【徹底比較】Core i5-10600K vs Ryzen 5-3600X【ミドルレンジ対決】

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2020年の4月後半にIntelから第10世代デスクトップ向けCPUが発表され、5月にはいよいよ販売が開始されました。 こうしてミドルレンジであるIntelの「Core i5-10600K」、それからAMDの「Ryzen 5-3600X」は両方とも6コア12スレッドとなりました。

この記事では一体6コアミドルレンジCPUがどれくらいの性能を提供し、両者にどれくらいの性能差があるのかについて解説していきます。なお、この記事で紹介するデータはBableTechが計測したものではなく、海外メディアのものに基づいています。

 

 

この記事を2文で説明すると

  • シングルコア性能Core i5-10600Kの方が比較的高く、マルチコア性能Ryzen 5-3600Xの方が若干高い
  • オーバークロックCore i5-10600Kの方が安定している

仕様を比較

まず最初に両者の技術仕様を比較していきましょう。Intelの第10世代、AMDの第3世代にはそれぞれいろんなCPUラインナップが存在しますが、ここではあえて一つのモデルに絞ります。

 

  Intel Core i5-10600K AMD Ryzen 5-3600X
アーキテクチャ Comet Lake-S Matisse (Zen2)
プロセス 14 nm 7 nm
コア/スレッド 6 / 12 6 / 12
ベースクロック 4.1 GHz 3.8 GHz
ターボクロック(1コア) 4.8 GHz 4.4 GHz
TDP 125 W 95 W
参考価格 $262 (F付は$237) $249

 

以上のようになっています。アーキテクチャについてはCore i5-10600KではIntelの第10世代アーキテクチャのうち「Ice Lake (10nm)」ではなく、「Comet Lake」の方が採用されています。 そして3600Xの方ではTSMCの7nmプロセスが採用されているZen2アーキテクチャとなっています。

半導体製造会社が異なるのでアーキテクチャを比較するのは難しいですが、それを考慮したうえでもZen2アーキテクチャの方が電力効率に優れているのは明らかです。

そしてコア数スレッド数は両者とも6コア12スレッドで、ミドルレンジモデルでありながらヘキサコアを実現しています。数年前のCore i7がまだ4コア8スレッドを搭載していたことを考えると、かなり多コアになってきているのがわかります。

そしてクロック数については14nmプロセスアーキテクチャを採用していることもあってか、10600Kの方が全体的に高くなっています。単コアではありますが最大クロックは5 GHz近くになっていて、ゲーミング性能も期待できそうです。また、そのうえで両者とも倍率ロックフリーとなっていてオーバークロックを楽しむことができます

この後オーバークロック時の性能についても紹介しますが、やはり成熟している14nmプロセスを採用しているおかげか、10600Kの方がオーバークロック性能が良い印象です。

そしてTDPには大きな違いが出ています。3600Xでは95Wですが、10600Kでは125Wですのでそこそこ発熱量が大きいと言えるでしょう。また、同時に全体的な消費電力についても10600Kの方が若干高いことが予想されます。

価格については、Core i5-10600KFは237ドル3600Xは249ドルとなっています。Ryzen 3-3600Xには内蔵グラフィックスが搭載されていないのに対してCore i5-10600Kでは内蔵グラフィックスが搭載されているので、公正な比較をするためにはCore i5-10600KF(内蔵グラフィックス非搭載)を出した方が良いです。

ただ、少しややこしいのでここではCore i5-10600Kについて紹介します。内蔵グラフィックスが搭載されているだけで、基本的なCPU性能については10600KFとほぼ全く変わりません。

 

 

Core i5-10600K vs Ryzen 3-3600X

それではいくつかのベンチマークで両者を比較していきます。

なお、ゲームのベンチマーク結果についてもCPUの差が現れますが、基本的にはGPU(グラフィックボード)に依存します(ここでは同じグラフィックボードを用いた場合の比較です)

 

[dic term=”GPU”]

 

 

ボーダーランズ 3(1920 x 1080 , 高品質)

まず最初に紹介するのはボーダーランズ3です。2020年の3月にSteamにも登場した割と新しめのゲームになります。 ごく一般的な重さといった感じで、設定を下げれば低スペックPCでも快適にプレイできる一方、高品質設定だとそこそこのマシンパワーが必要になってきます。

