つい先日、Appleから6年ぶりに新型のプロ仕様デスクトップパソコン「Mac Pro」が発売されました。以下の記事で詳しいオプションについて徹底解説しました。
Mac Pro 2019年モデルのオプションと性能について徹底解説【最速報】
Mac Proに限らず、Appleが販売するものは大体高値すぎると言われますが、今回のMac Pro 2019年モデルも本当に高すぎるのでしょうか? この記事では最小構成時と同じような仕様のパソコンを組み立てることを想定して、Mac Proがどれくらいぼったくりなのか検証していきます。
Mac Pro 2019年モデルの最小構成をおさらい
冒頭でも言いましたが、この記事ではMacPro 2019年モデルの最小構成時と同じ仕様のパソコンを作ると仮定してそのコストを比較していきます。
ということでまず最初にMac Pro 2019年モデルの最小構成をおさらいしましょう。
なお、Mac Proではオプションを高くするにつれてコストパフォーマンスが下がってくるので、最小構成時が一番コストパフォーマンスが良いと考えられます。
Mac Pro 2019年モデルの最小構成
項目 | Mac Pro Late 2019 最小構成 |
---|---|
CPU | Xeon W-3223 8コア16スレッド |
メインメモリ | 32GB (4 x 8GB DDR4) |
グラフィックス | AMD Radeon Pro 580X (8GB GDDR5) |
ストレージ | 256GB SSD (NVMe SSD) |
冷却ファン | 14cm x 3? |
電源装置 | 1,400W |
付属品 | Bluetooth テンキー付きキーボード , Bluetoothマウス |
価格 | 659,780円 |
主な仕様は以上のとおりです。軽く説明します。
CPU:CPUはIntelの新しいXeon Wシリーズ「W-3200」の一番下のモデルになります。まだ単体では販売されていませんが、前世代のW-3100シリーズと比べて全体的にエネルギー効率が上昇しました。
W-3223の性能はちょうどCorei9-9900Kと互角です。
メインメモリ:8GB DDR4メモリが4枚の構成です。サーバー向けのECCメモリにはなりますがパフォーマンスとしては通常のものと同じです。
グラフィックス:グラフィックスはAMDのRadeon 580Xで、こちらもMac Pro専用の非売品になります。性能としてはRadeon RX 590と同じくらいです。
ストレージ:ストレージについては最小モデルではたったの256GBとなります。接続方式がM.2かどうかはよくわかりませんが、SATA接続ではなく何かしらの形でPCI-eに接続していると思われます。そのため書き込み・読み取り速度が非常に優秀です。公式ホームページでは最大3.4GB/sの転送速度を実現すると主張されています。
冷却ファン:ケースの形状、パーツの配置などいろいろな点で冷却に気を使っているとは思いますが、とりあえずここでは前に3つついている冷却ファンのみを考えます。
具体的なサイズについてはよくわかりませんがケースの大きさから考えて一つあたり14cmくらいだと考えられます。どうやらこのファンのうち一番上にあるものがCPUクーリング用になっているみたいです。
電源装置:電源装置は驚異の1,400Wになります。自作パソコンで使われる電源は大体700W前後なので、比較的大きい電源であることがわかります。ただ、最大構成になるとこの要領が役に立ってきますが、最小構成では少しオーバースペック気味です。
付属品:Bluetooth接続のキーボードとマウスになります。ほかにもLightningケーブルなどが付属しますがここでは考えないことにします。
価格:最小構成でまさかの60万円越えです。
最小構成と同等性能の架空パソコンを考える
それではMac Pro 2019年モデルの最小構成と同等の性能をもつ架空のパソコンを作っていきましょう。以下のようなパーツにします。ここでは市場で選んだパーツの値段も載せます。なお、MacProについてはパーツごとの価格がわからないため合計価格のみ載せます。
比較項目 | MacPro Late-2019 最小構成 | Mac Proもどき | 価格 |
---|---|---|---|
ケース | フルタワーサイズ? | オウルテック フルタワーケース | 6,700円 |
マザーボード | 完全独自 | MSI Z390 ATX マザーボード | 12,000円 |
CPU | Xeon W-3223 8C16T | Corei9-9900KF 8C16T | 55,000円 |
メインメモリ | DDR4 8GB x 4 | Corsair 8GB x 4 (2,666MHz) | 15,000円 |
CPUクーラー | ?ファンはケースファン兼用 | 虎徹 Mark II | 4,000円 |
ストレージ | 256GB SSD | シリコンパワー M.2接続 NVMe 1.3 256GB | 5,500円 |
ケースファン | 140mm x 3? | Novonest 120mm x 3 | 1,000円 |
グラフィック | Radeon Pro 580X 8GB | 玄人志向 Radeon RX 590 8GB | 22,500円 |
電源装置 | 1,400W | 玄人志向 80 Plus GOLD 750W | 8,400円 |
キーボード | フルサイズ,Bluetooth | iClever bluetooth キーボード | 4,000円 |
マウス | Bluetooth | Logicool ワイヤレスマウス | 1,900円 |
OS | MacOS X Catalina | Windows 10 Pro | 20,000円 |
その他 | エレコム Bluetoothレシーバー | 1,000円 | |
合計金額 | 660,000円 | 157,000円 | — |
以上のような感じです。それでは各項目説明していきます。
1.ケース
私が選んだのはオウルテック製のフルタワーPCケースになります。サイズとしてはMacProに近いです。MacProに比べて明らかに品質が劣ると思いますが、1万円もしないというコスパの良さです。
