自作パソコンを組み立てる時様々なパーツが必要になってきますが、すべてのパーツを覆うのはパソコンケースになります。パソコンケースなんてどれも似たようなものだろうと思われがちですが、異彩を放っている超小型パソコンケースが自作パソコン界では話題になっています。 それがASRockの「DeskMini」です。
去年頃にRyzen 3000 APUをサポートしたものが発売されたことで話題になりましたが、今年も新しいモデルが登場する予定です。 この記事では、Intel用とAMD用、合わせて二種類の新しいDeskMiniの魅力について紹介していきます。
ASRock DeskMiniとは?
そもそもASRock DeskMiniとは一体何者なのでしょうか?
超小型ベアボーン
ASRockは自作パソコン界ではかなり有名なメーカーになります。今回紹介するベアボーンの他にもゲーミングパソコンを作る上で必要不可欠な「グラフィックボード」や「マザーボード」など様々な自作パソコン系のパーツを製造しています。
そしてベアボーンというのはパソコンケースの中にマザーボードなどが既に仕込まれていて、後はCPUやメインメモリなどのパーツを取り付けるだけでパソコンとして使えるようになるというキットのようなものの事です。 ある程度ベースが出来上がっているということで相性問題に直面することが少ない上に、簡単に自分好みのパソコンが作れてしまうので非常に便利です。 そしてASRockのDeskMiniもベアボーンになりますが、他のベアボーンよりもはるかに小型です。
小型のマザーボードとしてMini-ITXなどがありますが、あれよりも更に小型の「Mini-STX」をサポートしています。更に小型なものとして「NUC」と呼ばれるものもありますが、NUCを採用しているパソコンはカスタマイズ性に劣っている傾向があるほか、性能をそこまで高くすることができないという傾向があります。 そのため、DeskMiniの「Mini-STX」は極限にコンパクトなのにもかかわらずある程度のカスタマイズ性、すなわち高性能にすることができるという利点を持ち合わせています。
昨年ごろに話題になっていたDeskMini A300については、AMDの第2世代Ryzen APU(Ryzen5-3400G等)をサポートしていましたので、小型でありながらゲーミングパソコンレベルのものを作ることができました。
自作パソコン系Youtuberでおなじみの「吉田製作所」さんもレビューしているようです。
新型DeskMiniの特徴
そして今年度登場する新型のDeskMiniには二種類あります。一つはIntel製のCPUをサポートしている「DeskMini H470」で、もう一つはAMD製のRyzen APUをサポートしている「DeskMini X300」です。 いずれも最新のCPUをサポートします。

ではそれぞれの特徴について紹介していきます。
DeskMini H470
まずはIntel製CPUをサポートしている方についてです。基本的にサイズなどはもう一つの方と同じですが、サポートしているCPUのメーカーが異なるということで内部のマザーボード等のパーツも大きく異なっています。
DeskMini H470 | |
---|---|
サポートCPU | Intel 第10世代「Comet Lake-S」 CPU |
ソケット | LGA 1200 |
最大TDP | 65W |
チップセット | Intel H470 |
メインメモリ | DDR4-2933 デュアルチャンネル 最大64GB |
ストレージ | 2 x SATA 3(2.5インチ) 1 x M.2 (PCIe Gen3 x 4) |
映像出力 | HDMI(4K@30Hz) DisplayPort 1.4 USB Type-C(DisplayPort 1.4) VGA |
音声 | 3.5mmヘッドフォンジャック、マイク入力 |
USB | USB 3.2 Gen 2 Type-C x 1 USB 3.2 Gen 1 Type-C x 1 USB 3.2 Gen 1 Type-A x 5 |
ワイヤレス | M.2 E 2230スロット(Wi-Fi / Bluetoothカード用) |
サイズ | 155mm x 155m x 80mm |
以上のようになっています。サポートCPUは2020年に登場したばかりのIntelの第10世代デスクトップ向けCPU「Comet Lake-S」になります。ですがすべてのCPUをサポートしているというわけではなく、その中でもTDPが65W以下のもの、つまり倍率ロックフリーの「K」付きモデルについてはサポートされていません。また、チップセットについてもオーバークロック用のものではありませんので、オーバークロック関係は想定されていないということになります。
それでもTDP 65WのCore i9等もありますので、モンスター級の性能を保有しているパソコンをつくることができます。なお、ソケットがLGA 1200ということで前世代までのCPUについては一切使うことができません。
そしてメインメモリについてはDDR4の2933までサポートされています。ストレージについては、小型な本体でありながら2.5インチのドライブを取り付けることができ、SATA 3をサポートしているのでSSDを活用することができます。加えてM.2ポートもありますのでM.2 SSDなどの高速ストレージを利用することもできます。 映像出力についてはHDMIやDisplayPortの他、Alt Modeを利用してUSB Type-Cから行うこともできます。
USB端子は合計7ポートとなっていて、小型な本体でありながら接続性についても優れていますね。また、マザーボード上にあるM.2ポートにWi-Fi兼Bluetooth通信用カード等を取り付けることによって無線通信を行うこともできます。
サイズはだいたい15cm角の正方形で、高さは8cm程度しかありません。

