GPDはUMPC(ウルトラ・モバイル・PC)と呼ばれる極小のノートパソコンを数々生み出してきたメーカーです。そんなGPDはかつて「GPD WIN」や「GPD WIN2」などの極小ゲーミングノートPCを製造していました。WINからWIN2にかけての進化は著しいものでしたが、更なるモデルとして「GPD WIN Max」が登場する予定です。この記事では、GPD WIN MaxがGPD WINからどう進化するのかについて説明していきます。
この記事を2文で説明すると
- GPDの新型ゲーミングPC「WIN Max」は現モデル「WIN2」よりも全体的に3倍程度性能が上昇すると期待される
- より強化されたパーツを使う分、コストも高くなり、少なくとも10万円はするだろうと予想
GPD WINシリーズのコンセプト

https://www.gpd-direct.jp/gpdwin2 より
GPDは様々な極小ノートパソコンを製造していますが、その中でも特に力を入れているのが「WIN」シリーズです。これまでにGPD WIN、WIN2 2018年モデル、2019年モデルなどが登場し、着々と進化してきました。
では一体WINシリーズはどんなコンセプトなのでしょうか。
ビックタイトルが遊べる唯一のハンドヘルドゲーム機
GPDが掲げているのはこの言葉です。
ビックタイトルというのは主に最新の有名なゲームの事をさし、多くの人が楽しんでいるものになります。そして「ハンドヘルド」というのは本来の意味では「片手で持てる」といった感じですが、ここでは単に「持ち運びがしやすい」という「コンパクトさ」を強調する意味です。
そして多くの人から支持を得ているゲームを遊ぶことができる唯一の「ゲーム機」となっています。一応パソコンの一つではあるのですが、GPDのコンセプトだとこれは「ゲーム機」のようですね。
普通のゲーム機とは違う
ここまでコンパクトでゲームができるのだからそれは普通のゲーム機となんら変わらないのではないかと想像される人は多いかもしれませんが、GPD WINシリーズは普通のゲーム機とは全く違います。
というのも、搭載されているOSがパソコン用の「Windows」ですので、パソコン用のゲームまでプレイすることができてしまいます。
パソコンでプレイできるゲームタイトルが通常のゲーム機用にも登場していることはありますが、やはりパソコン版をプレイするのが一番楽しいでしょう。GPD WINシリーズはそんな夢をかなえてくれるのです。
ゲーム機のような操作感を
上のイメージを見てもらえばわかるのですが、このGPD WINシリーズには通常のゲームコントローラーのようなアナログスティックといくつかのボタンがついています。その配置もまさにゲーム機といった感じです。
このような設計を採用することで、パソコン用のゲームでもまるでゲームパッドでプレイしているかのような感覚を味わうことができるのです。
これらがGPD WINシリーズの主な特徴となっています。
GPD WIN Maxの仕様を紹介
さて、それでは本題に戻り、新しく登場する「GPD WIN Max」の仕様を紹介していきます。なお、まだすべての情報が発表されたわけではないので不十分な部分があるかもしれません。
また、ここでは比較用に前モデルとなる「GPD WIN2 2019年モデル」の仕様も見ていきます。
https://liliputing.com/2020/01/gpd-win-max-handheld-gaming-computer-what-we-know-so-far.html より
比較項目 | GPD WIN2 2019 | GPD WIN Max |
---|---|---|
CPUアーキテクチャ | Amber Lake Y | Ice Lake U |
CPU名 | Intel Core m3-8100Y | Intel Corei7-1065G7 |
CPUプロセス | 14nm | 10nm |
コア/スレッド数 | 2/4 | 4/8 |
最高CPUクロック数 | 3.4GHz | 3.9GHz |
TDP | 5W | 15W |
メインメモリ | 8GB | 16GB? |
グラフィックス | Intel UHD 615 | Intel Iris Plus G7 |
OS | Windows 10 | Windows 10 |
ディスプレイ | 1,280 x 720(HD) 6インチ | 1,280 x 800(HD) 8インチ? |
Wi-Fi | Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac) | Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax) |
それではそれぞれの項目について説明していきます。
1.CPU
CPUは大きく変わります。WIN2ではIntelの超低電力「Core m3」シリーズが使われていましたが、WIN Maxでは通常のモバイル向け「Corei7」シリーズが使われます。
WIN Maxに搭載されるCPUの方が消費電力が大きいわけですが、その分GPD WIN Maxは全体的にボディが大きくなり、冷却性能も向上するので熱についてはあまり問題ないと思われます。
搭載される「Corei7-1065G7」はIntelの現行モバイル向けCPUの中でも最上位モデルとなり、4コア8スレッドを採用しているほか、最高CPUクロック数が大幅に上昇して3.9GHzとなっています。
CPUの詳しい性能については後程紹介しますが、見違えるほどの性能上昇になるに違いありません。
2.メインメモリ
ゲーミングPCにおいて重要になってくるメインメモリですが、その情報はまだ入ってきていません。ただ、このまま8GBが採用されるということはないでしょう。Corei7-1065G7はトップクラスのCPUですから、最低でも16GB程度のメインメモリは欲しいところです。ぶっちゃけ8GBだとゲーミングPCというには少し不足感がありますが、16GBも搭載していれば堂々とゲーミングPCのタグを貼り付けることができそうです。
3.グラフィックス
