皆さんはUSB Type-C端子搭載のパソコンを使っていますか。もう新しいパソコンには必ずと言っていいほどUSB Type-C端子が搭載される時代になってきました。
それもそのはず、USB Type-C端子は非常に機能性に優れています。USB Type-C端子でできるようになったことについては以下の記事をご覧ください。
そして今回紹介するのは、そのUSB Type-C端子をフル活用するための「USBハブ」の正しい選び方についてです。
なお、同じUSB Type-C端子でも、パソコンによってサポートしている機能が異なっていたりしますので注意が必要です。
そもそもUSBハブとは?
正しい選び方について説明する前に、そもそもUSBハブとは何なのかについて説明していきます。
USBハブというのは、1つのUSB端子を複数のUSB端子に増やす装置です。つまり、比較的USB端子数の少ないノートパソコンやスマートデバイス等でもこの装置があれば、様々な周辺機器を取り付けられるようになるのです。

USB Type-CにおけるUSBハブ
USBハブの基本的な役割としては上で紹介したように「USB端子を増やすこと」になりますが、最近ではUSB端子以外を搭載しているものもあります。
特にUSB Type-C接続のものについてはUSB Type-Cならではの機能を活用しているものが多いです。その機能については後程説明していきます。

ドッキングステーションとの違い
USBハブに似たようなものとして「ドッキングステーション」があります。

ホストデバイスにつなぐことによってUSB通信、映像出力などの多機能を使える装置。 通常ホストデバイスに一つのケーブルで接続され、疑似的にデスクトップパソコンのように使うことができるのが特徴。 もっと詳しく
明確に違いを説明するのは難しいですが、USBハブはドッキングステーションに比べると外でも気楽に使えるイメージが大きいです。中には補助電源が必要なものもありますが、基本的にはパソコン本体に取り付けるだけで外出先でも様々な機器を接続できるというのが売りだと思います。 対してドッキングステーションは家の中に設置し、帰ってきたら接続して使うというイメージが大きいです。
ドッキングステーションの選び方や仕組みについては以下の記事をご覧ください。
USB Type-C用ハブの選び方
それではUSB Type-C用ハブの選び方について説明していきます。ここで紹介する選び方は一般的な「USB Type-A用ハブ」の選び方と共通するものがありますが、あえてUSB Type-C用ハブというテーマでいきます。
※この記事で紹介するUSBハブはあくまでも製品例として提示しているだけであって、BableTechがおすすめしているものではありません。 おすすめのものについては後程紹介します。
入力端子
まずは入力端子についてです。
1入力
最も主流なのが1つのみ入力端子があるUSBハブです。例えば以下の商品はそうです。
入力端子の個数に特にこだわらない人は1入力タイプのものが良いでしょう。というか市場に売っているハブのほとんどはこのタイプになります。
2入力
中には2つのUSB Type-Cポートに接続するUSBハブもあります。
例えばこちらの商品は2つの入力端子が横並びで設置されています。これは通信速度を速めるというよりは、本体により密着し、かつ固定するための設計です。この商品はAppleのMacBookシリーズ専用のものになっていて、MacBookの側面にある2つのUSB Type-C端子にフィットするようになっています。
そのため他の製品で使用するのは難しいですが、逆にMacBookを使っている人ならこのようなUSBハブの方がしっかり固定できて良いでしょう。パソコン本体を持ち上げた時もぶら下がることが無いので安心です。 また、充電もこのハブから行えますので側面の2ポートが完全に塞がっても問題ありません。
MacBookだけでなく、今後オールUSB Type-C化が進むにつれてあらゆるパソコンでこのような2入力タイプのUSBハブが利用できるようになると思います。
補助電源付き
本体接続用の1つ(または2つ)のUSB Type-C端子に加えて、別に補助電源を取り付けることができるUSBハブも存在します。
こちらのUSBハブはUSB Micro-B端子でハブ本体に給電することができます。そうすることによって、多くの電力を要する外付けHDD等も安定して動作させることができます。 このようにUSBハブ本体の電源を別途に用意する形式を「セルフパワー」と言います。逆に、ホストデバイス(パソコン等)と接続しているUSB端子からの給電のみで動作する形式を「バスパワー」と言います。
そのため、USBハブを充電器にしたい場合は「セルフパワー」という検索ワードを入れましょう。 バスパワータイプのものでもわずかに充電することはできますが、電力が少ない上にノイズが入りがちです。
例えばUSB給電タイプのスピーカーなんかを接続すると(スピーカーにもよるが) スピーカーの音にノイズが交じりがちというのが私の経験上の話です。そのためノイズ混入が好ましくない場合でもセルフパワータイプのものをお勧めします。
ただ、セルフパワータイプともなると外出先で気楽に使うのは難しくなってきますよね。どうせセルフパワータイプのものを購入するなら「ドッキングステーション」の購入をお勧めします。
搭載機能
続いてはUSBハブ本体の機能についてです。
USB通信
USBハブなので当たり前ではありますが、ほぼすべてのUSBハブが「USB通信」機能を持っています。USB Type-CはUSB 3.0通信の他、少し古めのUSB 2.0や最新のUSB 3.1(3.1 Gen2)等もサポートしていますので、より多くの種類のUSB通信を行うことができるでしょう。ただしホストデバイス側も対応している必要があります。そのため、自分の持っているパソコンが「USB 3.0」をサポートしていたらUSB 3.0端子を搭載しているUSBハブ等を購入するなど、パソコンをフル活用できるものを選びましょう。
中にはUSB Type-A形状の端子以外にも、USB Type-C形状の端子を搭載しているUSBハブもあります。

