2019年の7月にAMDから第三世代Ryzen CPUが発売され、高い評価を受けているわけですが、そんな中第三世代のRyzen PROシリーズも発売開始となりました。
この記事では第三世代Ryzen PROシリーズについて解説していきます。
この記事を2行でまとめると
- AMDから第三世代Ryzen PROシリーズCPUが販売開始
- ちなみにPROシリーズは無印版と基本的な性能は変わらず、法人向けにセキュリティ対策が施されているCPUである。
Ryzen PROシリーズとは?
最近の大きなニュースとして、AMDから第三世代RyzenのPROシリーズが販売されたというのがありますが、そもそもPROシリーズとはなんなのでしょうか。
オーバークロックパフォーマンスがより高い、「X」シリーズについては知っている人が多いと思いますが、PROシリーズについては関わる機会があまりないでしょう。
それもそのはず、Ryzen PROシリーズは企業向けで、一般ユーザーには一切販売していません。
そして、「PRO」という名前からしてかなりパフォーマンスが高いのだろうと思いを巡らせる人も多々いるとは思いますが、その予想に反してPROシリーズは無印モデルとほぼ全く性能が変わりません。
では一体どのような点で違いがあり、差別化されているのでしょうか?
PROシリーズと無印モデルの違い
この度販売が開始された第三世代Ryzen PROシリーズを例にしてもいいのですが、とりあえずここでは前世代のRyzen PROシリーズ「Ryzen5 PRO 2600」とその無印モデル「Ryzen5 2600」を比べてみましょう。
比較用にXシリーズである「Ryzen 5 2600X」も投入します。
比較項目 | Ryzen 5 2600 | Ryzen 5 PRO 2600 | Ryzen 5 2600X |
---|---|---|---|
コア数/スレッド数 | 6/12 | 6/12 | 6/12 |
ベースクロック | 3.4GHz | 3.4GHz | 3.6GHz |
ターボクロック | 3.9GHz | 3.9GHz | 4.2GHz |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB | 16MB |
TDP | 65W | 65W | 95W |
発売日 | 2018/04/19 | 2018/09/06 | 2018/04/19 |
一目でわかると思いますが、PROモデルとそうでないモデルとで差はありません。
ただし、PROシリーズでは他のモデルではない「AMD GuardMI」というテクノロジーがフル活用されています。
AMD GuardMIとは
AMD GuardMIではいくつかのセキュリティ対策が施されます。
1、AMD、メモリーガード
RAMの情報をOSに依存せずに暗号化することによって外部からの攻撃に対する防御を格段にあげます。
とても難しいのですが、企業では結構役に立つのでしょう。
2、セキュア・ブート
信頼されたBIOSがインストールされている場合にのみOSを起動することができます。
もはやOSが起動していなくてもセキュリティ対策ができるようになっていて、全く隙のないテクノロジーとなっています。
3、慎重な生産
PROシリーズのCPUは普通のものよりも生産において気を使っています。
出荷される前に一通りのセキュリティ機能が作動するかを隅々までチェックされます。
あと他の違いとして、発売日ってのもあります。
基本的にPROシリーズのCPUは基本モデルが登場し、問題なく普及していったら生産されるようになっています。こうすることによって安定した信頼性を得ることができるのです。
そして冒頭でも話しましたが、PROシリーズCPUは一般ユーザーには一切販売せず、法人向けとなっています。法人ではこれらのセキュリティ対策を最も重視しているのでしょう。
第三世代Ryzen PROシリーズラインナップ
Ryzen PROシリーズについて軽く説明したところで、この度販売が開始された第三世代Ryzen PROシリーズのラインナップを紹介していきましょう。
内臓GPUなし | コア/スレッド | TDP | L2+L3キャッシュ |
---|---|---|---|
Ryzen 9 PRO 3900 | 12/24 | 65W | 70MB |
Ryzen 7 PRO 3700 | 8/16 | 65W | 36MB |
Ryzen 5 PRO 3600 | 6/12 | 65W | 35MB |
内臓GPUあり | コア/スレッド | TDP | L2+L3キャッシュ |
---|---|---|---|
Ryzen 5 PRO 3400G | 4/8 | 65W | 6MB |
Ryzen 5 PRO 3400GE | 4/8 | 35W | 6MB |
Ryzen 3 PRO 3200G | 4/4 | 65W | 6MB |
Ryzen 3 PRO 3200GE | 4/4 | 35W | 6MB |
ローエンド | コア/スレッド | TDP | L2+L3キャッシュ |
---|---|---|---|
Athlon PRO 300GE | 2/4 | 35W | 5MB |
さんざん「第三世代Ryzen PROシリーズ」と紹介してきましたが、一応「Athlonシリーズ」からも出ています。
ですがソケットが同じで、アーキテクチャも同じなのでRyzenの下位互換モデルといった感じでしょうか。
そして、PROシリーズの基本的な仕様は無印モデルと変わらないといいましたが、Ryzen 7 3700 , Ryzen 9 3900というCPUはないので、通常の「Ryzen 7 3700X」等と比べると性能は抑えめになっています。
ただし法人がXシリーズを使う必要はないし、コストや発熱を抑えられるのでこのスペックがちょうど良いのでしょう。
また、「GE」シリーズではTDPが35Wに抑えられていて、そこそこ良い性能を発揮するのでワットパフォーマンスがさらに高くなっています。
私たちには関係のないCPUですが、このCPUが企業に大幅に採用されるとなるとAMDにとっては良い顧客を確保できることになるでしょう。
CPUに関するニュースでも「脆弱性」という文字が使われることが多数あります。そんな中より信頼性の高い、セキュリティ対策が施されたCPUというのは結構需要が高くなることでしょう。特に企業なんかはそのようなCPUを求めています。
具体的な価格は公開されていませんが、無印Ryzen CPUとほとんど変わらない、むしろ少し安い価格で提供されることになるでしょう。
そう考えるとIntel CPUよりも人気が高くなってくるのではないでしょうか?
それでも企業はIntelを選ぶと言われていますが…
関連記事:第四世代Ryzenは最大32コア128スレッドかもしれない話【Zen3】
【安く第三世代Ryzen環境を】廉価版B550チップセットが登場
第4世代RyzenではPCI-e 5.0 & DDR5メモリ対応?