2019年10月2日、Microsoftより新Surfaceシリーズの発表がありました。この度発表されたうちの一つ「Surface Pro」シリーズなのですが、これまでと同じナンバリングに沿っている「Surface Pro 7」それから今回から急に登場した「Surface Pro X」何が違うのかを徹底解説し、どちらを選べばいいのかを説明していきます。
目次
この記事を2行で説明すると
- Surface Pro 7はより高性能で、外部機器との接続もしやすくなっているため、ノートパソコンに近い使い方を想定している人におすすめ
- Surface Pro Xはよりモバイルデバイスとしての機能性が高く、外での作業でもしやすくなっているため、スマートフォンに近い使い方を想定している人におすすめ
Surface Pro 7とXの仕様を比較してみる
ちなみにここでいうのもなんですが、今回の発表会で登場した「Surface Laptop 3」の13.5インチモデルと15インチモデルの比較については以下の記事をご覧ください。
新しいSurface Laptop 3、13.5インチと15インチどちらが買い?【Intel VS AMD】
それではSurface Pro 7とXの仕様を比較していきましょう。すべての仕様ではなく、注目すべき仕様のみです。
また、Surface Pro 7についてはストレージ1TBまで選択できますが、ここではSurface Pro Xでも選べる「512GB」にあわせます。
比較項目 | Surface Pro 7 | Surface Pro X |
---|---|---|
本体サイズ | 292 mm x 201 mm x 8.5 mm | 287mm x 208mm x 7.3mm |
画面サイズ | 12.3インチ 3:2 | 13インチ 3:2 |
解像度 | 2736 x 1824 (267 PPI) | 2880×1920 (267 PPI) |
CPU | Intel Corei7-1065G7 | Microsoft® SQ1™ |
CPUコア数 | 4 | 8 |
CPUのプロセス | 10nm | 7nm |
内臓グラフィックス | Intel Iris Pro G7 | Microsoft® SQ1™ Adreno™ 685 GPU |
Wi-Fi | Wi-Fi 6: 802.11ax | Wi-Fi 5: 802.11ac |
その他通信 | なし | 4G LTE , GPS |
重量 | 790g | 774g |
バッテリー駆動時間 | 10.5時間 | 13時間 |
値段 | 247,280円(16GB,512GB) | 241,780円(16GB,512GB) |
以上のようになっています。
Surface Pro 7についてはもうすでに発売され、先日Surface Pro Xについても予約が開始されました。
とりあえず上の項目から確認していきましょう。
サイズについてはXの方が一回り小さくなっています。そこまで体感できるほどではないと思いますが、薄さが8.5mm⇨7.3mmとなっているのが意外と大きいかもしれません。
ちなみにSurface Pro 7は前世代のSurface Pro 6と同じサイズとなっています。
そして画面サイズになりますが、Xの方がサイズが小さいはずなのに13インチとなっていて、7と比べると0.7インチ大きくなっています。
これはつまり、ディスプレイのフレーム(ベゼル)がとても細いということであり、7よりもスタイリッシュなデザインとなっているに違いありません。
そして解像度についてはディスプレイが大きい分Xの方が若干大きくなっていますが、PPI(ドットの密度)は変わらないので、実質的な見え方としては同じです。Xの方が少しだけ作業がしやすくなるかもしれません。
CPUについては7にはIntel製の最新のものが使われていて、Xの方はMicrosoft独自のCPUが使われています。CPUについては後ほど詳しく説明します。
そしてゲームプレイなどで重要になってくる内臓グラフィック処理プロセッサですが、それぞれ表のようなプロセッサが使われています。こちらについても後ほど詳しく説明します。
続いてWi-Fiなのですが、7は最新の「Wi-Fi 6」に対応しているのにも関わらず、Xの方は前世代の「Wi-Fi 5」までしか対応していません。
ただし、Wi-Fi 6が普及し始めたのは最近のことであり、今現在はWi-Fi 5が最も主流です。ちなみにWi-Fi 6については以下の記事をご覧ください。
Wi-Fi 6の登場でできるようになること【802.11ax】
