Intelの第10世代CoreプロセッサはIcelakeだったりCometlakeだったりいろいろややこしくなっていますが、とりあえずデスクトップ向けとして使われるのはCometlakeのみだと言われています。そこでこの記事では、デスクトップ向け第10世代CPU「Cometlake-S」と、それに対応した新しいチップセット「400シリーズ」についてもう一度整理していきます。
この記事を1文で説明すると
- 第十世代デスクトップ向けCPU「Comet Lake-S」ではLGA 1200ソケットに変わり、400シリーズチップセットをサポートする。
Comet Lake-Sの特徴
Cometlake-Sについては過去の以下のような記事を投稿しました。
もはや10コアCPUはあたりまえに? Intel Cometlake-Sを解説【第10世代CPU】
この記事では第10世代「Cometlake-S」CPUについて漠然と紹介していきましたが、一旦整理して詳しくお伝えします。
Comet Lake-SとCoffee Lake-S Refresh(第9世代デスクトップ向けCPU)を比較
比較項目 | Coffee Lake-S Refresh | Comet Lake-S |
---|---|---|
対応ソケット | LGA 1151 | LGA 1200 |
対応チップセット | 300番台 | 400番台 |
最大コア/スレッド数 | 8/16(Corei9) | 10/20(Corei9) |
対応メモリ | DDR4 | DDR4 |
TDPの幅 | 35W〜95W | 35W〜125W |
プロセス | 14nm ++ | 14nm +++ |
それぞれの世代の特徴を以上のようにまとめてみました。
一番注目するべき点は、対応ソケットがLGA 1151からLGA 1200に変更されたことです。つまりはCPUとの接点が49個増えるということになります。
ただ、接点の密度が高まることによってソケットのサイズ自体は現在のものと同じになるそうです。
IntelのCoreシリーズCPUといえば、第6世代、つまり2015年くらいからずっとLGA 1151ソケットを用いています。LGA 1151のソケットに対応しているすべてのCPUに互換性があるわけではありませんが、いつまでも1151を抜けられない感じがしてそろそろ飽きてきましたよね…笑
ただし、物理的な回路プロセスの細かさについては同じで、14nmのままです。
そして対応チップセットについては300番台から400番台へと変更されています。
ソケットが変更されるとあらゆる環境が変更されることになります。
そしてこの400番台チップセットについては後ほど詳しく説明していきます。
そしてもう一つ注目するべき点が、最大コア数/スレッド数が10/20になったことです。もちろん最大というくらいですから、それはCorei9であることを意味しますが、全世代の8コア16スレッドに比べると少々増加しています。
これはあくまで個人的な意見ですが、AMD製のCPUのコア数が増加した時よりも、Intel製のCPUのコア数が増加した時の方がパフォーマンスの増加具合が大きいと思います。Intelは1コアあたりの性能が高いため、コア数が増えることはかなりの性能上昇を示唆するのです。
だたし、プロセスは変更されず、14nmのままであるためコア数が増えると消費電力の増加にも繋がります。
ということでCometlake-SではTDPが最大125Wとなっています。
Core-Xシリーズやサーバー向けCPUなど一部のCPUではかつてTDP130Wという製品もあったのですが、メインストリームCPUで125Wというのは初めてかもしれません。最上位のCorei9 10900KというCPUがTDP 125Wです。
そして、これは14nmプロセスで10コア20スレッドを実現する限界が近づいてきていることを暗に示しています。
ちなみにTDPが一番低いモデルは全世代と変わらず35Wとなっています。35Wというと、もはやモバイル向けCPUの「Uシリーズ」に近いTDPになります。このようなCPUは、かなりコンパクトなデスクトップパソコンに採用され、「Tシリーズ」となるでしょう。
そしてCometlake-Sでは全世代と比べて少なくとも10%以上の性能上昇は期待できます。でも、アーキテクチャが大幅に変更されたわけでもないのでそこまでの性能上昇は期待しない方が良さそうです。
おそらくCorei9 10900Kなんかはゲーミング性能がトップになり、Corei9 9900KSといい勝負をすることでしょう。そして、AMDの第3世代RyzenCPUよりもゲーミング性能については、有利になりそうです。
