CPUアーキテクチャの特徴を決める一つの要素として「プロセス」があります。この数値は簡単に説明すると、CPU内の回路がどれだけ細かくできているのかを表すもので、数値が低い方が回路の幅が細かいということになり、電力効率が良かったり発熱量が少なくなったりします。 そしてIntelのCPUのプロセスは2010年ごろまで65nm程度でしたが、現在(2021年夏)ではもう10nm、つまり6分の1以下の細さになっています。
そしてこれからもどんどん細くなっていく予定ですが、そんなIntelのプロセスの2025年までのロードマップが公開されましたので紹介していきたいと思います。
Intelの2025年までのプロセスロードマップ
まず最初に、2025年までのプロセスロードマップを一挙公開していきます。また、今後のIntelのプロセスについてはその命名法が変わっていたりするのでそこも含めて解説していきます。

Intelからこのような画像が公開されています。左から右に向かって時代が進んでいます。現在は10nmプロセスとなっていて、右に進むと早速「nm」の文字が消えていて命名法が変わっています。なお、この「7」や「4」などの数字は単純にプロセスの細さ(単位:nm)を表しているわけではないということに注意してください。
また、一番右については「A」という文字が使われていますね。
それでは一つ一つ解説していきます。
Intel 10nm SuperFin
まず最初に「Intel 10nm SuperFin」になります。IceLakeシリーズで使用されたIntel 10nm ++をさらに拡張させたものになります。
正式名称 | Intel 10nm SuperFin |
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以前の名称 | — |
プロセス | 10nm |
採用するシリーズ | 第11世代Tiger Lakeアーキテクチャ等 |
登場年度 | 2020 |
このプロセスは第11世代のTiger Lakeシリーズで採用されました。Ice Lakeに続く二年目の10nmプロセスになりますが、デスクトップ向けシリーズのRocket Lakeについては依然として14nmプロセスが採用されましたね。
Tiger LakeおよびRocket Lakeシリーズについては以下の記事をご覧ください。
【ついに登場】Intel第11世代「Tiger Lake」CPUをモデル別に紹介
Intel第11世代デスクトップCPUの性能を紹介!【Rocket Lake-S】
Intel 7
続いてから未登場のプロセスになります。「Intel 7」です。7という数字が入っていますが10nm EnhancedSuperFinを改名したものですので、一応10nmプロセスということになります。
正式名称 | Intel 7 |
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以前の名称 | Intel 10nm EnhancedSuperFin |
プロセス | 10nm |
採用するシリーズ | 第12世代Alder Lakeアーキテクチャ等 |
登場年度 | 2021 |
このプロセスは第12世代Alder Lakeアーキテクチャなどに採用されるもので、10nm SuperFinと比べて10~15%ほど電力効率が向上しています。
Alder Lakeアーキテクチャについては以下の記事をご覧ください。
【AMDに負けた】Intel Alder Lakeモバイル向けCPUの性能について
Intel 4
続いては「Intel 4」です。こちらは4という数字が入っていますが4nmプロセスということではなく、7nmプロセスです。
正式名称 | Intel 4 |
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以前の名称 | Intel 7nm |
プロセス | 7nm |
採用するシリーズ | 第13?14?世代Meteor Lakeアーキテクチャ等 |
登場年度 | 2022 |
こちらはIntel 7よりも電力効率が20%程向上していることが期待されるプロセスです。第13世代(14)にあたると考えられるMeteor Lakeアーキテクチャで採用されることになるでしょう。
一応7nmプロセスなわけですが、Intelの半導体は他社のものに比べて数字に対してより細かいプロセスになっているといわれています。つまりIntel 10nmがAMDなど(TSMC)の7nmプロセスと実質的には同じような半導体であるといわれていたりするので、Intel 4はもしかすると他社の4nmプロセス半導体くらいの可能性を秘めているかもしれないです。
Intel第14世代デスクトップ向けCPU「Meteor Lake」の情報
Intel 3
続いては「Intel 3」です。こちらはIntel 4を最低化したプロセスになり、電力効率が18%程度向上することが期待されます。
正式名称 | Intel 3 |
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以前の名称 | Intel 7nm +? |
プロセス | 7nm+? / 4nm? |
採用するシリーズ | 第14?/15?世代Lunar Lakeアーキテクチャ等 |
登場年度 | 2023 |
Intel 4を最適化したということでIntel 7nm+というような呼び方ができますが、おそらくIntel 4nmプロセス程度に相当するかと考えられます。こちらは2023年度に導入され、第14/15世代として登場するであろう「Lunar Lake」アーキテクチャで採用されるといわれています。
Intel第15世代デスクトップ向けCPU「Lunar Lake」の情報
Intel 20A
続いてはさらに命名法が変わっている「Intel 20A」になります。これはもはや単位がナノメートルではなく、「オングストローム:A(1A=0.1nm)」に切り替わることを意味しています。
つまり20Aというのは2nmプロセスに相当するということになりますね。
正式名称 | Intel 20A |
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以前の名称 | Intel 2nm? |
プロセス | 2.0nm (20A) |
採用するシリーズ | 第16世代Coreシリーズ~ |
登場年度 | 2024 |
20Aノードは現在ある「FinFET」方式に置き換わる、真新しい「RibbonFET」方式を採用します。Intel 20Aの後はIntel 18Aが2025年度に登場するだろうといわれています。
参考記事:https://wccftech.com/intel-process-node-roadmap-new-naming-scheme-intel-7-4-3-20a-beyond-2024/