そしてその他の通信としては、Xでは4G LTEに対応しています。モバイルネットワークですね。なのでSIMカードを入れれば外でもインターネットを使うことができますし、電話番号を持つこともできます。つまりは携帯にもなり得るのです。
ただし最近話題の「5G」通信には対応していません。
また、XではGPSにも対応しているので、現在地を正確に取得することができるでしょう。
そして重量ですが、サイズが小さい分Xの方が若干軽くなっています。
ですがわずかな差しかないので、体感ではほぼわからないかと思います。
そしてバッテリーの駆動時間についてですが、同じように利用したとしてもXの方が2時間以上長持ちするようです。
バッテリー自体が違うというよりは、Xの方がより省電力運用ができるといった感じです。パソコンというよりは携帯電話に近いイメージでしょうか。
それでは主要パーツを詳しく比較していきましょう。
CPU性能を評価
まず最初にCPU性能です。CPUというのはコンピュータに必ず搭載されているパーツで、コンピュータの「頭脳」の部分を担うため、このパーツの種類で全体的な性能が左右されます。
それぞれのモデルのCPUを比較してみましょう。
比較項目 | Surface Pro 7 | Surface Pro X |
---|---|---|
CPU | Intel Core i7-1065G7 | Microsoft® SQ1™ |
プロセス | 10nm | 7nm |
コア数/スレッド数 | 4 | 8 |
クロック数 | 3.9GHz | 2.8GHz? |
L3キャッシュサイズ | 8MB | 10MB? |
TDP | 15W | 7W? |
以上のような形になっています。
Xの「Microsoft SQ1」プロセッサについては細かい情報がまだ提供されていませんが、ベースとなっているQualcomm社の「Snapdragon 8cx」の仕様を載せました。
ただし、Snapdragon 8cxよりはSurface用に最適化しているはずなので、おそらくもう少し性能は良いと思います。
そして電子回路の幅を表す「プロセス」についてはXの方が7nmとなっているためより低電力で高パフォーマンスを発揮することができる、つまりは質の良いCPUであると言えます。質が良いというだけで、性能が良いとは限りませんが。
そしてコア数についてはXの方では8コアとなっています。ただしARMベースのCPUのコアと、IntelベースのCPUのコアは比べるものではないので、数にとらわれないようにしましょう。
そして、おおよその消費電力を表すTDPはXの方が7Wとなっており、ほぼ半分です。このTDPの低さが持続可能時間を延長させるのでしょう。
それに、一般的にTDPが低い方が発熱量が少ないとも言われています。
それでは両者の性能を比べてみましょう。
ここでは比較用として前世代のSurface Pro 6(最高構成時)も投入しています。
そしてSurface Pro Xの性能についてはまだ詳しくはわかっていませんが、ベースとなっているQualcomm Snapdragon 8cxの性能と、Microsoftの証言を考慮しての性能を算出しました。
Microsoftは
Surface Pro XはSurface Pro 6よりもワットあたりの性能がおよそ3倍高い
と主張していますが、そもそもSurface Pro Xでは消費電力自体が少ないので、性能も抑えめになっています。
そういうわけで、Surface Pro 6に毛が生えた程度のパフォーマンスでしょう。でもこのサイズで、この持続可能時間で、前世代の最高構成時よりもわずかに高いパフォーマンスを発揮できると考えると、そこそこ良い性能ですよね。
ただ、CPU性能については圧倒的にSurface Pro 7の方が高いです。なので、比較的高い性能を求めている人にはSurface Pro 7が最適でしょう。
外部機器との通信
パソコンとして利用するならそれなりにコネクタの種類・個数がないと便利とは言えません。それぞれの外部接続の種類をあげてみますと
通信 | Surface Pro 7 | Surface Pro X |
---|---|---|
USB | Type-C x 1 , Type-A x 1 | Type-C x 2 |
音声出力 | 3.5mmヘッドフォンジャック | なし |
カードリーダー | Micro SDXC | なし |
外部接続で最も使われるであろうUSBについては、どちらも二つついていますがXにはType-Cしかついていません。
まだUSB Type-Cはそこまで普及しておらず、どちらかというとType-Aの方が主流だと思うので、その点Surface Pro 7の方が外部機器との接続はしやすいと思います。