DeskMini X300
続いてはAMD製の処理装置をサポートしている「DeskMini X300」の方になります。こちらはH470の方と比べて内部のパーツなどが異なっていますが、その上端子の数等についても違いがあるので注意が必要です。
DeskMini X300 | |
---|---|
サポートCPU | AMD Ryzen 4000 , 3000 , 2000 APU |
ソケット | AM4 |
最大TDP | 65W |
チップセット | AMD X300 |
メインメモリ | DDR4-3200 デュアルチャンネル 最大64GB |
ストレージ | 2 x SATA 3(2.5インチ) 2 x M.2 (PCIe Gen3 x 4) |
映像出力 | HDMI(4K@60Hz) DisplayPort 1.4 VGA |
音声 | 3.5mmヘッドフォンジャック、マイク入力 |
USB | USB 3.2 Gen 2 Type-C x 1 USB 3.2 Gen 1 Type-C x 2 USB 2.0 Gen 1 Type-A x 1 |
ワイヤレス | M.2 E 2230スロット(Wi-Fi / Bluetoothカード用) |
サイズ | 155mm x 155m x 80mm |
以上のようになっています。サポートしている処理装置はAMDの歴代デスクトップ向けAPUとなっています。
数年前のものから、今年登場した、7nmプロセスの「Zen2」アーキテクチャを採用したRyzen 4000 APUまでみっちりとサポートしています。そしてこちらもTDPは65Wまでです。
メインメモリはH470よりも優秀で、最高で3200 MHzのものまでサポートしています。そしてストレージについてはM.2スロットが一つ多いです。なお、Zen2アーキテクチャに基づいたAPUを取り付けても、PCI-eは3.0接続までのようです。
Intel第10世代CPUの内蔵グラフィックス等に比べてAMDのAPUに搭載されている内蔵グラフィックス(Vega)の方が全体的に優秀であることもあって、映像出力については最大でHDMI@60Hzとなっています。
そしてUSB Type-A端子の数はH470よりも少ないですが、その分Type-C端子が一つ多くなっています。 こちらも同様にWi-Fi / Bluetoothカードを取り付けることが可能です。 そしてサイズについては全く同じです。

発売日
発売日は2020年の秋となっています。
非常にコンパクトということで、広いスペースがない人などにおすすめなベアボーンになりますが、DeskMini A300については半分ロマンを求めて購入されていたみたいなところはありました。 ですが今回登場した新型のDeskMiniでは最新のCPUを漏れなく利用することができますので、豊富なカスタマイズ性なども考慮すると「実用性」について非常に優れているのではないかと思います。
また、ベアボーンということでベースが完成していますので、自作パソコン初心者にもおすすめです。 自作パソコン初心者さんについては以下の「組立キット」についてもおすすめですよ。