コンパクトなデスクトップパソコン等が好まれてきていますが、究極のコンパクトパソコンといったらやはり「スティック型PC」です。まるでUSBメモリであるかのようなコンパクトな本体となっていて、一見良いことづくめそうに見えます。
ですがそんなスティック型PCにも悪いところはたくさんあります。そこでこの記事ではスティック型PCのメリット(良い所)とデメリット(悪いところ)を解説していきます。
スティック型PCとは?
BableTech伝統の「そもそも~とは?」コーナーでございます。
スティック型PCというのは文字通り棒状のパソコンとなっていて、モニターに直接取り付けることでそのモニターに映像を出力をし、パソコンとして使うことができるようになります。

本体が非常に小型なのでモニターに取り付けても本体があまり飛び出ることはなく、消費電力も少ないのでコンセントからの給電ではなくUSB給電をサポートしているものが多いです。
そのため、普通のモニターに取り付けるだけで一体型パソコンのように使うことができるという優れものになります。しかしその一方で弱点もあるので注意が必要です。
メリット
まずはメリット、というよりは良い所についてです。
1.コンパクト
これにつきます。HDMIポートに取り付けるだけで本体を固定することができることからいかにコンパクトなのかがわかると思いますが、大体手のひらサイズです。非常にコンパクトなので設置場所にも困りませんし、持ち運びも非常に楽です。
2.モニターを選ばない
テレビ等に取り付けて一体型パソコンのように使うことができるようになるのならば最初から一体型パソコンを購入すれば良いという話ではありますが、大画面の一体型パソコンはあまりありませんし、あっても非常に高いです。
そこでスティック型PCであれば、対応しているHDMIポートがあるモニターすべてに映像出力をすることができるので、モニターを自由に決めることができます。 また、一体型パソコンだと本体を持ち運びするのが難しいですが、スティック型パソコンであれば本体をいつでもモニターから取り外せるので非常に便利です。
3.安い
非常にコンパクトなパソコンということで価格が高そうな予感はしますが、意外にも、スティック型パソコンは普通のパソコンに比べると圧倒的に安いです。ただしそれは性能が低いからなので注意しましょう。 詳しい性能についてはこの後触れますが、その性能で十分だという人にとってはちょうど良さそうです。
一体型パソコンだと大きなものほどやたらと高性能、高価格な傾向にありますので、軽めの処理を大画面で行いたいという人にスティック型パソコンはピッタリです。
4.メンテナンスが楽
スティック型パソコンは消費電力が少なく、発熱量が少ないので本体に冷却ファンを備えていないものが多いです。あるいは、あってもかなり小型のファンが搭載されています。 そうすると経年により厄介なホコリが本体に詰まることがなく、メンテナンスが非常に楽です。
5.低電力
スティック型パソコンでは基本的に低電力なパーツが使われています。デスクトップパソコンに比べた時の電力はもちろんのこと、ノートパソコンに比べても圧倒的に消費電力が少ないことが多いです。
そのため、軽い処理なんだけど長い間行いたいという場合には便利です。例えばインターネットを通じた自宅等のファイルサーバー(NAS)用に使われることもあるようです。 そこらへんで売ってる小さいライト等とほぼ消費電力変わりませんからね。
6.パソコンであること
当たり前の事ではありますが、モニターに簡単に接続することができる上、しっかりと「パソコン」であることも一つのメリットです。多くのスティック型パソコンには通常のWindows OSが搭載されていて、Word,Excel,PowerPointなどの事務系ソフトを使うことができたり、サブスクリプション契約系の動画配信サービス(Netflix等)等を楽しむこともできます。
最近ではテレビ側にNetflix等が見れる機能があるものもありますが、そういった機能が無い時にはスティック型パソコンを使うだけでパソコン並の機能性をアタッチすることができます。パソコン並みっていうかパソコンですね。
デメリット
続いてはデメリット、というよりはあまり優秀でない点についてです。
1.低性能
スティック型パソコンは基本低性能です。デスクトップパソコンやノートパソコンには低性能なものから高性能なものまで様々なものが存在しますが、スティック型パソコンは本体がコンパクトすぎるのに加えて電力制限があるのでどう頑張っても低性能です。
これは2020年頃のパソコンにおける、それぞれの種類の一般的なCPU性能を表しています(Passmark参考)
