パソコンとモニターを接続する時には「映像入出力端子」が必要になってきます。主にHDMI端子などが使われますが、それ以外にも様々な種類が存在するものです。そしてこれらの違いは形だけであありません。
場合によって使用用途によって映像端子を変えなければならないこともありますので、この記事では主な映像端子である「HDMI」「DP」「USB Type-C」の違いについて説明します。
見た目の違い
まずはそれぞれの端子の見た目の違いについて説明します。
HDMI
まずは定番、HDMI端子についてです。ちなみにHDMIは”High-Definition-Multimedia-Interface”の略です。映像出力っぽい単語がありませんが、映像出力の端子としてしかほとんど使われていません。

Type-A以外にもデュアルリンク仕様のものやMicro / Mini HDMIなど様々な種類がありますが、最も普及しているのはこのType-Aになります。
HDMI Type-Aには19つのピンがあり、その全幅は14mm程度になっています。爪などが無いのでそのままコネクタに差し込むことができ、比較的抜き差しがしやすい仕様になっています。もちろんその分外れやすいようにもなっていますが、普通に使っている分には自然に抜けたりはしません。
ちなみにHDMIはソニーや東芝、パナソニックや日立などが共同で作った規格であり、HDMI端子を搭載する製品を製造するにはライセンス料がかかります。
現在最も主流になっているのはバージョン2.0程度でしょう。
DP
DPは”Display-Port”の略で、文字通り映像出力専用の端子になります。

Display Portについてはこの標準スタイル以外にも「Mini Display Port」というものも存在します。
そのサイズは比較的HDMIよりも大型になっていて、横幅は16mmほどです。HDMIは左右対称構造になっていましたが、Display Portについては欠けた長方形になっています。
ピンの数は20個なのでHDMIとあまり変わりません。また、全部が全部というわけではありませんが、上の写真のように上側に爪がついているDisplat Port端子も存在します。私が今パソコンで使っているDP端子にはこの爪がついていましたが、外すときに少し苦労する印象です。
ちなみにDisplay Portについては標準化団体である「VESA」によって策定された規格になり、ライセンス料は必要ありません。
USB Type-C
映像出力端子の話をしているときにUSB端子かよって感じかもしれませんが、USB Type-C端子の一部は映像出力をサポートしています。
例えばApple社のMacBookについているUSB Type-Cコネクタはすべて映像出力をサポートしていて、ディスプレイにつなぐことで映像を映すことができます。