カードリーダー
USB通信に含まれますが、SDカードなどが挿せるようになっているUSBハブも結構多いです。SDカードリーダーがノートパソコンから消えつつある今、非常に便利ですよね。
このような製品例があります。こちらでは通常サイズのSDカードの他にもマイクロSDカードも挿せるようになっていて非常に使い勝手が良いです。SDカードの通信自体は大したことありませんので、USBハブ上でもサクッと使えるでしょう。
イーサネット
こちらもUSB通信に含まれますが、イーサネット端子(有線LAN)が搭載されているものも結構多いです。少し前まではノートパソコン本体にイーサネット端子があるのは当たり前でしたが、最近ではWi-Fiが主流になっている上にイーサネット端子がかさばるということで搭載されていないパソコンも増えてきました。
でもそんな中、安定したインターネット通信を求めて有線LANを使用したい人は多いと思います。そこでイーサネット端子付きのUSBハブが非常に便利です。イーサネット端子自体はそこまで電力を使いませんので、バスパワータイプのものにも普通に搭載されています。
最近のUSB通信はギガビット級ですので、ギガビットイーサネットの接続も可能なことが多いです。
以上のような製品例がありますね。小さな本体にさりげなくついているので目立たなくて良いです。
オーディオ・映像出力
3.5mmイヤホンジャックによるオーディオ入出力や、映像出力をサポートしているUSBハブも結構多いです。3.5mmイヤホンジャックのような特化系端子がだんだんとパソコンから消えつつある中、非常に便利ですね。
また、映像出力については「DisplayLink」という技術を用いているものが多いです。

米DisplayLinkが開発した技術。USBを通じて映像出力をできるほか、Wi-Fiやイーサネット等を通じて行うこともできる。 仕組みとしては、パソコン内のGPU上で処理された情報をCPUで圧縮して通信可能な形式にしている。
この技術ではDisplay Portのような映像信号通信ではなく、USB通信で映像を出力することができます。

詳しい説明についてはドッキングステーションの記事をご覧ください。
ただし、この技術においてはCPUで一度圧縮している分、遅延が発生しがちですのでゲームプレイには向かないです。そのため、USBハブについている映像出力端子はあくまでも補助用程度に利用しましょう。
こちらの商品なんかは一例です。HDMIで最大4K映像を出力できます。
ただしUSB Type-Cのハブにおいては「Display Port」による映像出力をサポートしているものもあります。
ホストデバイス側のUSB Type-C端子でDisplay Port Alt Modeをサポートしている必要があるのでそのような商品では説明欄に「Display Port Alt Mode要対応」のように記載されていることが多いです。