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2.マザーボード
私が選んだのはMSIのZ390マザーボードです。ATXサイズで拡張性に優れており、IOも充実しています。この後説明していくCPUをサポートするためにZ390のものにしました。ただ、MacProにはXeon W-3200シリーズが搭載されているのでマザーボードはIntelのX299チップをベースにしたものになります。
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3.CPU
CPUはCorei9-9900KFです。Xeon W-3223と同じコア数/スレッド数を保有し、そのパフォーマンスも近いです。ゲーム性能でいえばCorei9の方が一歩リードしているでしょう。外付けグラフィックボードを搭載することがわかっているので内蔵グラフィック非搭載の「F」付きモデルにしました。
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4.メインメモリ
メインメモリは同じ条件にしました。動作周波数がよくわからないので2,666MHzのものを選びましたが、実際のところ動作周波数が多少変わってもパフォーマンスはほとんど変わらないです。
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メインメモリメーカーとしてもかなり有名なCorsairのものを選びました。
5.CPUクーラー
CPUクーラーにつきましては、MacProでは特殊なスタイルを採用しているので、とりあえず最強の空冷クーラーを選びました。
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このクーラーならCorei9-9900KFを余裕で冷やすことができます。ちなみにオーバークロックは想定していません。
6.ストレージ
ストレージについてもほとんど同じ条件です。より速い転送速度を実現するM.2接続のNVMeタイプのものを選びました。
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5年保証なのでMacProよりも優秀かもしれません。
7.ケースファン
ケースファンについてはMacProをまねて大きいものを前面に設置することにしました。ただ、ケースの都合上140mmファンは適切じゃないので120mmの光らないファンを採用することにしました。冷却ファン市場では結構有名なNovonest製のものになります。
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8.グラフィック
グラフィックについてはRadeon Pro 580Xとほぼ同じ性能をもつ、Radeon RX 590 8GBを選びました。グラフィックボード市場でかなり有名な「玄人志向」製のものになります。
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9.電源装置
電源装置については、1,400Wのものが市場にほとんど出回っていないため750Wのものを選びました。電力をそろえた方がよかったかもしれませんが電源が大きくてもその分使わないなら全く意味がないので大丈夫でしょう。
こちらも玄人志向製のものになります。
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こちらは80 Plus GOLD認証を受けているので非常に電力効率が良いものになります。750WもあるのでCPUとGPUに向けて電力を保有で供給することができるでしょう。
10.キーボード・マウス
キーボード・マウスについてはBluetoothのものを選びました。2.4GHzのワイヤレス接続を行うものの方が比較的安いのですが、ここはあえて条件をそろえました。
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ただ、選んだマザーボードにはBluetoothのレシーバーが搭載されていないので1,000円でエレコムのUSBレシーバーも追加することにしました。
11.OS
そして一番問題になってくるのはOSについてです。ここはどう頑張っても条件をそろえることができないのでとりあえずWindows 10 Proを選びました。MacできてWindowsにできないことなんてあまりないですからね。
そして金額はおよそ4倍の差となりました。衝撃的ですね。
MacPro 2019年モデルはぼったくりなのか?
そりゃもちろん
上の検証ではOS以外はほとんど性能等の条件をそろえました。その結果価格に4倍もの差がついたので、それはもちろんぼったくりです。
ですがOSの使いやすさ、サポートの充実さや動作の安定性についてはMacProの方が優秀かもしれませんし、パソコン側面にリンゴマークがついているだけでも相当価値が高くなるでしょう。
パソコンの本質的な性能以外の付加価値も一つの価値ではあります。つまりは、
660,000円 – 157,000円 = 503,000円
これくらいは付加価値なのです。
これを高いと感じるかは人それぞれですが、少なくとも自分にとっては高すぎると感じますね。
ちなみにオプションを変えてもっと性能を高くしていくと更にコストパフォーマンスが悪くなるので要注意です。
ただ、最高構成ともなると他のパソコンでは再現できないくらいの性能を保有することになるので急激に価値が上がるでしょう。つまりは、MacPro買うくらいなら最高構成にしないと意味がないということですね。
ちなみに最高構成の性能だったらあと5年間くらいはハイエンドの座に居座りづつけることができると思います。
XeonとCoreシリーズを比べるのは流石に草生える
それな
安めのパーツに置き換えているあたり
記事には少し恣意的なものを感じますが、その分を補正しても30万行くことはないです
結局はほとんどリンゴマークに金がかかってるってことですね
そうですね、Mac Proのものと同等とは言えないパーツを選んでしまい少し不公平な比較となってしまいましたが、にしてもMac Proは高すぎるといった感じです。