USBには他にもType-AやBなどがありますが、ディスプレイ出力として主に使われるのはこのType-Cになります。
全体的に小型な印象で、横幅はたったの8.5mm程度です。爪などのひっかかりがなく、小型なのですぐに抜けてしまいそうで心配ですが、ピンの数が多いおかげで割とすぐには抜けないです。
ピンの数は24個となっていて、HDMIやDPよりも多いです。しかしリバーシブル(上下逆でも使える)を実現するために上下に1対ずつ各ピンが並んでいるので、実質12ピンになります。
そしてこの12ピンのうち、USB 3.1用、2.0用、電力供給用(PD)などのピンがいくつか割当てられています。しかしそれではいくつかのピンが余ります。そこで余ったピンを他の規格用に使うことができます(Alt Mode)
その一例にDisplay PortやHDMIがあります。つまり場合によってはUSB Type-Cも実質Display PortやHDMIになるのです。このうち主にUSB Type-CでサポートされているのはDisplay Portになります。 そのため、USB Type-C端子による映像出力=Display PortというイメージでOKです。
しかしもちろん、USB Type-CでサポートしているDisplay Portについてもバージョンが決まっていて、現在はバージョン1.4までサポートしていることが多いです。
性能の違い
続いては性能についてです。ここでいう性能というのは、どれくらいの解像度・リフレッシュレートで出力することができるかということです。
[dic term=”解像度”]
[dic term=”リフレッシュレート”]
HDMI
まずはHDMIです。
バージョン | 解像度[p x p] | リフレッシュレート[Hz] |
---|---|---|
2.1 (2017年) | 10K (10,240 x 4,320) | 60Hz* |
8K (7,680 x 4,320) | 120Hz* | |
4K (3,840 x 2,160) | 240Hz* | |
WQHD (2,560 x 1,440) | 240Hz | |
FHD (1,920 x 1,080) | 240Hz | |
2.0 (2013年) | 8K (7,680 x 4,320) | 30Hz** |
4K (3,840 x 2,160) | 120Hz** | |
WQHD (2,560 x 1,440) | 144Hz | |
FHD (1,920 x 1,080) | 144Hz | |
1.4 (2009年) | 4K (3,840 x 2,160) | 60Hz** |
WQHD (2,560 x 1,440) | 120Hz* | |
FHD (1,920 x 1,080) | 120Hz |
※解像度・リフレッシュレートの一例です
* DSC圧縮を利用
** YCrCb 4:2:2 / 4:2:0で圧縮
[dic term=”DSC”]
DSCについてはいいのですが、YCrCb 4:2:2 / 4:2:0等についてはピクセルの色情報を大まかにしているためぼやけて見えてしまうことが多いです。
現在ではバージョン2.0が主流になっているでしょう。そのためHDMI接続では165Hzなどの超高リフレッシュレートモニターを活かすことができないというイメージがもたれがちですが、最新のバージョン2.1では10K映像も最大60Hzで出力することができるので、一般的な用途では全く不便を感じることはないと思います。
DP
続いてDPです。
バージョン | 解像度[p x p] | リフレッシュレート[Hz] |
---|---|---|
2.0 (2019年) | 16K (15,360 x 8,460) | 60Hz* |
10K (10,240 x 4,320) | 60Hz | |
1.4 (2016年) | 8K (7,680 x 4,320) | 60Hz* |
4K (3,840 x 2,160) | 144Hz* | |
WQHD (2,560 x 1,440) | 180Hz | |
FHD (1,920 x 1,080) | 240Hz | |
1.3 (2014年) | 8K (7,680 x 4,320) | 30Hz |
4K (3,840 x 2,160) | 120Hz | |
WQHD (2,560 x 1,440) | 180Hz | |
FHD (1,920 x 1,080) | 240Hz | |
1.2 (2009年) | 4K (3,840 x 2,160) | 75Hz |
WQHD (2,560 x 1,440) | 165Hz | |
FHD (1,920 x 1,080) | 240Hz |
※解像度・リフレッシュレートの一例です
* DSC圧縮を利用
Display Portについては全体的にHDMIよりも高リフレッシュレートをサポートしているイメージです。DSC技術を用いなくても240Hzなどの高リフレッシュレートが実現できているのも特徴で、一時期はゲーミングモニターへの接続等でよく使われていました。
そして2019年に登場したバージョン2.0については最大で16K解像度をサポートしています。それも60Hzです。 映画館でさえまだ4K解像度が主流なので16K解像度なんて使う場面無いわって感じですが、この帯域幅を活かしてトリプルディスプレイ(3台)すべてに10K解像度の映像を出力することができるなどの強みを持ち合わせています。 また、このバージョン2.0をUSB Type-Cコネクタに採用すると、2レーンを使った場合に最大で8K@30Hz (DSC圧縮無し) の映像を出力することができます。
といっても2.0をサポートした製品はまだ登場しておらず、2020年後半頃から徐々に広まっていくとのことで、現在主流になっているのは1.4です。
HDMIとDP、どちらを使うべき?
数年前まではDPの方が全体的に性能が良いとかマルチディスプレイが得意だとかいろいろ言われていましたが、最近ではそれが気にならないくらいどちらも高性能になっています。
どんなヘビーゲーマーでも8K解像度@高リフレッシュレートでゲームをプレイするというようなことは無いでしょうし、正直どちらを使ってもあまり変わらない現状です。
また、圧縮技術等を使えば話は別になるのですが、基本的にどちらも映像の品質は変わりません。映像の品質を気にするならどちらかというと映像を処理する「グラフィックボード(GPU)」を気にするべきです。
ただ、個人的にはHDMIの方が接続が楽で若干小型なのでおすすめです。また、DPは基本的にパソコン関係の機器にしか搭載されていませんが、HDMIはテレビなどの機器に幅広く搭載されているので汎用性に優れています。
しかしマルチモニター環境を作ろうと思うと接続端子の関係でHDMIとDP両方使わなければならない状況が出てくることがしばしばあるのでご注意ください。

少し前のグラフィックボードにはアナログ・デジタルをサポートしたDVI-IやデジタルのDVI-Dなどの端子が搭載されていましたが、最近ではデジタルのみになり、HDMIとDPだけとなっているグラフィックボードも増えてきています。
本当はこの記事でDVI端子についても言及しようかと思っていたのですがもうなくなりつつある規格ですのでやめました。もし今DVIやVGA(D-sub 15ピン)などの固定ネジがついている端子を使っているのならば、HDMIやDPなどに乗り換えを行ったほうが良いと思います。
かく言う私は持っているモニターがすべてVGA(D-sub 15ピン)接続なんですけどね。