先日Appleの発表会で発表された「iPhone11」では、「Wi-Fi 6」という通信規格がサポートされています。他にも、この「Wi-Fi 6」へのサポートを謳う製品は増えてきているわけですが、Wi-Fi 6を使えばどんなことが便利になるのでしょうか。この記事ではWi-Fi 6を利用することによって便利になることを紹介していきます。
目次
そもそもWi-Fi 6とは?どのような仕様なのか
最初に、そもそもWi-Fi 6とはなんなのかについて説明します。
Wi-Fi 6は第6世代目のWi-Fi規格です。
最近になって急に世の中で「Wi-Fi 6」と騒がれていますが、じゃあ「Wi-Fi 5」はあったのかという話ですよね。
結論を言うと、Wi-Fi 5もありました。ただし違う呼ばれ方をしていただけです。
Wi-Fi 6の「6」は世代数を表すものであり、つまりは6世代目であることを示します。そして別名では「IEEE 802.11ax」です。このような表記だったら見覚えがある人もいるのではないでしょうか。
んで、なんで急に世代数で呼ばれるようになったのかと言うと、深い意味はありません。なんかかっこよかったからですね。
以下に、これまでの世代のWi-Fiの名前と性能を示します。
Wi-Fiの種類別性能
世代 | 規格 | 策定時期 | 最大通信速度 |
---|---|---|---|
1 | IEEE 802.11 | 1997年6月 | 2Mbps |
2 | IEEE 802.11a | 1999年10月 | 54Mbps |
IEEE 802.11b | 1999年10月 | 11Mbps / 22Mbps | |
3 | IEEE 802.11g | 2003年6月 | 54Mbps |
IEEE 802.11j | 2004年12月 | 54Mbps | |
4 | IEEE 802.11n | 2009年9月 | 65Mbps – 600Mbps |
5 | IEEE 802.11ac | 2014年1月 | 292.5Mbps – 6.93Gbps |
IEEE 802.11ad | 2013年1月 | 4.6Gbps – 6.8Gbps | |
6 | IEEE 802.11ax | 2019年後半 | 9.6Gbps |
このようになっています。各世代に1つの規格があるわけではなく、非常にややこしいのですが、たぶん有名なのは「n/ac」あたりだと思います。
Wi-Fiがかなり広く使われるようになったのもこの時期です。
そして、今でも802.11n規格の通信は広く使われていますし、あまり速度の不足感は感じないでしょう。
今回、Wi-Fi 6と呼ばれているのは一番下のもので、最大通信速度(公称)は「9.6Gbps」となっています。これは、1秒間に9600000000bitの通信が行えるということで、わかりやすく言うと、およそ1.2GB/秒の通信です。
だいたい一本の映画を2秒で転送することができるということになりますね。そう考えると非常に高速であることがわかると思います。
そして策定されるのは今年の後半となります。
Wi-Fi 6が普及していく世の中
そして今、Wi-Fi 6は世界中に広まろうとしています。
というか、世の中に広まらないと意味がないんですよね。一回の通信を行うときに、全てにおいてWi-Fi 6の通信を行わないとボトルネックになってしまい、結局活かすことができません。
また、Wi-Fi 6をサポートしている「iPhone 11」を家で使おうとしても、家にあるルーターがWi-Fi 6をサポートしていないと結局ボトルネックになってしまいます。ただし、互換性があるので普通に使うことはできます。
何が言いたいかと言うと、これから説明する「Wi-Fi 6で便利になること」というのは、ボトルネックが起きなかったらの話になるということです。
それを考えるとWi-Fi 6を有効活用するまでに結構な時間がかかりそうですよね。
ちなみに今話題になっている通信方法として「5G」というものもありますが、こちらについてはWi-Fi 6よりも高速な通信を行うことができるので、いかなるボトルネックも発生させない仕様になっています。
(Wi-Fi 6をサポートしているASUSのルーター。しかしまだWi-Fi 6の認証はされておらず、速度としても完全には活かしきれなさそう。というか高い。)
Wi-Fi 6を使うことによって便利になること
それでは便利になる・できるようになるであろうことを紹介します。
1、無線LANが有線LANに取って代われる
まずは、有線LANケーブルがあまり使われなくなり、ほぼすべてのパソコンが無線LANによるWi-Fi接続を行うことになるでしょう。
通信速度においてはWi-Fi 6の登場で両者に大きな違いはありません(むしろWi-Fiの方が速いまである) し、Wi-Fiにすると物理的に接続しなくても良い分、取り付けが楽になります。
それに、オフィス等でたくさんのパソコンをネットに繋ぐことになったらどうでしょうか。有線LANではたくさんのケーブルが必要で、それを挿すためにハブを用意しなければいけませんが、無線LAN接続をすれば何台パソコンが増えようが、設置が楽になります。
このようなことはもう既に多くの会社で実装されているかとは思いますが、Wi-Fi 6ではたくさんのパソコンを一度に接続する能力がより高くなっています。
つまりは、Wi-Fi 6に対応したルーターを使えば何十台のパソコンにでも安定し、かつ高速なネットワーク接続を提供することができるのです。
それだったらもう有線LANは必要なくなりますよね
2、大きいサイズのファイル移動もWi-Fiで
ある程度広いオフィスになると、「共有フォルダ」というものを作っているところが多いかと思います。
共有フォルダへアクセスするにはローカルネットワークを使うわけですが、そこで従来のWi-Fiでは大きいサイズのファイルを移動する時にそこそこ時間がかかってしまいます。
でもWi-Fi 6であれば、最大およそ10Gbpsのデータ通信速度なので、USB 3.0(USB 3.1 gen1)の通信速度どころか、USB 3.1(USB 3.1 gen2)の速度とほぼ同じということになります。
つまりは、USB接続のフラッシュメモリと同じくらい高速でデータ転送を行うことができるということで、Wi-Fiを使ったファイル共有をストレスなく行うことができるでしょう。
また、HDDの通信速度(いっても3Gbps)どころか、パソコンにSATAケーブル接続で取り付けているSSDの通信速度(6Gbps)をも超えることができるため、ローカルネットワークを通じてパソコンを使っても何も支障がなさそうです。

少しわかりにくいかもしれませんが、このようなイメージです。
もはやパソコン本体にドライブを持たなくても済むということですね。この場合、パソコンそれぞれにローカルなデータが残らないため、どのパソコンを使っても自分のユーザーを使うことができるということになり、非常に便利です。
というようなことは、これまででも可能でしたが、Wi-Fi 6によってより安定し、かつ高速にできるようになったという感じです。
便利になること・できるようになることといったらこれくらいでしょうか。
Wi-Fi 6の特徴として、速くなった通信速度以外にも「省電力性」や「遅延の削減」などがありますが、正直そこまで体感できないと思います。
それに、Wi-Fi 6を使う人はごく一部でしょう。数年後にはもう世界中で普及しているかもしれませんが、本当に行かせているのかは謎です。
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