Display Port出力の場合、GPUから直接映像出力されますので遅延がほぼありませんし、取り付け時にドライバーが要りません。 USB Type-C端子でDisplay Port Alt Modeをサポートしている場合はおすすめです。
こちらの商品なんかはDisplay Port Alt Modeによる映像出力をサポートしています。 ただし何度も言いますが、ホストデバイス側でサポートしている必要があります。
充電
補助電源を必要とする、セルフパワータイプのものはUSBハブについているUSB端子から急速充電ができるようになっていることが多いです。
逆に、バスパワータイプのものでの充電はあまり期待しないようにしましょう。
また、USB Type-CハブについてはUSB PD機能を利用して、ホストデバイス側を充電できるものもあります。USBハブ本体のUSB Type-C端子に充電ケーブルを差し込むことで、ホストデバイスであるノートパソコンを簡単に充電できてしまうわけです。これはUSB Type-Cならではの機能で、こちらについてもホストデバイス側がUSB Type-Cの「USB PD」による充電をサポートしている必要があります。
2入力の時に紹介しましたが、こちらのMacBook専用のUSBハブは、ハブについているUSB Type-C端子を通して本体を充電することができるようになっています。
Thunderbolt 3
中にはThunderbolt 3通信をサポートしているUSBハブもあります。もちろんホストデバイス側もThunderbolt 3をサポートしている必要があります。
端子はUSB Type-Cですが、Thunderbolt 3通信は現状USB通信と比べると通信速度が速く、PCI-expressに接続することができるため外付けGPUボックスと呼ばれるものを取り付けることもできます。
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先ほど紹介したこの商品もThunderbolt 3をサポートしています。これはMacBookがThunderbolt 3をサポートしているからですね。ただ、実際のところThunderbolt 3通信をサポートしているノートパソコンはそう多くはないので敷居が高いです。
USB Type-Cハブの機能はだいたいこれくらいです。
これらの機能から自分の望んでいるものを選んで、検索するようにしましょう。
デザイン
ドッキングステーションの選び方を紹介した記事ではあまり触れませんでしたが、USBハブについては持ち運ぶことが多かったりする分デザインも重要ですし、いろいろなデザインのものがあります。
ここではその一例を紹介していきます。
製品特化
デザインの一例として、ある製品の特化しているもの等があります。先ほどから紹介していたMacBook用の2入力USBハブもそうですが、以下のような商品もあります。
こちらはUSB Type-C接続で最新のMac miniと一体化できるUSBハブです。確実にMac mini以外には使えませんが、Mac miniを使っている人にとっては結構良いデザインではないでしょうか。
一度自分の使っているパソコン専用のUSBハブがあるか調べてみるのも良いと思います。有名なパソコンならちょうど良いデザインのものが結構見つかります。
スタンド
USB type-A接続のUSBハブについてはホストデバイスがパソコンくらいしかありませんでしたが、USB Type-C接続のUSBハブについてはあらゆるスマートフォンでも使えるようになっています。 AppleのiPhoneもそろそろUSB Type-C端子を採用するのではないかともいわれているところですね。
そこでスマートフォン等のスタンドとして使えるUSBハブも存在します。
こちらの商品はただのスマートフォン充電スタンドのように見えますが、スマートフォンを設置すれば裏側にあるUSB Type-A端子等を使うことができます。非常に便利ですね。
他にもパソコンのスタンドになるUSBハブ等もたくさん売られています。そのため、外に持ち歩かないで使いたいという人にはお勧めです。
スティック状
最低限の機能が備わっているUSBハブを外出中等に使いたいという人はスティック状のものもおすすめです。
こちらの商品なんかはUSBハブというよりはただの変換アダプタではありますが、実はUSB Type-C端子をあまり使いこなせるような環境ではないという人におすすめです。
SDカード機能だけ備わっているスティック状USBハブ(というよりはカードリーダー)もあります。コンパクトなので持ち運びが楽ですね。
以上、USB Type-C用ハブの正しい選び方講座でした。