自作パソコンを作っていて必ず必要になってくる部品の一つに「メインメモリ(RAM)」があります。しかし、メインメモリ選びにおいては相性問題が発生しがちです。 この記事では、メインメモリの正しい選び方について説明していきます。
そもそもメインメモリとは?
メインメモリの選び方について説明する前に、そもそもメインメモリとは何なのかについて説明します。
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これは当サイトでメインメモリを簡潔に説明する時のボックスになります。
要は、CPU等の装置が処理を行う時に一時的に使うメモリということです。写真や動画等の思い出データを保存するわけではなく、保存するデータ自体は比較的少量なためストレージ等と比べると比較的容量が少ない方です。
例えば最近ではストレージ1TB(1000GB)が標準ですが、メインメモリの標準は8GBといったところでしょう。同じ記憶装置でも容量が全く違うのです。
そしてメインメモリは非常に高速なデータ通信を行うことができます。それはSSD等のストレージよりも格別に速く、機敏です。そのため、CPUが一時的に細かいファイルを保存しておくための記憶装置として非常に使い勝手が良いのです。なお、メインメモリにはストレージとは違って「揮発性」があります。これは、コンピュータの電源を落としたときに中身のデータが消えるということです。つまり、常に電力が供給されていないとデータを保持することができないということです。 そして、メインメモリは自作パソコンの「マザーボード」というパーツにある専用スロットに取り付けます。
このメインメモリは英語では「RAM(Random Access Memory)」といい、もう少し堅苦しい表現だと「主記憶装置」と言われます。
主に「DDR」という規格のメインメモリが世の中の標準となっていて、最近ではパソコンをはじめ、スマートフォンにも「DDR」メモリが搭載されていることが多いです。なので「DDRメモリ」という風に呼ばれたりもします。
メインメモリの種類
そしてこのメインメモリですが、様々な種類があります。主に二つの要素がありまして、
- メインメモリの世代
- メインメモリの動作クロック数
世代
この二つです。世代というのは例えば「DDR4」などです。数年前までDDR3メモリが主流でしたが、最近ではDDR4がごく標準となっていますし、そろそろDDR5も標準になろうとしています。
単に世代を表しているわけではありませんが、基本的に数年に一度しか更新されない要素になります。 そしてこの世代数が異なるメモリは一切互換性を持ちません。DDR3とDDR4ではそもそも物理的に設計が異なっています。

メモリの向きや種類を間違えないためについている切り欠きの位置が異なっているのがわかるでしょう。
動作クロック数
メインメモリ選びで重要になってくるのは世代よりこちらの「動作クロック数」になります。型番の「DDR4-2666」などの「2666」の部分にあたります。単にこの数字がそのまま動作周波数を表しているというわけでもありませんが、基本的にこの数字が高い方がメモリのデータ転送クロック数は向上します。
そして、同じDDR4メモリの中でも「1600」などの低いものから「3200」などの高いものまで存在します。 基本的にはこの数値が高いものの方がメモリの動作が速く、その分価格も高いです。正直この数値が少し変わったくらいではその進化は体感できませんが、メインメモリをオーバークロックしてこの数値を定格よりも上げることができる場合があります。ただ、これは上級者向けです。
メインメモリの正しい選び方
それではメインメモリの説明を終えたところで続いて正しい選び方を説明していきます。主に確認するのは以下の3点です。
- マザーボード・CPUとの相性
- 物理的な相性
- マザーボード上のメモリスロット数
- 容量
マザーボード・CPUとの相性
先ほど説明した通り、自作パソコンにおいてメインメモリはマザーボード上にある専用のスロットに取り付けます。

また、先ほども説明した通りメインメモリはCPUが処理のために一時的に利用する記憶装置ですので、CPU・マザーボードとの相性を考慮する必要があります。
ここがメインメモリ選びで最も重要なポイントです。最近のマザーボードはほとんどDDR4メモリしか使えないので世代については「DDR4」固定でいいのですが、動作周波数には様々なバリエーションがあります。
そこでよりクロック数の高いものをむやみに選びがちですが、高すぎても低すぎても動作しない可能性がありますのでしっかりとマザーボード・CPUとの相性を確認するようにしましょう。
①マザーボード

マザーボードについてはほぼ確実に商品説明欄に記載されています。上の画像はAmazonで販売されているASUSのZ390ハイエンドマザーボードになりますが、ほぼ全種類のDDR4メモリをサポートしているのがわかります。
OC(オーバークロック)と記載してありますので、メインメモリをBIOS上の設定でオーバークロックして定格よりも高いクロックで使用することができる仕様になっています。 このマザーボードはハイエンド設計なのでオーバークロックをサポートしていますが、通常のマザーボードではサポートしておらず、BIOS設定上にオーバークロックの設定項目すら無い場合が多いです。
先ほども言いましたが、オーバークロックはシステムを不安定にさせることが多く、設定も複雑なので上級者向けです。
②CPU
基本的にメインメモリ選びで気にしなければならないのはマザーボードとの相性ですが、CPUとの相性問題が発生することもあります。
クロック数における相性問題も発生してしまうことがありますが、CPUの場合は「最大メインメモリ容量」を気にする必要があります。

