用意するようにしましょう。
イメージで言うとノートパソコンのスピーカーみたいなものです。
3.ディスプレイ
一体型パソコンはモニターのような見た目となっているのでディスプレイとしても使えるのではないかと期待してしまいますが、多くの一体型パソコンはパソコンのディスプレイとしてしか利用することができません。
そのため、一体型パソコンをもう使わなくなったからと言ってディスプレイにすることはできない(ことが多い)ですし、ノートパソコンのサブディスプレイにすることもできない場合が多いです。
もちろん中にはモニターとして使うことができるものもありますが、そういった一体型パソコンは他の機能も充実しすぎていて、高いイメージです。
4.騒音
一体型パソコンの処理装置はすべてディスプレイの裏に格納されています。処理装置は多くの熱を発するので、冷却するためのファンが必須になってきます。
そこでどうしても冷却ファンの音が耳元まで届いてしまいがちです。タワー型デスクトップパソコンも冷却ファンは内蔵されていますが、多くの場合耳の近くには置かないので音に困ることはあまりありませんが、やはりディスプレイの後ろで回転するともなると冷却ファンの音が気になることが多いです。
加えて、ノートパソコンより大きめのファンを搭載していることが多いのでノートパソコンよりもうるさいことがあります。これは私の実体験になります。
冷却ファンの音を抑えるためにもモバイル向けの低性能なCPUが使われているっていうのもありますね。
ちなみにiMacについてもアイドル時はそこまで気にならないものの、重たい処理を行うと普通に気になることがあります。
そのため、音に敏感な人はレビュー等をしっかり見て静かなものを購入した方が良いですし、あまり重すぎる処理は行わない方が無難です。
5.拡張性
タワー型デスクトップパソコンでは、多くの場合、換装・増設しやすいメインメモリやストレージが採用されています。また、本体を開けるのも比較的容易で、初心者でも簡単にスペックアップすることができる傾向にあります。
しかし多くの一体型パソコンはノートパソコン向けの基盤を利用していますので、当然ながらメインメモリやストレージなどについてもノートパソコン向けのものが採用されることが多いです。ノートパソコン向けのパーツはデスクトップ向けに比べると増設等が比較的難しくなっている上に、細かい作業が必要になることが多いです。 また、中にはメインメモリ等が埋め込まれていて一切増設できない一体型パソコンもあります。
そのため、将来的にメインメモリやストレージの増設を考えている人はタワー型にするか、とにかくオプションを上げまくるかにした方が良いと思います。
また、ほぼすべての一体型パソコンはグラフィックボードを取り付けるための「PCI-express x16スロット」を保有していませんので、市場で売られているグラフィックボードを取り付けて最新のゲームを快適にプレイ、なんてことは難しくなってきます。 ただ、中にはグラフィックボードが最初から埋め込まれている一体型パソコンもありますので、もしもゲームがしたいならそのようなパソコンを選ぶようにしましょう。
総合して言うと、重たい処理を行う人はあまり一体型パソコンに向いていないということになります。一体型パソコンはデスクトップパソコンというよりはノートパソコンよりです。
ただしAppleのiMac及びiMac Proについては一体型パソコンでありながら高性能CPU、それから高性能グラフィックボードを搭載しているものが多いのですので、通常のタワー型デスクトップパソコン並みの性能を発揮できます。