2019年には第10世代のモバイル向けCPUが、2020年には第10世代のデスクトップ向けCPUがそれぞれIntelから発表されました。そしていよいよ第11世代のCPUが登場しようとしています。第11世代CPUに関する情報はこれまでに何度か紹介してきました。
Intel第11世代デスクトップ向けCPUの情報【Rocket Lake-S】
そしてこの度、Tiger Lake CPUに搭載されると話題になっている新内蔵グラフィックス「Xe」の性能が発覚したとのことです。これまでにも何度かそのようなことはありましたが、今回はしっかりとCPU型番と同時に発覚しましたので、より信ぴょう性のある情報かと思います。
それでは第11世代モバイル向けCPUがどんなグラフィック性能を魅せてくれるのか、ご紹介します。
この記事を1文で説明すると
- Intel第11世代「Tiger Lake」CPUに搭載される内蔵グラフィックスの性能はNvidiaのモバイル向けGPU「MX 350」と同程度で、最新のAMDのRyzen APUの内蔵グラフィックスよりも優秀
Xeグラフィックの性能
XeグラフィックとはIntel第12世代グラフィックスであり、第11世代CPU「Tiger lake」の内蔵グラフィックスとして採用されます。そのほかにも、外付けGPU(dGPU)としても登場することが噂されています。
それはそうとして、問題なのはCPUに内蔵されている状態でどれくらいの性能を発揮するかです。第10世代Ice Lake CPUに採用された第11世代のグラフィックス(Iris Plus)も前世代からの大幅な進化を見せてくれましたが、一体第12世代ではどれくらい進化するのでしょうか。
Tiger Lake(i7) vs Nvidia GeForce MX 350
そしてこの度、Geekbench上に第11世代「Tiger Lake」CPUを搭載したノートパソコンのベンチマークが投稿されました。

こちらはGeekbench 4のOpenCLベンチマークになりますが、ここでは第10世代Ice Lake CPU(Core i7-1065G7)を搭載したノートパソコンと、第11世代Tiger Lake CPU(Core i7-1165G7)を搭載したノートパソコンのベンチマークを比較しています。
そしてグラフィックスとしては、Ice Lakeの方にはNvidia GeForce MX350(モバイル向けdGPU)が搭載されていますが、Tiger Lakeの方はCPU内蔵グラフィックス(Xe)となっています。なお、第11世代CPUについても第10世代の時と同じように、モデルによって搭載されている内蔵グラフィックスが異なるようで、ベンチマーク上のCore i7-1165G7には最上位だと考えられる96CU(コンピュート・ユニット)のグラフィックスが搭載されています。
GeForce MX 350はハイエンドノートPCやゲーミングノートPCに搭載されるdGPUですからCPU内蔵グラフィックスに圧勝していることが求められますが、このベンチマーク上では二つに大差はありません。つまり、圧倒的にスペースや消費電力を節約できているであろうTiger Lake CPUと同じグラフィック性能ということです。
このことは、ゲーミングノートPCにもグラボが必要なくなるということを表しています。ただしさすがに上位のゲーミングノートPCに搭載される「RTX 2080」などに追いつくことはありませんので、あくまでもライトゲーミングノートPCといった感じです。
Tiger Lake(i7) vs Tiger Lake(i5)

第11世代CPUでもモデルによって搭載される内蔵グラフィックスが異なると説明しましたが、具体的にどう異なるのでしょうか。といったときに、こちらの比較を見るとわかりやすいです。
どちらも第11世代Tiger Lake CPUとなっていますが、Core i5とCore i7の差があります。両者はコア数は同じとなっていますが、内蔵グラフィックスのCU数は異なっています。 i7に96CU搭載されていたのに対して、i5については80CUです。大体コア数が17%程度少なくなっているということですが、性能としては13.5%程度減少しています。大体想像通りといった感じです。
また、この結果でこれらのベンチマーク結果の信頼性がより高くなるかと思います。
Tiger Lake(i7) vs Ryzen 7 4800U
続いてはAMDのAPU(内蔵グラフィックス搭載CPU)との比較になります。Ryzen 7 4800Uは7nmプロセスを採用したZen2アーキテクチャに基づいている最新のAPUになります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
第三世代モバイル向けRyzen CPU情報【Ryzen9-4900H等】
そしてRyzen 7-4800Uには7nmプロセスを採用したVegaアーキテクチャのGPUが搭載されていて、コンピュートユニット数は8基となっています。

結果は以上の通り、圧倒的にTiger Lakeの方が優秀な結果を納めています。最新のAMDのAPUにも十分優秀なGPUが搭載されていますが、それを超えてくるあたり、やはりIntelの第11世代CPUは最強ということですね。
こうしてグラボが必要ない時代が到来してくるのでしょう。また、NvidiaのGeForce Nowのようなクラウド型ゲームストリーミングサービスも発達していくことが予想されますので、ますますパソコンにグラフィックボードが必要なくなっていくと考えられます。