年々ストレージの大容量化が実現され、最近ではSSDすらも大容量なものが出てきました。もちろん大容量なHDD / SSDにはそれだけ大きなデータを保存するということですが、そこで心配になってくるのは「HDD/SSDの寿命」でしょう。
そこでこの記事では、すぐに実践できる「HDD/SSDの寿命を調べる方法」を紹介していきます。
この記事を2文で説明すると
- HDDの壊れ方は「故障」、SSDの壊れ方は「寿命」というイメージが強い
- 「Crystal Disk Info」というソフトを使えばディスクの寿命を簡単に調べることができる
実は寿命がある「SSD」と「HDD」
パソコンについている中央処理装置「CPU」やその他のパーツなどにはあまり経年劣化しないものが多いですが、その一方でストレージである「SSD」や「HDD」については使い量に応じて劣化してきます。
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SSDやHDDの詳しい仕組みや違いについては以下の記事を参考にしてください。
この記事では「HDD」よりも「SSD」の方が寿命が短いと説明しましたが、それはあくまでも仕組みを考慮しての話なので、使いようによってはもちろんSSDの方が寿命が長いなんてこともあります。
ただ、両者で壊れ方、つまり寿命への達し方に差があります。
HDDの壊れ方
HDDは物理的な衝撃などや熱によって壊れることが多いです。中で金属の円盤が高速回転している分、その円盤が歪んだりしたら大変ということですね。
また、経年劣化や不安定な電力供給によって記憶装置の単位である「セクタ」ごとに壊れるというケースもあります。この「セクタ」が何らかの理由で破壊されたら、予備領域のセクタによって代替処理されます。
決定的な原因があってセクタ不良が発生したならまだ良いのですが、特に衝撃を与えた等ないのにセクタ不良が発生すると寿命が近づいている前兆でもあります。そのため、一般的には不良セクタおよび代替処理が行われたセクタが1つでもあると「危ないハードディスク」と認識されるようです。
SSDの壊れ方
続いてはSSDですが、SSDには物理的なディスク(円盤)等が入っていないため物理的に壊れることはあまりありません。そこそこ衝撃を与えても涼しい顔をしていますし、比較的熱にも強いです。
ただ、この記事で詳しく説明しましたがSSDは電子群を無理やり「酸化膜」に通すことによってデータを保存しています。その「酸化膜」は電子の通過と共に劣化してくるので、すなわち「書き込み量」で寿命が決まります。 つまりSSDは書き込み量に比例して壊れやすくなるのです。ちなみに最近の安いSSDには「TLC」や「QLC」などの、一回の書き込みで電子群が本来の3,4倍通過する方式が採用されていることが多く、単純計算で寿命は3,4分の1程度になります。
そして酸化膜が故障したSSDの単位「ブロック」は書き込みができなくなりますので予備の領域で代替処理を行います。SSDもHDDと同じで代替処理が行われるようになったら寿命が近づいている前兆ですので注意が必要です。
そして完全に寿命が来ると書き込み不可能になります。でも読み込みは行える場合が多いです。
寿命を調べる方法
それでは続いて、SSDやHDDなどのストレージの寿命を調べる方法を説明していきます。
まずは調べるときに使うソフトについて説明していきます。
ソフトの導入
ここで紹介するのは「Crystal Disk Info」というフリーソフトです。誰でもすぐに導入することができると思います。
ダウンロード
まずは以下のページにアクセスして「Crystal Disk Info」の「ZIP」を選択します。
https://crystalmark.info/ja/download/

ここをクリックするとすぐにZIPファイルのダウンロードが開始されます。そしたらダウンロードしたZIPファイルを「展開」しましょう。
ZIPファイルの展開
ZIPファイルはたくさんのファイルを1つにまとめるために「圧縮」されたもので、これを元の状態に戻すことを「展開」や「解凍」と言います。また、中には解凍の際にパスワードが必要なものもあります。
まずはダウンロードしたファイルを右クリックし、「すべて展開」を選択します。

