シャープが公開した「巻き取れるディスプレイ」一体どんなことが便利になるの?【徹底解説】

投稿日:2019年11月18日
更新日:

先日、家電製品で有名な「シャープ」から新しいディスプレイが公開されました。

NHKと共同開発したディスプレイで、特筆すべき点は「巻き取ることができること」です。ディスプレイ全体が薄い紙のようになっていて、くるくると巻き取ることができます。この記事では、この「巻き取れるディスプレイ」で一体どんなことが便利になるのかを説明していきます。

 

この記事を2行で説明すると

  • シャープから、巻き取って収納することが可能30型4K@60fpsディスプレイが公開
  • ただ「かっこいい」だけではなく、災害時に役立つなど様々な実用性を見出すことができる

シャープが公開した「巻き取れるディスプレイ」の仕様

正直、「巻き取れる」といってもどこがどうなるのか想像がつかない… という人は以下の動画を見ていただければ一瞬でなにが言いたいのかわかると思います。

 

まず動画の最初の時点で「ディスプレイ」は無く、細長い箱しかありません。

しかし時間が経つと箱からシートのようなものがゆっくりと姿を表します。

そしてそこでは写真… ではなく美しい動画が再生されています。シートが上がりきった時の様子は完全にモニターのそれと等しいです。

そして同じような動きで巣箱に回収されていきます。

シートが姿を表していないときは背の低い長細い箱ですので、あまり目立ちません。シートに対して奥行きが少し広い印象がありますが、これは設計上やむを得ないのでしょう。ただ、シートの薄さはたったの0.5mm程度です。

箱からディスプレイを登場させるの自体すごいのに、その上とても薄くなっています。

 

そしてディスプレイ表示は「有機EL」を採用しています。

 

大きさは30型で、一般的な家庭用テレビより一回り小さいかもしれません。ですが解像度は4K(3,840×2,160)で、どんなに繊細な映像でも隅々くっきり映し出すことができます。

また、リフレッシュレートは60Hzですので、滑らかな映像表示を実現することができます。

 

しかもディスプレイ部(シート部)の重量はたったの100gなので、普通のスマートフォンよりも軽いです。

そのため、使い続けても重量によって曲がったり傾いたりすることはまずありません。

これらの技術はNHK(日本放送協会)等と協力して開発されました。

NHKってディスプレイの技術的な面についても携わることができるんですね…

 

なぜ巻き取ることができるのか?

それでは、どんな技術を用いたら、「曲げても大丈夫」なディスプレイを開発することができたのでしょうか。

 

1、有機ELディスプレイの採用

有機ELを超える? 新技術「ミニLEDディスプレイ」を徹底解説【図解】

上の記事を読んでいただくと、有機ELディスプレイの仕組みがよくわかるかと思います。

 

有機ELディスプレイの簡易模式図

この簡易模式図では、黒枠の正方形1つひとつが1つの画素(ピクセル)を表しています。

有機ELディスプレイでは、自発光有機材料と呼ばれる、電気を流すと自ら発光する有機化合物が使われています。

つまり、いわゆる「LED」とは発光の仕方が違うのです。そして一般的な「液晶ディスプレイ」とは違って、カラーフィルターの後ろから白色で照らす「バックライト」が必要ありません。1画素につき3つの有機化合物がそれぞれ3原色を表現するため、バックライトが必要ないのです。

 

そして、この方式だとフィルターの後ろにバックライトの板が必要なく、1画素ずつバラバラに動かすことができるため、フレキシブル(柔軟性がある)といった性質があります。

そのため、シート上に配置してそれを曲げることも可能なのです。

 

 

2、圧倒的なディスプレイの薄さ

この「巻き取り機能」を支えている一つの要素として「有機ELディスプレイの採用」がありましたが、いくら有機ELディスプレイに柔軟性があってもある程度薄くないと巻き取ることは難しいですし、巻き取れても極太になってしまいます。

ですが、このディスプレイはかなり薄く設計されているので、そういった点で全く問題が発生しません。

バックライトや液晶が必要ない分、通常の液晶ディスプレイと比べて薄く組み立てることができるというのもありますが、フィルム基盤の採用薄膜トランジスタの効率的な配置も、ディスプレイ部を薄くすることに貢献しています。

そして薄膜トランジスタではIGZOと呼ばれるテクノロジーを採用しています。

IGZOは、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、O(酸素)の頭文字をとったもので、これらの原子によって半導体を構成することによってはるかに速く信号を伝達することができます

 

