パソコンを操作するには大前提、キーボードが必要になってきます。デスクトップパソコンだったら必ず購入する必要がありますが、ノートパソコンを使っている人でも場合によっては外付けのキーボードが必要になるかもしれません。
この記事では、正しいパソコン用キーボードの選び方について解説していきます。
目次
用途と目的を考える
これは何を買うにしても言えることですが、キーボード選びにおいては「何のために買うのか」が非常に重要になってきます。というのも、本当にいろんな種類があるためです。もちろんその分、千円以下で帰る安いものから数万円もする高いものまであります。
そのため、ネットショッピングで単に「キーボード」と検索する前に一度、どんな用途でどんな目的でキーボードが欲しいのかを整理することをおすすめします。
パソコン用のキーボードというのは大きく分けて二種類あります。
- 有線キーボード … パソコンにUSB等でケーブルを接続する必要がある
- 無線キーボード … ケーブルは必要ないが、バッテリーが必要になる
この二つとなっています。
有線キーボード
主にUSB接続によってパソコンとケーブルでつなぐタイプのキーボードです。USB端子が電源となるので本体にバッテリーはありません。そのためつないだらすぐに使うことができます。
また、本体にUSBハブが取り付けられているものもあり、USBメモリをさしたりスマートフォンの充電を行うことができたりします。
有線キーボードは基本的に無線キーボードより人気なので、そのバリエーションはかなり豊富ですし、圧倒的に安い傾向にあります。また、USBという、どのデバイスでも共通な接続方式をとることでデバイスとの相性問題が圧倒的に発生しにくいです。対して無線キーボードの場合は接続方式が様々ありますので相性問題が発生しがちです。
- メリット
- バリエーションがかなり豊富
- 安い
- バッテリー充電の手間が無い
- 相性問題が発生しにくい
- 応答が速い
- デメリット
- USBポートが塞がる(その代わり本体にUSBハブがついているものもある)
- 使いまわしがしにくい
- ケーブルがある分、見た目が悪くなる
反して、有線キーボードでは使いまわしがしにくいのが主な欠点となっています。
オフィス内のいろんな人での使いまわしというわけではなく、例えば一つのキーボードでノートパソコンやデスクトップパソコンなどいろんなパソコンを操作しようと考えている人にとっては、いちいちケーブルを差し替える手間にわずらわしさを感じるでしょう。そのため、有線キーボードを使うなら一生そのパソコンからUSBケーブルを抜かないくらいの状況が良いです。
つまりはデスクトップパソコンなんかには向いています。
ただ、基本的には無線のキーボードよりもメリットが多いですので、無線にする理由が特にない人は基本的に有線のものを選びましょう。
こんな人におすすめ
・無線にする理由がない人
・デスクトップパソコンを使っている人
・安いものが欲しい人
・キーの感触等にこだわる人
無線キーボード
続いては無線(ワイヤレス)キーボードです。
有線キーボードはUSB接続がほとんどですが、無線キーボードについては接続の方法がいくつかあります。大きく分けて二つです。
①2.4GHz … USB接続子機使用
②Bluetooth … パソコン側の対応が必要
どちらもケーブルを使わないという点は同じなのですが、
①の場合、専用のUSB接続子機が必要になってきます。USBポートさえあれば基本的にどのパソコンでも使えるので相性問題は発生しにくいですが、USBポートが塞がってしまうという欠点があります。
②はパソコン側がBluetooth接続をサポートしていないと使うことができません。Bluetoothは主にスマートデバイスでのサポートが主流でしたが、最近ではパソコンでも標準搭載されているものが多くなってきています。この二つの違いについては後ほど詳しく説明していきます。
ちなみにBluetooth接続の場合、デバイス側がサポートしていればUSBポートを使うことなくキーボードに接続をすることができます。
- メリット
- 見た目が良くなる(好みの問題だが)
- デバイス間の使いまわしがしやすい
- 持ち運ぶときもケーブルが絡まることが無い
- デメリット
- 相性問題が発生しやすい(Bluetooth接続の場合)
- バッテリーを気にする必要がある
- 急に使ったときの応答性が悪い
- バリエーションが少ない
- 比較的高い