そのため、過度に重たいとか軽いとか無いので、CPU性能等が比較しやすいゲームではあります。

 

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こちらは平均フレームレートを計測したものになります。10600Kの方が比較的優秀となっていて、オーバークロック時もしっかりと性能が向上しています。ですが3600Xの方は若干低い上に、オーバークロック時に逆に性能が下がるという事件が発生しています。

Xモデルではありますが、あまりオーバークロック性能が良くないようです。

 

 

ファークライ ニュードーン(1920 x 1080 , ウルトラ品質)

続いてはファークライ ニュードーンです。こちらもずば抜けて思いゲームというわけではなく、高品質にしたらそこそこマシンパワーが必要になってくる程度です。

 

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このようになっています。こちらについても10600Kの方が比較的優秀です。やはりゲーミング性能はIntelの方が一歩リードしています。 ただ両者ともオーバークロック性能がうまく発揮できていません。

 

 

 

 

Dota 2(1920 x 1080 , 最高設定)

続いてDirect 11レンダリングを採用しているDota 2です。このゲームは他の3Dゲーム等と比べると非常に軽く、グラフィックボードを搭載していなくても設定次第でそこそこ快適にプレイできる印象です。

 

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軽いゲームであるためか、更に差がついています。10600Kの方が10%以上性能が高くオーバークロック時は更に性能が向上しています。

一方で3600Xの方は比較的低く、オーバークロックをしても変わりません。

 

Adobe Premiere Pro CC 2020 4K出力

あれ、そんなゲームあったっけ?って感じですが、今回はゲームではありません。動画編集ソフトでの4K動画の出力性能になります。今度は値が小さい(エンコードが速い)方が優秀となります。

 

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こちらについてはオーバークロックをしない状態では3600Xの方が若干優秀となっています。タッチの差ではありますが、ゲームに比べるとこのように比較的多くのコアを使う処理の方が得意だということがわかります。

そしてオーバークロック時についてはオーバークロック性能の差で引き離されているのか、10600Kが一歩リードしています。これはマルチコアパフォーマンスを測るためのベンチマークですが、動画出力を気にしている人はCPUではなくGPUの力も借りたエンコードを利用することをお勧めします。

 

 

CINEBENCH R20 シングルコア

続いてはCPUの性能差が最もよくわかるCPU専用ベンチマーク「CINEBENCH」の結果です。最新のR20です。まずはシングルコア性能になります。

 

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シングルコア性能についてはやはり10600Kの方が若干優秀となっています。これはゲーミング性能が優秀であることからもうかがえることです。一方で3600Xは性能が低く、オーバークロックで1コア当たりの性能が下がってしまっているのか、オーバークロック性能が低くなっています。

 

CINEBENCH R20 マルチコア

続いてはマルチコアパフォーマンスです。基本的に全コアまんべんなく使われるので全コア利用時の性能が浮き彫りになります。

 

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マルチコアについては若干3600Xの方が優秀となっています。また、オーバークロック性能もしっかりと発揮することができています

 

 

まとめ

シングルコア性能が重視されるゲーム等の処理については10600Kの方が安定して優秀であることがわかりました。また、オーバークロック性能についてもいかなる状況でも10600Kの方が優秀です。これは成熟した14nmプロセスを採用しているからかもしれませんね。

ただしCPUにたくさんのコアが搭載されているのには訳があり、なにもゲームのようにシングルコア性能が重視される処理がたくさんあるわけではありません。動画のエンコード等もそうですが、マルチコア性能が重視される処理においては若干3600Xの方が優秀であることがわかりました。

といっても本当にわずかな差なので、基本的には10600Kの方が優秀であると言えます。

恐らくゲームにおいても、動画エンコード等においても顕著に体感できるほどの性能差ではありませんが、オーバークロック性能を求める人や安定性を求める人はCore i5-10600Kの方が良いかと思います。

参考価格は両者ともほぼ同じですが、市場によってはそこそこ差が出てくると思いますので、圧倒的に安かったらそちらを購入する方が良いかもしれません。


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