そしてゲーミングPCにおいて最も重要になってくるのが「グラフィックス性能」です。通常のゲーミングデスクトップPCやゲーミングノートPCには「グラフィックボード」と呼ばれる、グラフィックス処理を行う専用の装置をCPUとは別に装備しますが、GPD WINシリーズはボディが小さすぎて拡張ボードを搭載することなどできません。
そこでGPD WINシリーズはCPUに内蔵されているグラフィックスを使用します。CPUに内蔵されているグラフィックスというと、基本的にはゲームをプレイできるほどの性能はありません。ただ、Intelの第10世代「Ice Lake」プロセッサにはこれまでにはない、強化された内蔵グラフィックスが搭載されていますので、WIN Maxについては十分に高いゲーミング性能を保有することができるでしょう。
GPD WIN2には内蔵グラフィックスとして「Intel UHD 615」が搭載されましたが、GPD WIN Maxには「Intel Iris Plus G7」という、名前でわかるくらい強そうな内蔵グラフィックスが搭載されます。
グラフィックス性能についても、後程詳しく説明していきます。
4.OS
OSは通常のWindows 10です。通常パソコンで使われるOSをこんなに小さい画面で使って不便にならないかと疑問を抱いてしまいますが、Windows 10にはタブレットでも快適に操作できるような機能がたくさんありますので、問題なさそうです。また、タッチパネル仕様になっているのでなお便利でしょう。
5.ディスプレイ
ディスプレイについては、現時点で入ってきている情報によると前モデルに毛が生えた程度の、1,280 x 800のHDディスプレイを採用するとのことです。
今の時代にHDは少し解像度が低いのではないかと思ってしまいますが、画面サイズが画面サイズなので、ドットの密度的には何ら問題ありません。むしろそこら辺のパソコンよりは高密度になっているでしょう。
ただ、GPD WIN Maxは前モデルよりも本体サイズが若干大きくなり、その分ディスプレイサイズも大きくなる予定ですので多少ドットの密度が低下してしまうかもしれません。ただ、このように必要以上に高画質にしないことで、限られた性能の中でより快適にゲームプレイを行えるようにしているのでしょう。
そしてディスプレイサイズなのですが、同じ「Max」がついている「GPD P2 Max」が8インチですので、8インチになる可能性が高いです。
それかもしかするとボディが大きくなるだけでディスプレイサイズは変わらないという可能性もありますね。
6.Wi-Fi
ゲーミングPCにおいてはインターネット通信性能も重要になってきます。WIN2ではWi-Fi 5をサポートしましたが、新型のWIN Maxでは最新の「Wi-Fi 6」をサポートする見込みです。これは正式に発表された情報ではありませんが、IntelのIce lakeプロセッサを採用した多くのノートパソコン等がWi-FI 6をサポートしてきましたので、WIN Maxについてもサポートすると考えられています。
性能はどうなる
GPD WIN Maxの仕様について紹介してきましたが、性能はどうなるのでしょうか。実際に同じパーツを使ったときの性能が公開されていますので、そちらを参考にして性能について紹介していきます。
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まずはCPUの性能比較です。Passmark値を参考にしています。その性能差は明らかでしょう。WIN2ではCore m3という、超省電力なCPUが使われていましたのでゲーミングPCとしては性能がかなり抑えられていましたが、WIN Maxになって覚醒していますね。
スコアが1万を超えていますので、もはや一般的なデスクトップパソコンよりも高性能です。なのでゲーム性能はもちろんのこと、外部ディスプレイをつないで普通のパソコンのように使うのもありかもしれません。
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こちらはグラフィックス性能を比較したものになります。Passmark値を参考にしています。
グラフィックス性能についてもその進化具合は一目瞭然ですね。
WIN2に搭載されている「Intel UHD 615」というグラフィックスは正直ゲーム用途では使い物にならなかったレベルですが、WIN Maxに搭載される「Iris Plus G7」というグラフィックスについては倍以上のスコアをたたき出していて、十分にゲームをプレイできる性能があります。
通常のゲーミングPCと比べるとやはり劣ってしまいますが、この画面の大きさであれば十分な処理性能といえるかもしれません。
まぁグラフィックス性能がどうであれ、メーカーが「ビックタイトルをプレイできる」と公言しているくらいですから、きっと最新のゲームでも快適にプレイできるようになるのでしょう。
いつ、どれくらいの価格で発売されるのか
発売日や具体的な価格についてはまだ発表されていません。
具体的な仕様については2020年の2月中に発表される見込みですので、発売されるのは春前になる可能性が高いです。
また、価格についてはWIN2よりも数万円は高くなると考えられます。WIN2が8万円程度でしたので、WIN Maxは少なくとも10万円にはのっかってくるでしょう。
少し高い気はしますが、このコンパクトさで最新のパソコンゲームを快適にプレイできると考えるとむしろお得なのではないでしょうか。
また新しい情報が入り次第、随時紹介していく予定です。
参考記事:https://liliputing.com/2020/01/gpd-win-max-handheld-gaming-computer-what-we-know-so-far.html
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/yajiuma/1229060.html
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1196561.html
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