パソコン、特にノートパソコンを使っているときに「もう少しUSB端子が多ければ便利なのに」と思ったことはありませんか。それもそのはず、ノートパソコンは端子が少ない代わりに小型でいられるのです。 でも家の中で作業する時には「小型」よりも「作業性」の方が重要です。
そんな時に活躍するのが「ドッキングステーション」と呼ばれる装置です。
この記事ではドッキングステーションとは何なのか? から正しい選び方まで紹介していきます。
この記事を2文で説明すると
- ドッキングステーションとは、あらゆる機能を持ち、ノートパソコンをデスクトップパソコンのようにすることができる装置
- 様々な機能があるが、中には条件があるものもあるため選ぶ際には注意が必要
ドッキングステーションとは?
まず最初に、そもそもドッキングステーションとは何なのかについて説明します。
パソコンとドッキングするステーション
文字通りなのですが、ドッキングステーションとはパソコンとドッキングするステーションです(笑) ドッキングというのは「合体」という意味があります。そしてステーションと言ったら「駅」という意味が浮かぶと思いますが、実際にドッキングステーションはパソコンにとっての駅になってくれます。
つまりいろんな機器と接続することができるのです。 ドッキングステーションには豊富なUSB端子、イーサネット端子などが搭載されていることが多く、ものによっては映像出力端子まで搭載されています。そしてこのドッキングステーション自体をパソコンに接続することによってそれらの端子を使うことができるのです。

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もちろんものによりますが、ドッキングステーションを利用することによってあらゆる周辺機器と接続できるようになります。
パソコンの端子を増やすことができるだけでなく、ドッキングステーションにいつも使う周辺機器を接続しておけば、ドッキングステーションとパソコンを一本のケーブルでつなぐだけですぐにすべての周辺機器にアクセスできるようになります。
例えば外出先では使わない大きめのモニターや外付けキーボード、スピーカーなんかも、家に帰ってから一本のケーブルでつなぐだけで使えるようになるのです。このようにドッキングステーションはノートパソコンをデスクトップパソコンのようにすることができます。
また、最新技術を使えばドッキングステーションからノートパソコン本体を充電することだってできます。
USBハブとの違い
似たようなものとして「USBハブ」があります。あれは一つのUSB端子を複数のUSB端子に増やすための装置です。最近ではUSB端子の他にも、オーディオ端子や映像出力端子まで備えているものもUSBハブと呼ばれていたりします。
そのためドッキングステーションとの明確な違いを説明するのは難しいですが、比較的ドッキングステーションの方が多機能で、補助電源が必要になるものが多く家で使われることが多いです。 対してUSBハブは補助電源要らずのものが多く、外出先で気軽に使える場合が多いです。
ただし先ほどから説明している通り、ものによって機能や大きさ、特徴などは変わってきますので用途に合わせて選ぶ必要があります。
ドッキングステーションの選び方
それではドッキングステーションについて軽く説明したところで、選び方について説明していきます。 ドッキングステーションの選び方というのは非常に簡単で、以下の二つを意識すれば良いだけです。
- ホストデバイスとの相性
- 用途
ドッキングステーションはホストデバイス(パソコン等)に接続することによってその機能を使うことができますから、ホストデバイスとの相性は重要になってきます。 ドッキングステーション自体に欲しい機能があっても、ホストデバイスとの相性が悪ければその機能を使うことは難しくなってきます。
また、当然ですが自分がドッキングステーションで何をしたいのか(用途)についても意識する必要があります。 様々な機能を持つものがありますので、人によって最適なドッキングステーションは様々です。 ということでここではホストデバイスとの接続と機能の二つに分けて説明していきます。
ホストデバイスとの接続
USB Type-A
ホストデバイスとの接続については最も主流なものが「USB Type-A」によるものです。

おそらく誰もが見たことあるのではないかと思います。最新のパソコンだと搭載されていないものもありますが、多くのパソコンがこの端子を備えているでしょう。そのため、USB Type-A接続のドッキングステーションは無難です。
ただしドッキングステーションは多機能な分、ホストデバイスとの高速通信が必要となるケースが多いです。そのためType-Aの中でも「USB 3.0接続」ができるものが推奨されています。(USB 3.0接続ができるものの多くは上の画像のように端子が青色になっている)
基本的にUSB通信は下位互換性がありますのでUSB 2.0でも使える場合が多いですが、この後紹介する「映像出力機能」等を使いたい場合はUSB 3.0接続が必須です。
USB Type-A接続を採用しているドッキングステーションとしては以下のような商品があります。
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USB Type-A端子接続のものはこの後紹介する「Thunderbolt接続」等と比べて機能が限られている場合が多いため、比較的安価です。
この商品ではホストデバイスとはUSB Type-A 3.0で接続し、ドッキングステーション本体とはUSB Type-B 3.0で接続されています。そして補助電源が必要です。
USB Type-A接続で利用できる機能(補助電源あり)
- USB 3.0 / 2.0
- 映像出力(この後詳しく解説)
- オーディオ入出力
- イーサネット端子
- 充電
などです。もちろん商品によって異なりますが、USB端子を通じて接続できるもの(オーディオ系、イーサネット端子等)は基本利用できます。
USB Type-C
続いては今流行りだしているUSB Type-C接続を利用しているドッキングステーションについてです。

