ついに発表されました。このCPUシリーズについて噂され始めたのはいつのことでしょうか。ちょうど当サイト「BableTech」が開設した2019年の夏ごろに割と初期の方にこのサイトで「Zen3」アーキテクチャに関する噂情報をまとめた記事を投稿しました。
これまでに数々の噂がなされてきて、この記事も何度も更新しましたが、ついにAMDが公式に発表したということでこの記事にて「Zen3」を紹介していきたいと思います。
Zen3「Vermeer」アーキテクチャの特徴
とりあえずいつものようにこのCPUシリーズのアーキテクチャ「Zen3」についての特徴を紹介していきます。
1.5000番台
Ryzen CPUが始まったのは2017年のこと、そこから毎年更新されて、2019年には第三世代Ryzen「Ryzen 3000」が登場しました。ということで2020年は第四世代Ryzen「Ryzen 4000」が予想されていたわけですが、三世代の後継でありつつも型番は5000番台となりました。つまりあえて4000番台を避けたということでしょうか。 これについてはしっかりとした理由があるとは思いますが、個人的にはAPUの型番がややこしくならないようにこうしたのではないかとも思います。現状、第三世代「Ryzen 3000」で採用されたZen2アーキテクチャが第三世代APU「Ryzen 4000」で採用されているなど、型番に関してAPUが千番台後ろに下がるというややこしい状況になっています。
そこで、第四世代の立ち位置にRyzen 5000が登場することで、Zen3アーキテクチャを利用しているAPUも同じ5000番台にできるという利点があると言えるでしょう。 まぁ正直我々消費者はあまり気にする必要はないと思います。
2.TSMCの洗練された7nmプロセス
Zen2アーキテクチャで採用されたのはTSMCの7nmプロセスルールです。そして今回もZen3アーキテクチャにTSMCの7nmプロセスが採用されました。しかし前よりも洗練されているもので、Zen2のものよりもIPCが19%向上するとともにZen2よりも電力当たりのパフォーマンスが最大24%向上しているとのことです。
理論上、Intelの最新ハイエンドCPUである「Core i9-10900K」と比較するとZen3のRyzen 9プロセッサは最大2.8倍の電力効率になるとのことです。
Instructions Per Cycle/Clockの略。すなわちCPUが1クロック(サイクル)で処理することのできる数。 IPCが改善すると低クロックでも高パフォーマンスを得ることができる。
3.最大16コア32スレッド、4.9GHz
現時点で発表されているラインナップについてはこの後紹介しますが、最上位モデル「Ryzen 9-5950X」では16コア32スレッドとなっています。これは第三世代の時の最上位モデルである「Ryzen 9-3950X」と同じコア数ですね。
ですがRyzen 9-5950Xでは先ほど紹介したようにIPCが向上している上、動作周波数が向上して4.9GHzとなりました。異なるプロセスルールを利用しているので一概には比較できませんが、Intelの第10世代デスクトップ向けCPUの「5.3GHz」には及ばなくとも、7nmプロセスとしては非常に優秀なのではないでしょうか。 ただ、やはりパワーに関してはIntelの方がアドバンテージをとるという結果になりそうです。
4.AM4ソケット
Ryzenシリーズは第一世代からAM4ソケットをずっと採用してきましたが、おそらく今回が最後になるでしょう。とりあえずZen3アーキテクチャではAM4ソケットが採用されています。 そして500および400シリーズチップセットを採用している既存のマザーボードとの互換性が確保されているとのことです。 最近Intelから発表された第10世代デスクトップ向けCPUではソケット自体が変更され、下位互換性は確保されなくなりましたが、AMDに関してはここ二年前くらいのマザーボードを利用することすらできるという優秀さですね。別にソケットを変更したIntelが間違っていたわけでは決して無いですが、やはり消費者としては下位互換性というのは新製品に取り掛かりやすくなり、ありがたいポイントでしょう。
他にも、ダイの構成やキャッシュの配分などがZen2から大きく変わったりしたようですが、マニアックで私の知識では十分に説明できる気がしないのでこの記事ではカットします。というかぶっちゃけそこら辺の話はどうでもいいみたいなところありますね…個人的に
ラインナップ
続いてラインナップを解説していきます。
CPU名 | コア/スレッド | ベースクロック | ブーストクロック | キャッシュ(L2 + L3) | TDP | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|
AMD Ryzen 9 5950X | 16/32 | — | 4.9 GHz | 72 MB | 105W | $799 |
AMD Ryzen 9 5900X | 12/24 | 3.7 GHz | 4.8 GHz | 70 MB | 105W | $549 |
AMD Ryzen 7 5800X | 8/16 | 3.8 GHz | 4.7 GHz | 36 MB | 105W | $449 |
AMD Ryzen 5 5600X | 6/12 | 3.7 GHz | 4.6 GHz | 35 MB | 65W | $299 |
このようになっています。現在のところはRyzen 3シリーズ等は発表されていないようですね。最上位モデルは先ほど言った通り5950Xで、一時期噂されていたRDNA2の「Big Navi」GPUの型番と似たような感じになっています。結局のところRDNA2は6000番台となりましたが。
そしてRyzen 9には5900Xもあり、こちらは12コア24スレッドとなっています。コア数スレッド数に関して言えば専ら、Ryzen 9 , 7 , 5ともにZen2アーキテクチャの時と同じですね。 ですが全体的にクロック数が上昇しています。
性能
とりあえず現時点では大量の消費者が購入し、ベンチマーク結果を大量に残している状況ではないので、AMDが謳っている性能を紹介しましょう。

こちらは前身モデルとなるRyzen 9-3900XTと5900Xを比較したものになります。多くの有名タイトルで性能が向上しているのがわかり、中には50%も性能が向上しているものもあるようです。


なお、11月頃から利用可能になるとのことです。
参考記事:https://wccftech.com/amd-ryzen-5000-desktop-cpuseries-cpu-12-core-ryzen-9-5950x-5900x-5800x-5700x/