このブログではIntel第十世代CPUの一つ「Comet lake」について何度かお話をしてきました。
もはや10コアCPUはあたりまえに? Intel Cometlake-Sを解説【第10世代CPU】
第10世代IntelCPU「Comet Lake」のラインナップ解説
↑こちらの記事はモバイル向けComet lake CPUのラインナップを紹介しています。
この記事では第10世代CPUのうち、デスクトップ向けとして生産されるもの(Cometlake-S)のラインナップについて解説していきます。
こちらの記事では噂情報について取り扱ってきました。2020年4月30日現在、ついにIntelから発表されましたので、そちらをまとめた記事をご覧ください。
【ついに登場】Intel第10世代デスクトップ向けCPUのすべて【Comet Lake-S】
この記事を2行で説明すると
- 第十世代デスクトップ向けCPU「Comet lake-S」シリーズでは前世代に比べてコア数やクロック数は多少上がっているが、プロセスは同じ
- モバイル向けCPUではあまり性能が上昇していないようなので、デスクトップ向けのComet lakeについてもあまり高いパフォーマンスは期待できない
Coffee lake-S RefreshとComet Lake-Sのラインナップを比較
まず最初に第九世代デスクトップ向けCPUである「Coffeelake Refresh-S」と第十世代デスクトップ向けCPUである「Cometlake-S」のラインナップを比較していきましょう。
なお、ここで載せるのはCeleron,Pentium,Corei3,i5,i7,i9それぞれのモデルにおいて一番スペックが高いモデルです。
=Coffee lake-S Refresh=
CPU | プロセス | コア/スレッド | ベースクロック | ブーストクロック(シングルコア) | 内臓グラフィックス | L3キャッシュ | TDP | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Intel Core i9-9900K | 14nm ++ | 8/16 | 3.6 GHz | 5.0 GHz | UHD 630 | 16MB | 95W | 488ドル |
Intel Core i7-9700K | 14nm ++ | 8/8 | 3.6 GHz | 4.9 GHz | UHD 630 | 12MB | 95W | 374ドル |
Intel Core i5-9600K | 14nm ++ | 6/6 | 3.7 GHz | 4.6 GHz | UHD 630 | 9MB | 95W | 262ドル |
Intel Core i3-9350K | 14nm ++ | 4/4 | 4.0 GHz | 4.6 GHz | UHD 630 | 8MB | 91W | 173ドル |
Intel Pentium G5620 | 14nm ++ | 2/4 | 4.0 GHz | 4.0 GHz | UHD 630 | 4MB | 54W | 86ドル |
Intel Celeron G4950 | 14nm ++ | 2/2 | 3.3GHz | 3.3GHz | UHD 610 | 2MB | 54W | 52ドル |
=Comet lake-S=
CPU | プロセス | コア/スレッド | ベースクロック | ブーストクロック | 内臓グラフィックス | L3キャッシュ | TDP | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Intel Core i9-10900K | 14nm +++ | 10/20 | 3.4 GHz | 5.3 GHz | UHD 630 | 20MB | 125W | 562ドル |
Intel Core i7-10700K | 14nm +++ | 8/16 | 3.6 GHz | 5.1 GHz | UHD 630 | 16MB | 125W | 436ドル |
Intel Core i5-10600K | 14nm +++ | 6/12 | 3.7 GHz | 4.8 GHz | UHD 630 | 12MB | 125W | 296ドル |
Intel Core i3-10350K | 14nm +++ | 4/8 | 4.1 GHz | 4.8 GHz | UHD 630 | 9MB | 125W | 179ドル |
Intel Pentium G6600 | 14nm +++ | 2/4 | 4.2 GHz | 4.2 GHz | UHD 630 | 4MB | 65W | 105ドル |
Intel Celeron G5920 | 14nm +++ | 2/2 | 3.5 GHz | 3.5 GHz | UHD 610 | 2MB | 35W | 68ドル |
※ここで紹介しているCPUは一部にしか過ぎません。
以上のようになっています。なお、ここで紹介している情報はまだIntelから正式に発表されていないものですので、若干変わる可能性があります。
それでは各項目比べていきましょう。
1、プロセス
プロセスは変わらず14nmです。インテルはなんだかんだで5年ほど14nmプロセスを用いているので、かなり効率の良い14nmCPUが作れる技術を保有しているでしょう。
