先日、ついにAppleから新型MacBook Air 2020年モデルが発売されました。そして多くのメディアがすでに詳細なレビューを提供してくれています。
しかし、レビューが多い上にそれぞれ異なることを述べていたりするのでややこしいです。そこでこの記事では様々なレビューを見てきた私がそれらをまとめて紹介します。
この記事を2文で説明すると
- 2019年モデルからの大きな進化は「キーボード」「コストパフォーマンス」
- Core i5 , 256GBモデルが非常におすすめ
デザイン
まず最初にデザインから紹介します。少しだけ分厚くなったり、キーボードが変更されたり… デザインについては細かい部分で様々な変更がありましたが、体感で変わったと感じる部分はたった一つ、「キーボード」だけです。

基本的なボディは変わりません。トラックパッドの大きさも変わりませんし、ベゼルが細くなったわけでもありません。 最大の変更点はキーボードです。
主に以下の二つが変わりました。
- 矢印キーが逆T字型に
- バタフライ式からシザー式(Magic Keyboard)に
2019年モデルについては矢印キーが、スペースを最大限に活用する配置になっていました。左右キーを頻繁に使う人にとってはこちらの方が良いのかもしれませんが、場合によって打ち間違えを誘発してしまうかもしれません。
そこで2020年モデルではごく一般的な、逆T字型になりました。おそらく多くの意見があったからこの形になったので、使いやすくなったのだろうとは思いますが人によって好みは分かれてくるでしょう。
そしてキー方式についてですが、長年の批判を受けてついにバタフライ式からシザー式に変更されました。この変更はMacBook Airだけではなく、2019年に発売されたMacBook Pro 16インチモデルにも採用されたものです。
バタフライ式からシザー式への変更について、その違いは以下のようになっています。
2020年モデル | 2019年モデル | |
---|---|---|
キー方式 | シザー式 | バタフライ式 |
キーストローク (打鍵する深さ) |
1mm | 0.5mm程度 |
耐久性 | 〇 | × |
長時間タイピング | 〇 | × |
打鍵音 | 静か | 特有のうるささ |
評判 | 〇 | △ |
キーストローク
[dic term=”キーストローク”]
体感でわかる違いとしては、まず第一に「キーストローク」にあります。
1mmという数字は、通常のデスクトップパソコン用のキーボード等と比較するとかなり小さい方ではありますが、2019年モデルの「バタフライ式」と比べると実に2倍程度の長さです。 すなわち、それだけ打ち込む時にキーを押し込むことができます。キーストロークがあまりに長いものは好き嫌いが分かれてきますが、一般的には数ミリ程度のものが一番好まれる傾向にあります。
しかし見た目としては、キーストロークが長い分キーが飛び出ているようになっています。
耐久性
まだ発売されてから長い時間は経ってないので耐久性について語るのは早いと思うかもしれませんが、シザー式キーボードは以前から存在していたため、比較することができます。
シザー式キーボードの耐久性はごく一般的ですが、その一方でバタフライ式の耐久性があまりに低いと言われています。少しチリが詰まっただけで壊れたり、効かなくなったり。非常に繊細な構造になっているのです。
長時間タイピング
長時間タイピングをするときは、一般的にキーストロークが長い方が疲れにくいと言われています。長すぎるのも問題ですが、バタフライ式については短すぎます。キーを押してからの跳ね返りが少ないため、感覚だとタブレットを叩いている感じです。
そのため、長時間打鍵をしていると疲れてくる傾向にあります。しかし2020年モデルではシザー式になりましたので、長時間タイピングもそこそこ心地よいものになりました。なお、MacBook Air自体に長時間タイピングはあまり求めない方がいいと思います。(こだわる人は外付けキーボードを購入した方が良いです)
打鍵音
体感で非常にわかるものとしては、「打鍵音」の違いです。キーストロークが短い「バタフライ式(2019年)」の方が打鍵音が抑えられているのだろうと思ってしまいがちですが、バタフライ式には特有のうるささがあります。
キーストロークが短いため、「スカッ」という感じではなく、「ピチッ」という甲高い音が鳴り響きます。その点、シザー式の2020年モデルではその特有の音が抑えられました。
詳しくは以下の動画を参考にどうぞ
評判
評価はもちろん分かれてきます。バタフライ式の方がよかったという人も中にはいます。ですが大半の人はシザー式の方が絶対に良いという意見を述べています。
どんなにパソコンの性能が良くても、タイピングが心地よくないと快適に作業することはできないでしょう。そのため、一度家電量販店等で触ってみるのがベストです。
ハードウェア仕様の違い
それでは続いて、見た目ではわからない内部の「ハードウェア仕様」の違いについて解説します。詳しくは以前の記事をご覧ください。
MacBook Air 2020年モデルの仕様を徹底解説【最速報】
比較項目 | MacBook Air 2020 | MacBook Air 2019 |
---|---|---|
ディスプレイ | 13.3インチ , IPS , 2,560 x 1,600(WQHD) , TrueTone | 13.3インチ , IPS , 2,560 x 1,600(WQHD) , TrueTone |
ディスプレイ密度 | 227ppi (Retina) | 227ppi (Retina) |
生体認証 | 指紋認証 | 指紋認証 |
プロセッサ | Corei3-1000NG4 Corei5-1030NG7 Corei7-1060NG7 |
Corei5-8210Y |
グラフィックス | Iris Plus G4 / G7 | UHD 617 |
最低ストレージ | 256GB SSD | 128GB SSD |
メインメモリ | 8GB / 16GB LPDDR4X | 8GB / 16GB LPDDR3 |
バッテリー継続時間(インターネット閲覧) | 11時間 | 12時間 |
Wi-Fi | Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac) | Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac) |