一体型パソコンでは「Intel Atom x5-Z8350」で、ノートパソコンでは「Intel Core i5-10210U」で、デスクトップパソコンでは「Intel Core i5-9400」です。驚くほど性能が低くなっています。 といってもしっかりとWindowsは動作する程度の性能はあります。
この値が10000程度あればそこそこ高性能という感じで、5000以上あれば重たい処理でなければ普通にできるレベルです。
そして1000以下だったら壊滅的です。Youtubeの動画再生も割と困難なことが多く、せっかく大きなテレビを持っているのに映像がカクカクだったなんて事件も発生したりします。もちろんゲームは不可能です。
スティック型パソコンにも様々なバリエーションはありますが、大体「Intel Atom」プロセッサです。Atomプロセッサは基本性能が低いので、あまり高い性能を期待しないようにしましょう。 そのおかげで安く手に入れることができ、発熱量が少なくて省電力なのです。
中には「Core m3」などの上位CPUを搭載した高めのスティック型パソコンもありますが、ノートパソコン並みの性能は期待できません。
2.ストレージが少ない
スティック型パソコンにはもちろんHDD(ハードディスク)は搭載されていません。だったらディスクが回転しない、超高速な「SSD」が搭載されているのかと思ったらそうでもありません。ほとんどは「eMMC」というストレージを採用しています。 でも動作音も非常に静かで、通信速度もHDDよりは優秀なので問題ないでしょう。
しかしコンパクトさゆえにストレージが非常に少ない傾向にあります。32GB程度が主流となっており、あっても64GBといった感じでしょうか。 そのため、動画を見るにしても基本はネット上からストリーミング配信されているものにし、本体にデータを残さないようにするという使い方が最適です。思い出の写真データ等を保存するなんてもってのほかです。
何としてでも容量を増やしたかったり、スティック型パソコンをファイルサーバーとして利用したい時には本体にあるUSB端子等から外部ストレージを接続するのも一つの手です。
ただしあまりごちゃごちゃつなぎすぎると本体が重たくなってとれやすくなったり、見た目が悪くなったりします。
3.端子が少ない
小型なのでしょうがないですが、スティック型パソコンは基本、USB等の端子が非常に少ないです。あっても一つ二つといった感じで、周辺機器はBluetooth等のワイヤレス通信で接続をするのが理にかなっています。
USBハブ等を使うことで解決することはできますが、見た目が悪くなったり本体を支えきれなくなったりする可能性もあります。
4.意外とでかい
ここまでさんざんコンパクトさが売りだと言ってきましたが、普通のパソコンに比べたら圧倒的にコンパクトなものの、思っていたより大きいと感じる人は少なくないようです。 基本的にはUSBメモリほどのコンパクトさではなく、本体をHDMI接続したら隣の端子を隠してしまうくらいの大きさはあります。さすがにそれくらいの大きさが無いとパソコンにすることができません。
また、HDMI端子が少し深い所にあったら本体が干渉してしまって取り付けることができないこともしばしばあります。 この問題についてはHDMIの延長ケーブルを使うことで解決することができますが。
以上がスティック型パソコンのメリット・デメリットになります。家にある大型テレビで軽めのパソコン作業を行いたいなんて時に非常に活躍しますが、スティック型パソコンの特徴を知っておかないと使い物にならなかったなんて嘆くことになるかもしれません。
重たい処理を行いたい時は素直にデスクトップパソコンですね。
おすすめのスティック型パソコン
以上を踏まえたうえでBableTechがおすすめするスティック型パソコンをご紹介します。
スティック型PCを製造しているメーカーも様々ありますが、やはり処理装置を作っている「Intel」製のものが一番安心でしょう。プロセッサはAtom x5-Z8350なので決して高性能とは言えませんが、軽い作業だったらこなすことができます。
メインメモリも2GBとなっていて、スティック型パソコンとしてはちょうど良いくらいでしょう。そしてストレージも32GB搭載されているので大量のデータを保存しなければ普通に使うことができそうです。処理装置は低性能ですが、Wi-Fiは今最も使われている「Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)」をサポートしていて、Bluetoothも4.2までサポートしています。
USB給電をサポートしているので電源に困らず、MicroSDスロットもありますのでストレージを増設することができます。
そしてお値段は2万円を切っている(2020年9月現在)ので、パソコンとしてはかなり安いです。Amazonでのレビューも非常に多い上に平均☆4くらいですので安心です。