USB Type-CはType-Aと形状が異なるだけでなく、ピンの配置や個数が変わったことからUSB以外の機能もサポートすることができます。
ただし注意が必要で、すべてのパソコンでUSB Type-Cのあらゆる機能をサポートしているとは限らないです。 USB Type-C接続のドッキングステーションの多くに映像出力をサポートしているものがありますが、それはUSB Type-Cの「Display Port」という機能を使っていることが多いです。その場合、ホストデバイスのUSB Type-C端子で「Display Port通信」や「Thunderbol 3通信」をサポートしている必要があります。 映像出力については後程詳しく説明します。
USB Type-C接続を採用しているドッキングステーションとしては以下のような商品があります。
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USB Type-C接続のドッキングステーションについてはType-A接続よりも多機能なことが多く、比較的高価です。 上の商品では入力はUSB Type-C端子となっています。
そしてこのドッキングステーションをフル活用するには、ホストデバイスのUSB Type-Cで「Display Port」及び「USB PD充電」をサポートしている必要があるとのことです。 両者ともサポートすると最大で3画面の映像を出力することができる上、ホストデバイスを最大60Wで充電(USB Type-Cケーブル経由で)することができます。
これはUSB Type-C接続ならではの機能です。ただしDisplay Port及びUSB PDをホストデバイスがサポートしていないと、Type-A接続以上の機能は使えません。
USB Type-C接続で利用できる機能(補助電源あり)
- USB Type-Aでできる通信
- ホストデバイスの充電(USB PD)
- 映像出力(USB Type-CのAlt Mode:Display Port利用)
- より高速な通信(Thunderbolt 3利用)
などがありますが、ドッキングステーションがサポートしている必要がある上に、下3つはホストデバイス側でサポートしている必要があります。
映像出力はUSB Type-Aでもできるだろという話ですが、詳しいことはこの後説明します。
機能
それでは続いて、ドッキングステーションに搭載される主な機能について説明していきます。以下の中から自分が欲しい機能を見つけて、その機能を搭載しているドッキングステーションを選びましょう。
ただし中には条件を満たしていないと利用できない機能もあるので要注意です。
USB 2.0 / 3.0通信
ドッキングステーションの基本の機能です。

USB通信では様々な周辺機器を取り付けることができます。多くのキーボードやマウス、プリンターなどがUSB通信を採用していますし、USBメモリもこの通信で利用できます。
このような周辺機器を接続するだけで良いという人はUSB Type-A接続のものがおすすめです。ほとんどのドッキングステーションがサポートしているでしょう。
充電
ほとんどのドッキングステーションは補助電源としてコンセントに接続するので、スマートフォン等の充電を行うことができます。

ただUSBを並列につないでいるUSBハブ等だとうまく充電できないことがありますが、補助電源に接続しているドッキングステーションではすべての端子でしっかりと充電が行えることが多いです。
また、USB通信による一般的な5W充電に加えて、急速充電(10W等)をサポートしていることもしばしばあります。加えて、USB Type-CがついていてUSB PDによる充電(最大100W)をサポートしているものもあります。この場合はホストデバイスでUSB PDをサポートしている必要はありません。
そして、USB Type-C接続のドッキングステーションだと、USB PD(Power Delivery)を利用してホストデバイス自体を充電することができるものもあります。ただしこの場合はホストデバイスがUSB PDをサポートしている必要があります。一例としてはAppleのMacBookシリーズはサポートしていますね。
オーディオ
これはUSB通信の機能に含まれますが、3.5mmのヘッドフォン(イヤホン)ジャックを搭載しているドッキングステーションもあります。

この場合はパソコンからの音声データをUSB通信用に圧縮(パケット化)し、そのデータをドッキングステーション内で処理している、すなわちドッキングステーション自体にサウンドチップが搭載されていることが多いですので、ホストデバイス本体に搭載されているサウンドカード等を使うことができない場合が多いです。
特にこだわらない人は良いと思いますが、サウンドにこだわりがあり、ホストデバイス本体に外付けのサウンドカード等を取り付けている人は要注意です。
イーサネット
こちらもUSB通信の機能に含まれますが、イーサネット端子を搭載していて、有線LANを接続することができるドッキングステーションも多く存在します。

こちらもUSBコントローラーで処理される場合が多いのでギガビット級の超高速イーサネットが輝けることは少ないですが、Wi-Fiによるインターネット接続よりも高速かつ安定した通信を行うことができるでしょう。
ただしドッキングステーションに多くの機器を接続した状態で利用するとインターネット通信が安定しなかったり、逆に他の機器に影響を及ぼすことも考えられます。 そのためホストデバイスとの接続はUSB 3.0以上は欲しいです。
映像出力