これらの技術を駆使することによって初めて、薄くて巻き取ることができるディスプレイを開発することができたのです。

 

どのようなことが便利になるのか

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1217409.html

 

薄くてスタイリッシュ、明らかにカッコ良いですが、ここまで最新技術を駆使して開発したものを「かっこいい」の一言で評価づけるのはもったいないでしょう。では、このようなディスプレイを用いれば一体どのようなことが便利になるのか、見出していきます。

 

1、プロジェクターが必要なくなる

私がこのディスプレイを見たときの第一印象は、「プロジェクターのスクリーンかな?」といった感じです。

自発光していると知るまでは、完全にプロジェクターだと思っていました。

 

プロジェクターの良いところといえば

  • スクリーンを折りたたむことができる
  • スクリーンに薄いシートが使える
  • 大画面で表示できる

 

等があると思います。

 

しかし一方で、課題点としては

  • ファンの音がうるさい
  • 周りが明るいと、相当性能の良いプロジェクターでなければしっかり映らない
  • 高熱になる
  • スクリーンの前に障害物があると綺麗に投影できない
  • 設置の仕方によってはフォーカスにムラが発生する

 

など、あげたらキリがありません。

しかしこのシャープの巻き取れるディスプレイは、プロジェクターのメリットを発揮しつつ、課題点をほぼ全て克服することができています

フォーカス問題や障害物問題、ファン問題や環境光問題については明らかに克服できていますね。熱についても、0.5mmの薄さによる高い放熱性が確保されていますし、そもそもよりエネルギー効率の高い半導体や有機EL素子を用いているので発熱自体あまりしないです。

お値段が非常にたかそうですが、完全にプロジェクターに置き換わることができそうです。

また、ディスプレイサイズについても100型程度までならこの調子で開発できるのではないかと期待されます。

 

2、メンテナンスフリー

もう一つ私が注目したのが「メンテナンス」についてです。

ディスプレイって表面に傷がついたり汚れたり、ホコリが付着してしまったりすると映像が台無しになってしまうことが多いです。

しかしどうでしょう、この巻き取れるディスプレイは、シートを密着させて巻き取ることができるので隙間にホコリ1つ入れませんし、そもそもシートを収納した状態では傷をつけることすらできません。

例えば家の中でまだ幼い子供がものをボールのように投げて硬いディスプレイに命中、そして映像の一部が乱れるようになってしまった、なんて話よくありますよね。

でもこの巻き取れるディスプレイならどんなにボールが飛んできてもディスプレイ部に当たることはまずないでしょう。

そう考えるとかなり魅力的なディスプレイです。

 

 

 

3、耐震

地震の多い国、日本では家庭内の大きな家電が災害時に凶器に変わってしまうことが多々あります

タンス、冷蔵庫等は上に突っ張り棒的なものを取り付けることによって倒壊を防止することが可能ですが、テレビばかりは上に突っ張り棒を取り付けることはできないでしょう。できたとしてもあまりに見た目が悪すぎます。

でもシャープの巻き取れるディスプレイなら安心です。

地震時にディスプレイが倒壊することはまずありません。そもそも倒壊という動詞自体が似合わないですね。

仮に地震の時にディスプレイを使っていたとしても、0.5mmの柔らかい紙です。それによって怪我をするということはほとんどないでしょう。

 

「かっこいい」だけじゃなくて、しっかりと実用性のあるディスプレイです。

 

4、黒板等に貼り付けることが可能に

これはシャープが開発したこの製品の話ではなく、同じような技術を用いたらできることです。

0.5mmの薄さと丸めることができる柔軟性を保有しているということで、黒板等のボード類に貼り付けることが可能なディスプレイを生産することもできるようになるでしょう。

大型のタッチ対応テレビを黒板のように使う「電子黒板」と呼ばれる機器は存在します(私の高校にもあります) が、従来の黒板に貼り付けることができるディスプレイというのは前代未聞です。

正直電子黒板よりも黒板の方が見やすいんですよね。なので、普通の黒板に、例えば動画を見せる用として随時シート型のディスプレイを貼ってくれたらとても質の高い授業になるかと思います。また、会社のプレゼン等でも役に立つのではないでしょうか。

 

 

他にも、深く考えたらいろいろな使い方が思いつきそうです。

とりあえず一般人が家電として入手するにはまだ長い時間がかかりそうなので、それまでにどんな使い方だとよりいっそう生活が便利になるのかについて熟慮していきましょう。

 

参考記事:https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1217409.html







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