そしたら次に展開先を選択します。

基本的にZIPファイルがあるフォルダ上に展開されます。特に希望が無い場合は右下の「展開」をクリックして完了です。
起動する
そしたら展開されたフォルダを開き、中にある「DiskInfo64.exe」をダブルクリックします。これでソフトを起動することができます。
HDDの寿命確認
それではソフトが起動出来たところでHDDの寿命を確認していきましょう。ソフトを起動したら以下のような画面が出ると思います。

ここには主に3つのブロックがあります。
①仕様
使っているハードディスクの仕様です。一番上に製品名があり、その横に容量が記載されています。HDDの機能を調べるときは見るべきフィールドですが、使うにつれて変わるものでもないので寿命を確認する時はあまり気にしなくて良いと思います。
②利用量
この赤いフィールドに利用量が出てきます。私の経験ではかなり正確な表示となっていましたが、中にはうまく反映されていない場合もあるようなのであくまでも参考値として受け取りましょう。
もちろんメーカーや商品にも寄りますが、使用時間が5万時間近くなったら急に壊れる可能性も高くなってきます。電源投入回数についてはあまり気にしなくても良さそうです。
③判定
左にあるオレンジのフィールドは判定結果を表しています。この画像では「正常」になっていて、温度も33℃と、ちょうど良くなっています。
ただ、この温度についてもうまく計れていない場合があるようなのであくまでも参考値として受け取りましょう。温度が高いから壊れているというよりは、温度が高いと壊れやすいという警告の一種です。
また、この「正常」などの判定についてですが、実は自分で線引きを行うことができます。この「正常」をクリックしてみましょう。すると判定の基準を確認することができます。
判定の基準

基本的にこの判定基準はHDDとSSDで異なります。HDDでは
- 代替処理済みのセクタ数
- 代替処理保留中のセクタ数
- 回復不可能セクタ数
が判定基準になっていて、既定ではいずれかの値が1に達したら(1つでもできたら) 「注意」判定を出すように設定されています。 つまりセクタ不良が徹底的に問われているわけですね。
そして下にあるスライダーでこの基準を変更することができます。
私の経験上、おそらくこのいずれかの値が「10」程度に達したら使用するのを控えた方が良いと思っています。1つでも出来たら警戒すべきではありますが、正直1つだけだとまぐれだったっていう可能性もありますしね。
ちなみに下側にある判定の詳細にて、現在値がしきい値に達した場合は「異常」がでるようになっています。この時は速やかに買い替えた方が良いです。
SSDの寿命確認
続いてはSSDについてです。SSDについてもソフトの見方は基本的にはHDDと同じです。

①仕様
SSDについても、本体の機能や接続方式をこのフィールドで確認することができます。
②利用量
SSDについては読み書き量が非常に重要になってくるので、このソフトでもたくさんの項目があります。基本的には上から二番目の「総書込量(NAND)」を確認するようにして下さい。この値は実際にNANDフラッシュメモリ(書き込み量に制限がある) に書き込まれたデータの総量を表しています。
目安としては商品によって異なってきますが、最近は「TLC」方式のSSDが多いのでだいたい5000GB程度に達していたら買い替えを検討した方が良いと思います。
また、使用時間については5万時間程度を目安にした方が良いですが、基本的には書き込み量重視です。
③判定
判定についてはHDDと同じように「正常」などの文字が表記されます。また、その下に温度が表示されます。この温度もあくまでも参考程度に受け取るべきですが、赤くなっていたら少し設置場所を変えた方が良いかもしれません。
判定の基準
それではこの「正常」フィールドをクリックしてみましょう。

HDDの壊れ方としては「故障」という感じでしたが、SSDの壊れ方としては「寿命」という感じがします。それもあってか判定の基準は「残り寿命」のみになっているようです。残り寿命は総書込量やその他不良セクタ数などを基に計算されているもので、規定値では「10」となっています。
SSDの判定については既定のものに従って、表記が「注意」になったら買い替えを検討するべきですね。
といってもなんだかんだであまり寿命が来ないのがSSDの特徴でもありますね。また、HDDにように急に使い物にならなくなったりすることも少ないです。
この一言判定だけではなく、下の判定の詳細についても確認するようにしてください。