2019年7月にAMDから「Navi 10」アーキテクチャを採用した「RX 5700シリーズ」グラフィックボードが発売されました。その後継として「RX 5800シリーズ」(Navi 12)が開発されているとも言われていますが、その一方でウルトラハイエンド級のグラフィックボード「Radeon VII」の後継機も開発されています。
この記事ではRadeon VIIの後継になるであろう今後のAMDのウルトラハイエンドグラフィックボードについて紹介します。
なお、2020年の2月に更に新しい情報が入ってきましたので、以下の記事をご覧ください。
Radeon RX 5950XTの情報【Radeon VIIの後継】
目次
Radeon VIIとの比較
まず最初に、既存しているウルトラハイエンド級グラフィックボード「Radeon VII」と、新しいものを比較してみましょう。
ただし、AMDから正式に発表されているわけではないので多少違う可能性もあります。
比較項目 | Radeon VII | Radeon VII Plus(?) |
---|---|---|
プロセス | 7nm | 7nm+ |
GPUアーキテクチャ | Vega 20 | Navi 20 |
技術的アーキテクチャ | GCN 6世代(5世代?) | RDNA2 |
GPUメモリタイプ | HBM2 | HBM2E |
メモリバス帯域幅 | 1.0TB/s | 1.64TB/s |
Ray Tracing | ハードウェア単位ではNo | Yes |
※Radeon VII Plusというネーミングについては完全に私の予想なので気にしなくて大丈夫です。
予想されているのはこれくらいになります。
前世代ハイエンドの「Radeon RX Vega 56/64」はVega 10アーキテクチャを用いていました。そしてプロセスは14nmだったわけで、Radeon VIIへの進化でプロセスは2分の1に縮小されました。
そしてその時の性能向上度合いとしては1.2倍程度でした。同じVegaベースだったためか、プロセスを縮小することによる性能向上はあまり実現できなかったのでしょうか。
そしてこの度、次世代ハイエンドとしてはNavi 20にアーキテクチャが変更されています。VegaアーキテクチャはAPU(内臓グラフィック搭載CPU)くらいでしかお目にかかれない現代では、もはやVegaはオワコンになりつつあるのかもしれません。
そしてRX 5700シリーズの登場で、GCN(Graphics Core Next)から抜け出し、RDNAアーキテクチャに移行され、いよいよ本格的にVega離れが始まろうとしています。
そして、プロセスについては7nmと変更はありませんが、RDNA2の7nmプロセスはVega時代のものと比べてもより効率的なパフォーマンスが期待できそうです。これは、RX 5700シリーズの登場によってRDNAアーキテクチャがある程度温められたためです。
そしてメモリについてですが、HBM2からHBM2Eに変更されるだろうと言われています。
そもそもHBMシリーズとは、超広帯域にすることを目指して作られたメモリタイプで、その特性からAI処理にも向いているであろうと言われています。
ゲーミング用途で差を感じられるのかは定かではありませんが、帯域が広くなったことで事実上データの転送速度は上がっています。
そしてHBM2からHBM2Eへのアップグレードではさらにメモリバス帯域幅が広くなっていて、更なるデータ転送レートを実現できそうです。ただ、この恩恵を受けるのは一部のハイエンドサーバーやAI処理においてだけかもしれません。
それから、Radeon VII Plusではハードウェア単位でリアルタイム・レイ・トレーシングがサポートされると言われています。NvidiaのCEOが「これからはレイトレーシングが必須な時代になる」と言っているくらいですから、もはやこの流れは当然のことでしょう。
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新ウルトラハイエンド級グラフィックボードに期待される性能
続いては、新ウルトラハイエンド級グラフィックボード(通称:Radeon VII Plus)に期待される性能についてです。
前世代ハイエンドVega 56 / 64、現世代ハイエンドRadeon VII、それからNvidia製のGTX 1080 ti、TITAN RTXと比較し、性能の目安を考えると
このようになると考えられます。
Radeon VII Plus以外は実際のデータです。Passmarkの値を参考にしています。
そもそもこのRadeon VIIの後継機は、NvidiaのトップクラスGPUを打ち破ることが大きな目標となっているはずです。Nvidiaの12nmプロセスに比べてより縮小された7nmプロセスでマウントをとり、かつレイ・トレーシングなどのテクノロジーに対応することで新しいハイエンドGPUとなるに違いありません。
ただし、その安さが大きな特徴となっているAMDのグラフィックボード「Radeonシリーズ」ですが、Radeon VII Plusについてはかなり高値になるのではないかと言われています。
Navi 20アーキテクチャの採用、それからHBM2Eメモリの採用にかなりのコストを使っているはずです。結局、Nvidia製グラフィックボードよりもコストパフォーマンスが高くないと打ち破ることはできないので、どう価格設定がされていくのかは見所になります。
ただし、こういったウルトラハイエンド級のグラフィックボード(一般人にはほぼ関係ない) については、購入する人はある程度限られているため、そこまで世の中に浸透せずになんだかんだで影の薄い存在になってしまう可能性が高いです。
なのでRadeon VII Plusの登場はあくまでもAMDの進んだテクノロジーの象徴に過ぎないという認識で良いかと思います。
もう一度言いますが、Radeon VII Plusというネーミングは私が考えた適当なものですからね!
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