Intelのプロセスルールの基準は他社よりも小さいと言われますので単純に比較することはできませんが、それでもAMDが7nmプロセスのCPUを既に製造していることを考えると遅れがちなのが伺えます。
2、コア数/スレッド数
コア数については最上位モデルのCorei9で10コアに達しました。第8世代CPUの頃から少しずつコア数をあげている傾向にありますね。これはより多くのコアを小さいダイに収納できる技術が発達したというのと、AMDのRyzen CPUへの対抗意識からきている仕様の変化だと思われます。
Corei3,i5,i7シリーズについてはコア数は前世代と変わらないですがCoreシリーズの全てのモデルでハイパースレッディングテクノロジー(HT)が採用され、それぞれコア数の二倍のスレッド数を保有しています。ただし廉価版のPentiumとCeleronについては前世代同様、HTは採用されません。
そもそも第7世代Corei7まではHTが採用されていたのですが、第8世代と第9世代では無効化されていました。これは新しいシリーズの「Corei9」の登場も関係しているようですが、やはり1つのコアをなるべく効率的に動かすことができる「HT」はAMD社への対抗として必須であるということもあり、第10世代からは採用されるようです。
一番衝撃的なのはCorei3が4コア8スレッドになったことです。
これまで2コア4スレッド、4コア4スレッドなどのモデルがありましたが、いずれも他のシリーズと差別化するために4スレッドに制限されていました。
でも第10世代で初めて8スレッドをサポートすることになりそうです。
3、クロック数
クロック数についてはベースクロックもブーストクロックも全体的に上昇しています。ただし、廉価版CPUは別です。
これはインテルのチック・タック開発策の「タック」にあたる進化でしょうか。
同じプロセスでほぼ同じアーキテクチャを用いるのにも関わらず、そのプロセス自体が成熟しているのでより効率的にパフォーマンスを発揮することができます。最上位の「Core i9-10900K」なんかは5.3GHzにまで達していて、Core i7も5.0GHzを超えるようです。これは最近発表された第10世代ハイエンド・モバイル向け「Comet Lake-H」と同じということですね。
4、内臓グラフィック
内臓グラフィックは最上位モデルということでCoreシリーズではすべてUHD 630が導入されています。つまり、第9世代のものと変わりません。
同じ十世代CPUの「Ice lake」シリーズですと最上位モデルでIntel Iris Plusグラフィックが使われていてUHD 630の2倍程度の性能が期待されています。
Ice Lake CPUではモバイル向けということで内蔵グラフィックスが重視されているようですが、比較的CPUパワーに重きを置いているComet Lakeシリーズではあまり内臓グラフィック性能が重視されていないようです。
5、キャッシュサイズ・TDP
キャッシュサイズは全体的に増量しています。そしてTDPについてはKシリーズがそこそこ高めとなっています。
ここまでTDPが高くなってしまうのはコア数の増加とクロック数の上昇が関係してくるでしょう。
6、価格
Coffee lake Refresh-Sについてはあまり定かなものではないですが、価格については全体的に少しだけ上昇しています。
最近Intelは新CPU、例えば「Xeon-W2200シリーズ」「Corei9-10000Xシリーズ」などの一部のモデルを前世代のほぼ半額まで値下げすることで市場を大きく動かそうとしているみたいですが、どうやらメインストリーム・ラインナップでは値下げしないようです。つまりハイエンドCPUのみ値下げするということですね。
また、CeleronCPUについては今世代も1万円以下で入手することができるでしょう。
関連記事:IntelがついにXeon-W も半額に設定【Xeon-W2200シリーズ】
ついにIntelからCorei9-10980XEが激安で発表される
第十世代Comet Lake-S CPUは買い?
型番が4桁から5桁に変わることでなにか大きな進化を遂げ、これは買うしかないという風にお考えの方もいるかもしれませんが、実際のところそこまでの性能上昇は期待されません。
以下の記事を見てもらうとあまり性能差がないことがわかります(これはモバイル向けですが)
新Thinkbook14、13sから変わったのはサイズだけではない【買うべき?】
パフォーマンスの上昇というよりも、ソケットが新しくなり対応チップセットも変わるだとか、Wi-Fi 6に対応するだとかThunderbolt 3をCPU単位でサポートするだとかの通信関係の進化が大きいかもしれません。
おそらくその次世代のデスクトップ向けCPU「Rocket lake-S」シリーズでもう少しパフォーマンスが上昇すると思われるのでそれまで待ってみるのもありだと思います。
ただし、もしもIcelake-S(Icelakeのデスクトップ向けCPU)が発売されるのだとしたら圧倒的にそっちの方がパフォーマンスがよくなりそうです。
Ice lake CPUはそこそこの評価を受けていますからね。
いろいろ間違ってない?
プロセスルールはIntelの基準が他社より小さいから一概には比較できないし、
コア数増えたの8世代からやし、
そもそもチックタックは7世代の時に崩壊しているw。
ご指摘ありがとうございます。
そうですね、Intelの10nmはAMDの7nm等と同等だと言われたりもしますよね。 少し記事の方修正しておきます。