Lenovoは世界で最も規模の大きいパソコン会社です。そんなLenovoにはノートパソコンシリーズとして「ThinkPad」がありますが、先日、Lenovoから「ThinkPad X1 Carbon」の2020年モデルが発表されました。Gen8(第8世代目)となるわけですが、この記事ではGen7と徹底的に比較していき、それぞれの仕様について解説していきたいと思います。
この記事を2文で説明すると
- ThinkPad X1 Carbon 2020年モデルは2019年モデルと比べてほぼ変わらない
- 少し価格が安くなるが、発売されるのは2020年後半であるため、しばらくの間は2019年モデルが主流になる
デザインの比較
まず最初にデザインの比較をしてみましょう。ThinkPadといったら真っ黒ノートパソコンといったイメージですが、なにか変化は起きたのでしょうか。
2019年モデル(Gen7)

2020年モデル(Gen8)

以上のように、見た目は全くと言っていいほど変わりません。年々薄くなってきている印象ですが、今回に関してはほぼ全くサイズの変更はありませんでした。
ですが、キーボードに一部の変更があります。


これまでBluetoothのキーなどがあった上部ファンクションキー列の一部が、Skypeなどの通話用のキーに替わっています。
私はその手のアプリを使わないのであまりわかりませんが、おそらくノートパソコンが年々小型になっていき、より「モバイル化」するにつれてまるでスマートフォンであるかのような使い方が増えてきているのでしょう。そしてパソコンでの通話も増えているのかもしれません。以前ついていたBluetoothキー等はわざわざショートカットにするほどのものではなかったので、より便利なキー配列になったといえるでしょう。ただ、人によっては全く意味のないアップデートになったかもしれません。
仕様を比較
続いては内部の仕様を比較していきます。なお、ThinkPad X1 Carbonシリーズにはたくさんのオプションが存在するため、少しわかりにくい表になってしまうかもしれません。
比較項目 | 2020年モデル | 2019年モデル |
---|---|---|
プロセッサ世代 | Intel 第10世代モバイル , (Intel 第8世代モバイル?) | Intel 第10世代モバイル , Intel 第8世代モバイル |
プロセッサ | Corei5 , Corei7 | Corei5 , Corei7 |
Wi-Fi | Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax) | Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac) |
メインメモリ | ~16GB | ~16GB |
ストレージ | ~2TB | ~2TB |
ディスプレイサイズ | 14インチ | 14インチ |
ディスプレイ仕様 | FHD FHD(マルチタッチ) FHD(プライバシーガード) WQHD(1440p) UHD(4K) | FHD FHD(マルチタッチ) FHD(プライバシーガード) WQHD(1440p) UHD(4K) |
グラフィックス | Intel UHD | Intel UHD |
バッテリー | 51Wh , 15時間 | 51Wh , 15時間 |
重量 | 2.4ポンド(1.09kg) | 2.4ポンド(1.08kg) |
USB Type-C | 2ポート(USB 3.2 Gen1,2 / Thunderbolt 3) | 2ポート(USB 3.2 Gen1,2 / Thunderbolt 3) |
音声・映像端子 | 3.5mm Audio , HDMI | 3.5mm Audio , HDMI |
価格 | 1,499ドル~ | 1,709ドル~ |
以上のようになっています。それではそれぞれの項目について解説していきます。ただ、一つ言えるのは、2019年モデルと2020年モデルの差はほぼないということですね。
1.プロセッサ(CPU)
プロセッサについては、第10世代Intel Coreシリーズをサポートします。実は2019年モデルの時点で第10世代Corei7-10710Uオプションも存在しました。しかし2020年モデルでは新しく「Corei7-10810U」をサポートする予定です。
Corei7-10810UとCorei7-10710Uの性能はあまり変わりませんが、Corei7-10810Uでは「vProテクノロジー」をサポートします。
すなわち、Corei8-10810UはComet Lake -Uシリーズで唯一のvProサポートCPUになります。

ちなみにvProテクノロジーとは、よりセキュリティが強化されたIntelのCPUテクノロジーで、パソコンのリモートコントロールをプロセッサ単位でサポートすることができるなどのビジネスに特化されています。
2.Wi-Fi
2020年モデルでは、新たに「Wi-Fi 6」というWi-Fiの規格をサポートします。
2019年モデルの「Wi-Fi 5」よりも高速な通信が行えるようになるわけですが、実際、今のところWi-Fi 6をサポートしているルーターはあまり普及していないのでその恩恵を受けるにはまだ時間がかかりそうです。
ちなみにIntelの第10世代CoreシリーズはWi-Fi 6をプロセッサ単位でサポートするのですが、2019年モデルにおいては最後の方に第10世代Coreシリーズオプションが登場したこともあって、Wi-Fi 6をサポートしていませんでした。
そして、2020年モデルではプロセッサでのサポートに加え、搭載されるWi-FiカードもWi-Fi 6に対応します。
3.メインメモリ・ストレージ
メインメモリとストレージに関しては何も変わりません。ストレージは最大で2TBのPCIe接続 SSDを選択することが可能です。
メモリも、最大で16GB搭載することができるので、この仕様のノートパソコンだったら十分でしょう。
4.ディスプレイ
ディスプレイにおいては様々なオプションが存在しますが、2020年モデルと2019年モデルの間に差はありません。
5.グラフィックス
動画の再生性能やゲーミング性能に影響してくる「グラフィックス」については、CPU内蔵のものが使われます。第十世代Coreシリーズのうち、Icelakeシリーズの一部のプロセッサには「Intel Iris Plus」という上等なグラフィックスが搭載されていましたが、Cometlakeシリーズについては第8世代のものとほぼ変わりません。
ただ、「UHD」とついているため4K解像度での最低限の動きは保証されているくらいのグラフィック性能はあります。しかしゲーム性能については少し古いものなら設定を下げてやっとプレイできるくらいですので、最新ゲームを快適にプレイするのは不可能です。
ゲームをプレイしたいならゲーミングノートパソコン等にしましょう。
6.バッテリー
バッテリー性能に変化はありませんが、15時間も動作すれば十分です。
7.重量
重量は0.01kgだけ重くなりましたが、ほぼ誤差のようなものです。一般的なノートパソコンとしては相当軽い方です。
8.接続端子
接続端子等も2019年モデルと変わらず、2つのUSB Type-CポートがそれぞれUSB 3.2とThunderbolt 3をサポートしているといった感じです。
音声、映像出力についても同じです。
9.価格
2019年モデルの登場時は、価格が1,709ドル~と発表されていました。今では値下がりしているようですが、2020年モデルについては2019年モデルに比べてだいぶ安く発売されるみたいです。
第十世代Coreシリーズを搭載してこの価格ならそこそこ良いかもしれません。ただ、当分の間は2019年モデルを購入する方が明らかにコストパフォーマンスが良い気がします。
いつ発売される?
2019年モデルは2019年の6月ごろに北米で発売され、そのあとに日本でも発売されました。そして2020年モデルについては北米で2020年後半に発売されるとのこと。
にしては発表が早すぎないかといった感じですが、まだ2019年モデルが活躍できていないので、とりあえずは2019年モデルが主流になるのでしょう。
ただ、2020年後半の時点でこの仕様でこの価格というのはなんだか高い気がします。もともとThinkPad X1 Carbonシリーズは高価なのが特徴ではありますが、ぶっちゃけた話あまり”買い”じゃないです。ただ、2019年モデルについては今が旬といった感じなのでおすすめです。

参考記事:https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/1227407.html