いろんなデバイスで使いまわしを行いたい人にとっては非常に便利な無線キーボードですが、常にバッテリー残量を気にする必要があります。 「少し離席するけどキーボードの電源を切った方がいいだろうか」「そろそろバッテリーが切れそうだから長い作業はやめておこう」とか、いろいろ頭の中に浮かんできてしまいます。
最近ではかなり長時間バッテリーがもつタイプのものもありますが、そういうものほど高価なのが現状です。
また、無線キーボードの方が基本的にはバリエーションが少ないです。探せばいろんな種類のものは見つかりますが、どれも比較的高価ですので、打鍵感や見た目にこだわりがある人にはおすすめできません。
こんな人におすすめ
・外に持ち運ぶ人
・いろんなデバイス間で使いまわしをしたいひと
・体勢を変えるなどして、よくキーボードを動かす人
・どうしても無線接続でなければいけない人
Bluetoothは新しい技術なので確かに優秀ではあるのですが、結局有線キーボードの方がメリットが多いですので、「せっかくBluetoothあるんだから活用したい」という理由で購入するのはあまりお勧めしません。
有線キーボードの選び方
有線か無線、どちらが自分に適しているのかもう判断はつきましたでしょうか。ひとまず最初に紹介した「有線キーボード」の選び方を説明していきます。
有線キーボードの選ぶポイント
- キー配列
- 日本語配列がいいのか? テンキーは要るのか?
- キースイッチの方式
- メンブレン式でいいのか? メカニカル式がいいのか?
- デザイン
- 光る方がいいのか? ひらがなが刻印されていない方がいいのか?
有線キーボードでは主に上のようなオプションがあります。もちろん無線キーボードの場合でも同じことが言えるのですが、有線キーボードの方が圧倒的にバリエーションが豊富ですので、これらのオプションをこだわっても比較的安価で入手することができるでしょう。
それでは各項目を説明していきます。
1.キー配列
あまり気にされない場合が多いですが、実はキーボードによってキーの配列並び方が違います。有名なものでは「日本語配列」「英語配列」などがあり、下の画像を参考にしてもらえばわかるのですが、エンターの大きさに違いがあったりクオーテーションの位置に違いがあったりします。


基本的には英語配列でも日本語配列の時と同じように日本語が入力できますし、エンター等も普通に使えますが、一部のキーが無かったり、使いやすさに違いが出たりします。
例えば英語では「¥(円)」なんて使わないので英語配列では¥キーがありません。まぁ$(ドル)は世界共通でありますけどね。 そして英語配列の方がエンターキーが小さく、日本語配列に慣れている人だと打ち間違えてしまうケースがあります。
ただ、「”」「’」(クオーテーション)、四則演算子キー、括弧キーの位置から、英語配列の方がプログラマーにとっては理にかなっているといわれています。自分もよくプログラミングをしますが、確かに英語配列の方が使いやすいです。
ただ、特にこだわりが無い人は、日本人ですので「日本語配列」を選びましょう。たまに英語配列か日本語配列なのか記載されていないキーボードもありますが、「エンターキー」が大きい方が日本語配列です。
ちなみに商品説明には「日本語配列」と書かれていても、よくよく見ると変なカタカナが入っていたりする怪しい中国のキーボードも販売されていることがありますので商品写真はじっくりみるようにしましょう。
また、テンキーがついているかどうかもキー配列要素の一つです。全く持ってテンキーを使わない人には必要ないかもしれませんが、テンキー付きモデルの方がテンキーの左についている「home」や「end」「矢印」などのキーが使いやすく配列されている傾向にあります。
コンパクトさを求めるならテンキー無しが良いですが、基本的にはテンキー付きをおすすめします。テンキー付きの方が若干高価ですが、その分メリットがたくさんあります。
また、キーボードによっては音楽の再生ボタンや一時停止ボタンなどが独立してついているものもありますので、音楽や動画を頻繁に再生する人はそういった特殊なキーの有無もチェックすべきです。
2.キースイッチの方式
続いてはキースイッチの方式についてです。キーキャップの仕様も含めますが、わかりやすいものだとキーの高さ(打鍵したときの深さ)、キーのピッチ(キーの間隔)などがあります。
これはあまり知られていないのですが、キースイッチの方式もいくつかあります。
これらは主にキーの打ち心地を左右するオプションです。完全に好みの問題になりますので、これまでに自分が使ってきたキーボードを参考に決めましょう。