詳しいラインナップについては以下の記事をご覧ください
第10世代Comet lakeデスクトップ向けCPUラインナップを解説【Comet lake-S】
新「400番台チップセット」の概要
続いては、Cometlake-Sプロセッサに対応する「Intel 400番台チップセット」についてです。
実はこの400番台チップセットについても過去に記事を投稿しています。
今回はもう少し整理して紹介していきます。
300シリーズと400シリーズの比較
比較項目 | 300シリーズ | 400シリーズ |
---|---|---|
PCI-eリビジョン | 3.0 | 3.0 |
SATAバージョン | 3.0 | 3.0 |
USB | 3.1 gen2 | 3.1 gen2 |
統合Wi-Fi | 802-11 ac(6.9Gbps) | 802-11 ax(9.6Gbps) |
統合Thunderbolt | なし | Thunderbolt 3 |
対応CPU | 8,9世代 | 10世代Cometlake |
上のような表にまとめてみました。
AMDの新第3世代RyzenCPUがPCI-e4.0に対応しているということで、Intelも次の世代で対応するのかと考えられていましたが、どうやらまだ先のことになるようです。
400シリーズは3.0までしか対応していません。
ただし、PCI-eが本当に必要なのかどうか問題は浮上しています。
そしてSATAについては3のままです。SATAについてはよくわかりませんが、バージョン4が出るとしても相当先のことになりそうです。
まずHDDを接続する際にはSATA 3で十分すぎますから。
そしてUSBについては3.1Gen2のままです。3.1Gen2x2という規格も発表されていますがそれには対応していないようです。
そして統合されるWi-FiについてはIEEE 802-11acからaxに進化しています。
最大転送速度が1.5倍程度になっていて、デスクトップ向けチップセットでもWi-Fiが重要視されてきていることがわかります。
そしてThunderbolt 3が統合されました。なのでUSB Type-C端子によってUSB 3.1とThunderbolt 3を一つの端子で使えるようになるでしょう。
これはUSB 4への準備でもあり、USB 4に対応するチップセットが開発されたら完全にThunderbolt 3と統合することになります。
関連記事:絶対に知っておくべき、USB 4のすべて
そして対応CPUについては10世代Coreシリーズとなります。
プロセスは同じですが、対応ソケットは変更されており第9世代CPUとの互換性は全くありません。
400シリーズチップセットのラインナップ
現在確認されているラインナップは
H410 , B460 , Q470 , Z490 , W480です。
H410は廉価版のマザーボードに採用され、Z490はオーバークロックが可能なハイエンドマザーボードに採用されます。
W480についてはワークステーション向けとなり、Xeon CPUをサポートします。
それぞれの細かい仕様は以下を参考にしてください。
なお、Bシリーズは載せていません。
チップセット名 | Intel Z490 | Intel W480 | Intel Q470 | Intel H410 |
---|---|---|---|---|
合計HSIOレーン | 46レーン(16 CPU + 30 PCH) | 46レーン(16 CPU + 30 PCH) | 46レーン(16 CPU + 30 PCH) | 30レーン(16 CPU + 14 PCH) |
合計PCIe 3.0レーン | 最大40 | 最大40 | 最大40 | 最大22(2.0) |
チップセットPCIe 3.0レーン | 24まで | 24まで | 24まで | 6まで(PCI-e 2.0まで) |
SATA 3.0ポート | 8まで | 8まで | 6まで | 4まで |
最大USB 3.2ポートGen 2(10 Gb / s)/ Gen 1(5 Gb / s) | 8/10 | 8/10 | 6/10 | 0/4 |
オーバークロックのサポート | はい | なし | なし | なし |
プロセッサPCIe Express 3.0レーン構成 | 1×16または2×8または1×8 + 2×4 | 1×16または2×8または1×8 + 2×4 | 1×16または2×8または1×8 + 2×4 | 1×16(2.0) |
システムメモリチャネル/ DPC | 2/2(DDR4-2666) | 2/2(DDR4-2666) | 2/2(DDR4-2666) | 2/1(DDR4-2666) |