Bluetooth | 5.0 | 4.2 |
映像出力 | 最大6K@60FPS | 最大5K@60FPS |
価格 | 104,800円~ | 119,800円 |
※赤字:体感で変わった部分
ディスプレイに変更はありません。ですがすでに非常に高水準です。Retinaディスプレイとなっていてドットの密度は227ppi、人の目ではドットを識別するのが難しいレベルですのでこれ以上のものを求める必要はないでしょう。
生体認証についても変わりません。顔認証は搭載しませんでした。
プロセッサ
そして今回大注目なのが「プロセッサ」です。全体的に性能が向上したというのも大きなポイントなのですが、多くのレビュー記事では「プロセッサのオプションが3つになった」というポイントの方が重要だと述べられています。
つまり、低性能・低価格なものから高性能・高価なものまで選べるようになったということです。2019年モデルではプロセッサのオプションはありませんでした。
プロセッサ(CPU)というのは以下の通りです。
[dic term=”CPU”]
そして問題なのはそれぞれの性能です。とりあえず数値化したものを紹介します。この値は多くのレビューを平均化したもので、Geekbench v5のマルチコア性能値を参考にしています。
[visualizer id=”10473″]
今回は「Core i3 / Core i5 / Core i7」で綺麗にオプションが分かれてくれたので非常に見やすいです。
2019年モデルには「Core i5」のオプションのみ存在しましたが、驚くことに2020年モデルの最小構成(Core i3)の性能の方が高くなっています。
最新のIntel CPUを搭載したことで性能が底上げされた感じでしょう。
そして最高構成(Core i7)は独走しています。MacBook Proにも迫る性能で、低性能というMacBook Airのイメージからも脱出することができそうです。
ただ、体感でその性能差を感じるのは難しい部分があるから多くのレビュー記事では数値化されているのであって、正直言って作業によってはその性能差をあまり感じないでしょう。 もしも2019年モデル、あるいは2018年モデルを使っていて、その性能に満足していたのなら最小構成で十分だと思います。
グラフィックス
グラフィック処理装置(GPU)にも違いが見られました。
[dic term=”GPU”]
ゲームや動画編集など、GPUによる処理を多く行う場面において、その性能差を体感することができます。
数値化すると以下の通りです。
[visualizer id=”10475″]
このスコアはGeekbench Metalを参考にしたものになります。多くのレビューやハードウェア情報を基に算出しました。Core i5モデルとCore i7モデルのGPUはほぼ同じなので、ほとんど差は出ていません。
おおむねこのスコアが1万程度あれば最新のゲームでもそこそこ快適にプレイすることができるので、正直最高構成でもゲームはあまりできませんが、2019年モデルとの違いは明らかです。
なお、Youtubeの動画を見たりOfficeソフトを少しいじるだけ、という人にとってはこの差はほとんど感じられないと思います。どころかプロセッサ性能の差もほとんど感じないと思うので処理装置関係にあまりこだわらない方が良いと思います。
ストレージ
処理性能には関係してきませんが、ストレージの最小オプションが128GBから256GBになり、底上げされたというのもポイントです。
[dic term=”ストレージ”]
ストレージについては自分に合ったものを選びましょう。そこまでたくさんのアプリや写真・動画等を入れない人は256GBで十分です。私も以前256GBのMacBook Airを使ってたことがありましたが、使い切ることはありませんでした。
というかストレージオプションを上げると見合わない程度に価格が上がるのでお勧めしないです。
バッテリー
最新のCPUを搭載して性能が向上したのは良いのですが、若干消費電力が高いCPUになったというのも関係して、バッテリーの持ち時間は全体的に1時間ほど減りました。
ただ、多くのレビュー記事では「体感ではあまり変わらない」とのことで、正直言って12時間から11時間に減ることで外に持ち運べなくなるかと言われたらそうでもないですよね。
なお、Core i7モデルで重たい作業を行うとバッテリーの消費は結構速いのでご注意ください。
価格&買い?
最後に、価格についてです。
MacBook Air 2020 | MacBook Air 2019 | |
---|---|---|
最小価格 | 104,800円~(i3 , 256GB) | 119,800円~(i5 , 128GB) |
おすすめ構成 | 114,800円(i5 , 256GB) | — |
価格については最小構成時が安くなりました。しかもストレージは256GBに底上げされています。
i3モデルができたからだろうという話ですが、先ほど紹介した通り、i3モデルでも2019年のi5モデルより性能が高いです。 これを俗に「i3の逆襲」と言います。
テストに出ますよ
買いかどうかを一言で決めるのは難しいですが、今ノートパソコンを持っていない、あるいは乗り換えようとしている状況で、前々からMacBook Airが気になっていたという人はチャンスです。
歴史的にもなかなかコスパの良いMacBook Airをゲットできると思います。ただ、Windowsパソコンから乗り換えようとしている人は、MacBook Airのコスパ以前に「macOSでいいのか」、ちゃんと見極めるようにしてください。
という記事を今後作る予定です。
ちなみにおすすめ構成としては間違えなく「Core i5 , 256GB」です。ストレージやメインメモリオプションを増やそうとすると2万円高くなってしまいますが、Core i5への変更だけだったら1万円の値上がりで済みます。そしてこの価格はまだ2019年モデルの最小構成より安いです。
Core i3からCore i5への進化には「2コア→4コア」、「グラフィックス:G4→G7」という大きな進化が含まれていますのでお勧めです。
Core i3モデルでも良いという人はAmazonで購入するのがおすすめです。