有機ELディスプレイが流行り始めたのはいったいいつのことでしょうか。今では上位モデルのスマートフォンには必ずと言っていいほど搭載されています。有機ELディスプレイのメリットは主に「コントラスト比が高い」ということですが、その反面デメリットとして「画面焼き付き」が起きてしまうことなどがあげられます。
この記事では有機ELディスプレイを利用するにあたって、画面焼き付きが発生してしまう原因と予防方法について話していきます。
目次
この記事を2文で説明すると
- 画面焼き付きは有機ELディスプレイで発生しやすい症状で、特定の画面を表示し続けることで画面にその色が残ってしまう現象のことを指す
- 防止するためには、長時間同じ画面を表示しない、画面の明るさを上げすぎないなどがあげられる
有機ELディスプレイについて
有機ELディスプレイの仕組み
まずそもそも有機ELディスプレイとは何なのかについて語っていきたいところですが、これにつきましては以前の記事で紹介してあります。
TN・IPS・VA・有機EL方式ディスプレイの違いを解説【図解】
有機ELディスプレイでは画素として発光する有機材料を用いります。画素そのものが三原色に発光するのでバックライトを設置する必要がありません。

メリット
何と比べた時のメリットだよって感じですが、基本的に有機ELディスプレイはこれまでのスマートフォン用ディスプレイの主流だった「液晶」と比較されます。液晶方式も先ほど紹介した記事で触れていますが、液晶方式では画素自体はカラーフィルターとなっていて、バックライトからの光の量を画素ごとにフィルターで調節することで三原色の色の割合を調整します。その結果様々な色を作ることができるのです。

さて、話が脱線してしまいましたが、ここで液晶方式については黒色を表現したい画素についてもバックライトが照らされ、それを限りなく遮断することで黒色を表現しています。しかしバックライトが強いとどうしても一定の光が漏れてしまい、黒が灰色っぽく表現されてしまうことがあります。これがコントラスト比の低下を招くのです。
一方で有機ELディスプレイについては自ら発光する有機材料が画素となっていて、黒色を表現したい画素では発光しなければよいだけです。つまり消灯しているのです。そのため完璧な黒を表現することができ、コントラスト比を高めて色をくっきりさせることができるのです。
また、システムが画素ごとに独立していて、ディスプレイを曲げて設置することができます。つまり柔軟性があるということです。最近のスマートフォンでは画面の端のほうが曲がっているものが多いですが、あれは有機ELディスプレイの特徴を生かしたものです。
また、バックライトが必要ない分比較的薄型にできるというのもメリットの一つです。それに加え、一様に強い光を当てるバックライト方式と比べて、必要最低限の光か出さない有機EL方式のほうが電力を節約することができるという一面もあります。
デメリット
メリットがある一方でもちろんデメリットもあるわけです。まずは高価だということがあげられるでしょう。次にある一定の条件で「画面焼き付き」という現象が発生しやすいということがあげられます。これは有機ELディスプレイ特有のものです。
なお、輝度が低いということもあげられるようですが、輝度に関しては最近の有機ELディスプレイは液晶並みに高いというか、むしろ液晶を超えているものが多かったりします。私が使っているiPhone 12 Proも有機ELディスプレイですが輝度が非常に高くて太陽光の条件下でも結構画面が見やすくなっています。 また、熱に弱いことも考えられることがあるようですが、最近の有機ELは100℃を超えても耐えるものが多く、通常用途の条件下では軟化したりはしないとのことです。
画面焼き付きについて
画面焼き付きの原因
画面焼き付きとは、ある特定の画面をじーっと表示していたせいで、ほかの画面を表示しているときでも前の画面の跡が残像のように残ってしまう症状のことをいいます。