例えばこれはIntel Corei9-9900Kのメーカーホームページになりますが、このCPUは128GBまでの容量をサポートしていると記載してあります。ここまで多くのメインメモリを取り付けようとしている人はそこまでいないと思いますが、ハイエンドパソコンを作ろうとしている人にとっては重要な仕様です。
なお、この最大メモリーサイズについてもメモリーの種類に依存してきますので、やはりCPU等のレビューを参考にするのが一番かと思います。
物理的な相性
マザーボードやCPUとの相性が良くても、最終的にマザーボードのスロットにうまく取り付けることができなければうまく動作しません。 メインメモリには、同じ世代・同じクロック数でも様々なデザインがあります。

これはどちらもDDR4-3200メモリですが、デザインが全く違います。スロットに装着するピンの部分は同じですが、その上がむき出しになっているか、ヒートシンクによってカバーされているかの違いです。
このヒートシンクは熱を逃がしたり基盤を守ったりするのに有効ですが、一部のメインメモリではこのヒートシンクのせいで背が高くなってしまい、周辺のパーツに干渉してしまう恐れがあります。
たとえばCPUクーラー等です。メインメモリスロットは基本的にCPUのすぐ隣にあるので、CPUクーラーやメインメモリがあまりに大きいと二つがぶつかってしまいがちです。 しっかりと寸法を確認しておくようにしましょう。
マザーボード上のメモリースロット数
一般的に、マザーボードには2~4つのメインメモリスロットが設置されています。Corei9-10980XEなどのハイエンド・デスクトップ向けCPU用のマザーボードともなると6スロット搭載していたりしますが、メインストリームCPU用のマザーボードであれば基本的に4スロットまでです。
これは主にCPUが「2チャンネル」までしかメインメモリをサポートしていないということも関係してきますが、この「チャンネル」に関してはあまり気にしなくていいと思います。
そして重要になってくるのはマザーボード上に存在しているスロットをどう使うかです。2スロットあるなら8GB + 8GBの構成にするとか、4スロットあるなら4GB × 4の構成にするとか、いろいろな方法があります。
将来的にメインメモリを増量しようと考えている人はスロットを余らせる方が良いですが、基本的にはすべてのスロットを埋めましょう。
というのも、そちらの方がより高速な通信ができる傾向にある上、1枚当たりの容量が少ない方が比較的安価に揃えられるためです。
また、できる限りすべてのスロットで同じ容量・同じクロック数のメインメモリを取り付けるようにしましょう。つまりは、同じ商品をいくつか購入すればいいだけです。 といっても最近は2枚セットや4枚セットが主流ですので、1回のセット購入ですべてそろえることができるケースが多いですね。
容量
そして最終的に性能を決定させるのはメインメモリの容量です。容量については先ほどの「メモリスロットの数」という項目を見つつ考えましょう。
ただ一つ注意しないといけないのは、メインメモリを必要以上に多く搭載してもその分性能が高くなるとは限らないということです。
これはメインメモリに限った話ではないかもしれませんが、例えばWebサイトの閲覧やYoutubeの動画を見るという軽めの用途で、メインメモリを32GB積んでも8GB積んでもそのパフォーマンスは全く変わらないでしょう。
また、メインメモリが32GBあってもそれに見合っている性能のCPUを搭載していないと大容量のメモリを活かせないこともあります。 つまり、メインメモリの容量は使用用途、それからCPUの種類に合わせて考えるべきです。
目安としては以下のような感じです。
メインメモリ容量 | 用途 | CPU | 全体の予算 |
---|---|---|---|
8GB | Webサイト閲覧 軽いゲーム等 |
Intel Corei3等 | 5万円程度 |
16GB | 重めのゲーム 動画編集 |
Intel Corei5等 | 10万円程度 |
32GB | 重いゲームを高解像度で クリエイター 4K動画編集 |
Intel Corei7 / Corei9等 | 20万円~ |
メインメモリを64GBも取り付ける人はいますが、一般的な用途だと32GBで十分です。ましてや、2019年の後半に発売されたAppleのMac Proの最高構成(メモリ1.5TB (1,500GB) )なんか使いこなせる人はほとんどいないでしょう。
また、ゲームプレイについてはメインメモリ容量よりもどちらかというとグラフィックボードに搭載されている「VRAM」の容量の方が重要になってきますので、メインメモリの増量よりもより性能の良いグラフィックボードを購入することにお金をかけましょう。
そして、先ほどのスロットの話とあわせて、16GBのメモリを積みたくてマザーボードにスロットが4つあるなら「4GB × 4枚」の構成にするとか、2スロットしかないのなら「8GB × 2枚」の構成にするとか、そういう計画を立てましょう。
用途別、おすすめのメインメモリ
最後に、BableTechがおすすめするメインメモリを紹介していきます。なお、おすすめしているからといって相性問題が発生しないわけではないので、最終的に決めるときはしっかりとこれまでに説明したことを踏まえて相性問題について考慮するようにお願いします。
ローエンド:8GB
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8GBのものを購入するならこちらの商品がおすすめです。4GB二枚ではなく、8GB一枚なのに非常に安いです。
ミドルレンジ:16GB
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16GBならこちらのメモリがおすすめです。コルセアはメモリ販売業者の中でもかなりの大手で、非常に安定して動作します。
それに、見た目がかっこいいですね。
ハイエンド:32GB
Amazon
Rakuten
ハイエンドだったらこちらがおすすめです。クルーシャルもメモリ業界の中では最大手といった感じです。