ちなみにキースイッチの方式には大きく分けて「メンブレン式(安い)」と「メカニカル式(高くて様々な感触がある・耐久性が高い)」があります。
この二つの違いや、メカニカル式キーボードの選び方については以下の記事をご覧ください。
メカニカル式キーボードだと様々な打鍵感を選べるのですが、メンブレン式キーボードの打鍵感はほぼ一種類ですので、あまり迷う必要はありません。
ちなみに市場で売られている五千円以下のキーボードはほとんどメンブレン式です。なので、比較的安いキーボードで打ち心地を左右するのはキーの深さとキーの間隔くらいでしょう。小型のものになると「パンタグラフ式」という方式も見かけます。
私の経験上、キーが深いものよりも浅いものを購入する方が無難です。深いキーに慣れていないと打ち間違えたり疲れてしまったりすることが多々あります。
3.デザイン
続いてはデザインです。世の中にはけたたましく光るキーボードや全く文字が刻印されていないキーボードなど、様々なデザインのものが存在します。
また、キーボードそのもの背が高いものや全く立体感のないものなども存在します。これらのデザインは完全に好みの問題ですので一度家電量販店等に行って様々な種類のキーボードを触ってみるべきです。

これは私が持っているキーボードです。最初は「光るものも良いかなー」と思って購入したのですが、メンブレン式で打ち心地があまり好みでないのと、光るのがけたたましかったので上のキーボードに買い替えました。また、ほぼ同じキー配列ですが上の方が圧倒的にコンパクトです。
また、注意深く見ると下のキーボードは右下が「Alt」なのですが、上の方は右下が「ctrl」になっています。結果的に「ctrl」の方が使いやすいのですが、こういう細かいところも確認するべきですね。

上のレビュー記事もぜひ参考にしてください。
無線キーボードの選び方
無線キーボードの選ぶポイント
- 接続方式
- 2.4GHz接続がいいのか? Bluetooth接続がいいのか?
- バッテリー
- 充電の方法・バッテリーの持ち時間
- デザイン
- サイズ、スマートフォン用の台の有無等
無線キーボードについても基本的には上で紹介したような有線キーボードと同じ選考ポイントがあります。なお、無線キーボードの方がバリエーションが少なく、デザイン等はあまりこだわれません。
そして無線キーボードでは有線キーボードに加えて、気にしなければならないことがいくつかあります。
1.接続方式
先ほども説明した通り、無線キーボードには大きく分けて「2.4GHz接続」と「Bluetooth接続」の二種類があります。
それぞれの特徴としては以下の通りです。なお、Bluetoothについてはバージョンにりりますのでご注意ください。
比較項目 | 2.4GHz | Bluetooth |
---|---|---|
接続に必要なもの | USB接続の専用子機 | Bluetoothに対応しているデバイス* |
接続までの手間 | 子機をさすだけ | ペアリング |
消費電力 | 比較的多い | 比較的少ない |
使用可能範囲 | ほぼすべての状況 | BIOS画面等では不可 |
価格 | 安い | 高い |
*Bluetoothのバージョンによっては相性問題が発生する
2.4GHzでは専用の子機が必要になってきます。

最近ではかなりコンパクトなものが多いですが、USBを1ポート使ってしまうことに変わりはありません。一方BluetoothはBluetoothをサポートしているデバイスであればポートを使わずに済みます。ただ、接続に関して言えばBluetoothの方が曲者です。
Bluetoothには2,4,5などのバージョンがありますが、稀にデバイス側がバージョン2だと動かないキーボード等も見受けられます。また、バージョンに関係なく特定のOSでは使えなかったりするのもBluetoothキーボードの難点です。
そのため、無線の中でも特にBluetoothキーボードを購入したい方は商品の説明欄に記載されてある「対応OS」と「対応Bluetoothバージョン」をしっかり確認しましょう。
そして、2.4GHzでは子機をさすだけですぐに使うことができますが、Bluetoothについてはペアリングを行う必要があります。そこまで手間のかかる作業ではありませんが、毎回使う時にペアリングされているか確認する必要があるので意外と利便性に欠けます。
ですが、2.4GHz通信に比べて最新のBluetooth通信の方が消費電力が抑えられています。バッテリーを気にしなければならない無線キーボードの話ですから、消費電力も少し気にするべきですね。