上の画像は友達のiPhone Xで発生してしまった画面焼き付きの様子を表していますが、白いページを表示しているのにも関わらずうっすらとアプリの跡が残っています。 これはつまり、ホーム画面を表示しすぎたということでしょう。 焼き付きが発生してしまう三つの要素として以下のようなものがあります。
①明るさ
②色
③表示時間
最も重要なのはやはり表示時間でしょう。同じ画面をずっと表示しているとその色が有機材料に焼き付いてしまい、色が偏ってしまいます。これは一応液晶ディスプレイやブラウン管ディスプレイなどのころからみられる現象のようですが、有機ELディスプレイに顕著にみられます。
そして重要なのは表示時間だけではありません。例えば黒色を表示するなら消灯に等しいので焼き付くわけがありませんが、白色は色の中で最も輝度が高く、すべての画素をフルで発光させているのでそれだけ焼き付きが起きる原因となりやすいです。なお、白色で焼き付いてしまった後に白色の画面を表示しても目立たないですが、ほかの色を表示したときに目立ってしまうことがあります。
また、明るさを上げれば上げるほど焼き付きが起きやすくなってしまいます。 イメージだと、明るいものを見た後に目を閉じたらそのあとが瞼の裏に残っている感じです。明るければ明るいほど強く残りますし、長時間であるほど強く残ります。また、黒色よりも白色のほうが強く残るでしょう。
画面焼き付きの防止策
画面焼き付きの防止策は、原因を減らすことです。そりゃそうか。
具体的には
①必要以上に輝度を上げない
ここから主にスマートフォンの話になりますが、輝度というのは画面の明るさのことです。昼間の外では画面が見えないので仕方ありませんが、夜使うときは明るさを絞るなどして、必要以上に輝度を上げないことが大切です。最近ではAndroidでもiPhoneでも「明るさの自動調整」という機能が出ていますので、そちらを利用するのも一つの手だと思います。
②長時間同じ画面で放置しない
長時間同じ画面のまま放置しないというのも大切です。スマートフォンではあまりないとは思いますが、例えばすぐに使うからといってホーム画面を表示したまま机に置き続けるといった行為は禁物です。ちなみに私はよくやってしまいます。(iPhone 12 Proが進化しているからか、今のところ全く焼き付きは発生していません)
また怖いのは、ある特定の画面を表示したまま夜に寝落ちしてしまうことです。動画を見ているならまだよいものの、静止画を見ていたら焼き付いてしまうリスクが格段に高くなります。 そんな時、「画面の自動オフ」機能を使うのが一番の防止策でしょう。 その方法については「iPhone 画面の自動オフ」などと調べればすぐに確認することができます。
③ナイトモードを利用する
最近のスマートフォンには「ナイトモード(ダークモード)」と呼ばれる配色モードに設定することができるものが多いです。こちらのモードでは配色が全体的に暗くなり、夜に見ても目がチカチカしないような見た目になってくれます。全体的に暗い色になるどころか、黒(消灯)が使われる場面も多いので、画面焼き付き防止には最適です。私は昼間にはライトモードに、夜にはナイトモードに自動的にシフトする機能を使っています。
また、電力の節約にもなりますのでお勧めです。(有機ELディスプレイの特権です)
④最新OSを使う
有機ELディスプレイが焼き付いてしまうことはスマートフォンの開発者であれば痛いほどわかります。そのため、消費者がそこまで気にかけなくても自動的に焼き付きを防止できるように年々OSは改善されているようです。「ナイトモード」などの新しい機能を利用するためにも、スマートフォンのOSは最新のものにしておくべきでしょう。
やり方がわからないという人は… 調べてください。iPhoneの場合、更新がされていなかったら設定を開いたときにわかりやすく誘導してくれるのでわかりやすいと思います。
画面焼き付きを治す方法
もしかしたらすでに画面焼き付きが起きてしまって困っているという方もこの記事を読んでくださっているかもしれません。 画面焼き付きは特定の色を表示したままにしてしまったがために発生してしまう症状なので、逆にある特定の画面を表示し続けることで改善させるように焼き付きを故意に行うことができる場合があります。
Androidでは焼き付きを治すためのアプリもあるようですが、正直この手のアプリはあまり使わないほうが良いかと思います。焼き付いている色によりますし、強制的に白に焼き付かせたとしてもごまかせない場合が多いので、気になるようでしたら修理に出すのが一番かと思います。
そもそもそこまで焼き付きって発生するの?って感じはしますね。正直筆者であるBableTech管理人も一度も体験したことがありません。