ただし、USB Type-Cについては別売のUSBハブなどを用いればSDカード,画面出力,音声出力などいろんなポートに変換することができます。
そしてXにはヘッドフォンジャックがないので、一般的なイヤホンを有線で繋ぐのは無理です。Bluetooth接続が一番有効かと思われます。
カードリーダーについてもSurface Pro XにはMicro SDカードリーダーもついていないのでUSBポートから変換する必要があります。
つまりは、外部機器との接続という点ではSurface Pro 7の方が優秀であると言えます。こういった外部機器と頻繁に接続するのはパソコンとして使っている時だと考えられるため、パソコンとして使っていきたい人はSurface Pro 7の方が最適なのかもしれません。
それに、同価格でこの差ですので、コストパフォーマンスとしてはSurface Pro 7の方が非常に高いです。
ワイヤレス通信
続いてはワイヤレス通信です。先ほどは外部機器とのワイヤー通信(
ケーブルなどを使って物理的に行う通信)について説明してきましたが、
続いては無線通信について紹介していきます。
通信 | Surface Pro 7 | Surface Pro X |
---|---|---|
Wi-Fi | Wi-Fi 6: 802.11ax | Wi-Fi 5: 802.11ac |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 |
モバイルネットワーク | なし | 4G LTE |
その他 | なし | GPS |
以上のようになっています。
おそらく一番使うであろうワイヤレス通信の「Wi-Fi」では両者で対応する規格が異なります。
Surface Pro 7では最新のWi-Fi 6をサポートしますが、Xでは前世代のWi-Fi 5しかサポートしません。
なので、その点Surface Pro 7の方がより最新のWi-Fiテクノロジーを使うことができるということですが、Wi-Fi 6まだ普及していないのとWi-Fi 5と比べてそこまで変わらないので、あまり差はないでしょう。
そして両者ともBluetooth 5.0に対応しているのでスピーカー、キーボード、マウス、イヤホン、それに加えて各種機器とのペアリングを行うことができます。
そしてSurface Pro Xではモバイルネットワークにも対応しています。
最近話題の5G通信には対応していませんが、4G LTE通信が行えるので外でもインターネットを使うことができます。
また、電話番号を持つことができます。
Surface Pro 7はモバイルネットワークに対応していませんが、外にいても自分のスマートフォンなどからWi-Fi/Bluetoothテザリングによってインターネット接続を共有すれば使うことができます。
そういった場合、保持するSIMカードも1つで済むので便利かもしれません。
したがって、ワイヤレス通信に関しては
外でインターネットを使いたい人はSurface Pro Xの方が最適
といえるでしょう。
それぞれどんな人におすすめなのか?
ここまであらゆる性能について両者を比較してきましたが、これらを踏まえて両製品はそれぞれどのような人にオススメなのでしょうか。
Surface Pro 7
Surface Pro 7はXに比べるとよりパソコンとしての機能性が高く、パフォーマンスも高いのでこういった場合にオススメです。
- 重い処理などをさせる場合
- ノートパソコンに近い使い方の場合
Surface Pro X
Surface Pro Xは7と比べるとよりモバイルデバイスとしての機能性が高く、持ち運びやすさ、外での利用のしやすさ、持続可能時間の長さにおいて優秀なのでこういった場合におすすめです。
- 常に持ち歩いて外でも手軽にノートパソコンとして使いたい場合
- スマートフォンに近い使い方の場合
ただ一つ注意したいのは、いくらスマートフォンみたいといっても、OSは結局Windows 10なので、スマートフォンアプリを使うことはできません。
あくまでもパソコンとして使うことを考えましょう。
Surface Pro XはかつてMicrosoftが発売した「Windows RT」搭載のスマートデバイスの後継機となるわけですが、正直いってあまりオススメしません。
実際に手にして使ってみたわけではないのですが、あらゆる仕様をみていると明らかにPro 7の方が優秀だと考えます。仕様用途によってオススメの製品は違うとは思いますが、一応私はSurface Pro 7を推していきたいです。
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