また、これは普通に使っている分にはいいのですが、万が一パソコンが壊れた時に、OS(Windowsなど)が起動する前の段階「BIOS」での操作が必要になる場合があります。そんな時にBluetooth接続のキーボードだとペアリングができないケースがあります。
その点、ペアリングを必要としない2.4GHzの方が便利なのかもしれません。
ちなみに2.4GHz通信とBluetooth通信でデータの通信速度も変わってくるわけですが、キー入力の情報量は限りなく少ないですので基本的に速度の差は感じられません。Bluetoothの方が応答性が良いとも言われたりしますが、体感だとわからないレベルです。
むしろ私が使っていたBluetoothキーボードは急にタイプしたときの応答速度が非常に遅かった印象です。
そして価格についてはBluetooth接続方式の方が確実に高いです。2.4GHz接続は千円ちょっとで購入できるものもたくさんありますが、Bluetooth接続のものに関しては数千円出さないと購入できない場合が多いです。
そのため、それぞれこんな人におすすめです。
=2.4GHz接続=
・USBポートに余裕がある人
・安さを重視する人
・それでも有線は嫌だという人
=Bluetooth接続=
・USBポートが無いタブレット等でも使いまわしたい人
Bluetooth接続の方は専用の子機が要りませんので様々なデバイスに使いまわしやすいというメリットがありますね。
これらを考えると、2.4GHz接続のものにするくらいなら有線のものを購入した方が良いという現状です。
2.バッテリー
無線キーボードはUSB端子から給電することができないので本体にバッテリーを必要とします。
バッテリーについては大きく分けて二種類あります。
①乾電池タイプ
②充電タイプ
一般的には②の方が利便性がいいので最近では普及しつつありますね。ただ、乾電池タイプだと万が一の時に交換するだけで済んだり、充電タイプのものよりも比較的バッテリーの持ち時間が長いなどのメリットがあります。
また、乾電池式の方が安い傾向にありますし、そもそも安いキーボードはだいたい乾電池式です。
一方バッテリー式だとスマートフォン用のモバイルバッテリーからも充電することができますし、パソコンのUSBポートから充電することもできます。また、いちいちふたを開けて電池を交換する手間が無いので非常に楽です。ただ、高いです。
=乾電池式(ほとんどこれだが)=
・充電式ではなくてもいい人
・最低でも1週間に1回は使う人
=充電式=
・予算に余裕がある人
・外で使うことが多い人
乾電池の場合は長時間使っていないと液漏れを起こす危険性が高いので注意が必要です。
3.デザイン
無線キーボードの方が有線キーボードよりもモビリティに優れている傾向にあります。

中には折りたためるキーボードがあったり、スマートフォン等をのせる専用の台がついているものもあります。
こちらなんかはスマホスタンドにもなる上、折りたたむこともできる非常に便利な無線キーボードです。Bluetooth接続なのにとても良心的な価格です。
また、これは言うまでもないのですが、無線キーボードを使う場面を考えると、本体のサイズもだいぶ重要になってくることがわかります。
商品写真を見るだけでなく、しっかりと各寸法の数値を見てから決めるようにしましょう。
それぞれのキーボードの選び方は以上になります。
メーカーも重要です。
もちろんいろんなメーカーがキーボードを製造しているわけですが、キーボードに関していえばメーカーも重要です。中華製の怪しいキーボードだと使ってすぐにキーが取れたり、そもそも使えないキーがあったり、配列がおかしかったりすることも多々あります。
また、メーカーによっては返品を受け付けなかったりそもそも日本語が通じ仲たりしますので、基本的には大手メーカーから購入することをお勧めします。
メカニカルキーボードやゲーミングキーボードが中国から安く出品されているのをよく見かけますが、やはり痛い目に遭っている人が多いです。
キーボードは大手メーカーだからといって高値になるという傾向はあまりありませんので、ここは堂々と大手から購入しましょう。
ちなみに大手メーカーといったら以下のようなメーカーがあります。
・ELECOM
・Logicool
・BUFFALO
・ワンサプライ
・その他大手パソコンメーカー製
しっかりと自分に合ったキーボードを購入して、これからも快適なパソコンライフを実現していきましょう。
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