続いては映像出力機能です。映像出力については主に二種類の手法があります。
- USB Type-CのAlt Mode接続(Thunderbolt 3 / Display Port)
- USB通信によるDisplayLinkの使用
前者はUSB Type-C接続かつ、Alt ModeとしてThunderbolt 3通信やDisplay Port通信をサポートしている必要があります。 そして後者はUSBコントローラーで制御できるのでAlt Modeをサポートしていなくても、USB Type-Aでも利用できます。
[dic term=”Alt_Mode”]
Alt Modeというのはピン数が多いUSB Type-C端子ならではの拡張機能です。
それではそれぞれ詳しく説明していきます。
Alt Mode接続
Alt Mode接続 | |
---|---|
ホストデバイスとの接続 | USB Type-C(Alt Mode要対応) |
最大出力* | 主に4K@30Hzまで |
遅延 | 非常に少ない |
CPU負荷 | ほぼない |
用途 | なんでもOK |
*商品やホストデバイスによる
結構万能なのがAlt Mode接続のものです。

映像処理はパソコン内部にあるGPUというパーツで行われます。そしてこのUSB Type-CのAlt Modeでは映像信号がそのままドッキングステーションまで伝わり、あらゆる端子に変換されつつモニターに出力することができます。
つまりパソコン本体にある映像出力端子に直接つないでいるときと全く変わりません。そのため遅延はほとんどなく、パソコン本体のGPUがしっかりしていればゲームを快適にプレイすることもできるでしょう。また、DisplayPort通信を行っているため他のUSB機器の通信速度にほとんど影響は出ないです。
もちろん商品によって異なりますが、だいたいこの通信では4K@30Hz x 1まで対応していることが多いです。1080p(FHD)であれば60Hzも対応していることが多いです。
どうしても遅延が許されない場合や、この後紹介する「DisplayLink」を用いる方法が適さない場合はこの機能が有用ですが、ホストデバイスとは必ずUSB Type-C接続でDisplay Port通信などのAlt Modeをサポートしている必要があるので敷居が高いです。
この機能をサポートしている製品は商品説明にしっかりと「USB Type-C接続かつDisplay Port通信をサポートする必要があります」というような事が書かれている場合が多いです。
DisplayLink通信
DisplayLink接続 | |
---|---|
ホストデバイスとの接続 | USB Type-A / Type-C(USB 3.0以上が好ましい) ※DisplayLinkを要サポート |
最大出力* | 主にFHD@60Hz x 2まで |
遅延 | そこそこある(0.05秒~数秒?) |
CPU負荷 | そこそこある |
用途 | 遅延しても構わないもの |
*商品やホストデバイスによる
USB通信で映像出力できる代わりに、複雑な仕組みを採用していることもあって遅延等が発生しやすかったり不安定だったりします。

仕組みとしては、まず最初にGPUで映像処理が行われます。そして処理された映像をそのまま出力するのではなく、一度CPU側で圧縮します。 この時にCPUに若干負荷がかかる上に遅延が発生します。
そして圧縮してUSB通信に最適化(パケット化)したらUSBコントローラーに送り、ドッキングステーションまでUSB通信を行います。
そしてドッキングステーションにて専用のチップでその情報を解凍し、映像信号に変換します。この時にも若干遅延が発生します。そしてモニターに映像を出力することができます。
ほとんどのデバイスでサポートされていますが、この機能はDisplayLinkとの相性が問われます。一部のパソコンでは動かなかったり大いに遅延が発生したり、MacBookでは拡張出力ができなかったり。
また、一度エンコードしていますので基本的にHDCPによる暗号化が行われている映像を出力することはできません。
[dic term=”HDCP”]
以上の事からゲームや拡張モニターなど遅延が許されないような場面よりも、モニターを複製したり動画鑑賞を行うなど、ある程度の遅延が許されるような場面の方が活躍できそうです。
また、USB Type-A接続でもUSB 3.0以上をサポートしていれば割と快適に利用できるので敷居が低いです。 ホストデバイスとUSB Type-A端子で接続し、映像出力をサポートしているドッキングステーションなら確実にこの方式を採用していますが、中にはUSB Type-Cでもこの方式を採用しているものもあります。
例えば、USB Type-Cでホストデバイスとつながり、Alt ModeのDisplay Portで1画面出力、加えてUSB通信でDisplayLinkを利用して2画面出力、合計3画面出力が可能になっているドッキングステーションなどがあります。
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先ほど紹介したこの商品なんかもそうですね。
ただしDisplayLinkによる通信ではUSB通信を使っていますので、他のUSBデバイスの通信速度に少なからず影響を及ぼすことがあります。そのため、パソコン本体に映像出力端子が余っているならそちらを優先して使いましょう。
まとめ
自分のパソコンに合った接続方法、それから自分が望む機能は見つかりましたでしょうか。
特に映像出力なんかは様々な条件がありますのでご注意ください。
商品を検索する時は、自分のパソコンに合った接続方法と望む機能をキーワードにすると良いでしょう。例えばUSB Type-A接続でモニター出力のついているドッキングステーションが欲しいときは
「USB Type-A モニター ドッキングステーション」
のように検索すると自分の欲しいものがすぐに見つかるかと思います。
おすすめのものについては以下の記事で紹介していますので是非ご覧ください。