以前当サイトでは最近話題になっている「ミニLEDディスプレイ」の仕組みやメリットについて説明する記事を投稿しました。
有機ELを超える? 新技術「ミニLEDディスプレイ」を徹底解説【図解】
この記事ではミニLEDについて取り扱いましたが、似たような技術として「マイクロLEDディスプレイ」というものがあります。そしてこの「マイクロLEDディスプレイ」が次世代のApple Watchに採用されるだとかで最近話題になっています。
この記事では、マイクロLEDディスプレイとは何なのか? ミニLEDディスプレイとの違いも説明しながら解説していきます。
この記事を2文で説明すると
- マイクロLEDディスプレイとミニLEDディスプレイの違いは「LEDの大きさ」
- マイクロLEDはその小ささを活かして、LED自体が画素になるという方式をとる
マイクロLEDディスプレイとは?
マイクロLEDディスプレイとは、マイクロLEDという非常に小さいLEDを使って作ったディスプレイになります。
どれくらい小さいのかといいますと、その直径は一般的には100μm以下となっています。1μmが0.001mmですので、もはや人の目では一つのLEDを確認できないくらい小さくなっています。 対して普通の液晶ディスプレイでは人の目でも一つのLEDを確認できるくらいの大きさのLEDが使われています。
液晶ディスプレイとの違い
液晶ディスプレイ

通常の液晶ディスプレイは白色LEDをバックライトとして後ろから照らし続け、画素ごとに「液晶」でその光の量を調整します。
そして量が調整された光がカラーフィルターを通過することでいろんな色を作り出すことができます。
しかしこの仕組みだと、「黒色」を発したい画素の部分にも容赦なく白色LEDの光が当たりますので、液晶だけでは光を封じることができず、結果的に黒色の部分でも少し光が漏れて灰色っぽくなってしまいます。
この課題を克服するために最近のディスプレイでは「ローカルディミング」と呼ばれる、バックライトを小さい区間に分けてそれぞれの区間でバックライトの強さを調整する技術が導入されていますが、結局のところ完璧な黒を作り出すことはできていません。
また、LEDが比較的大きい上に、液晶やカラーフィルターまで必要になってくるので比較的分厚くなってしまいがちです。
とはいえども、世の中のほとんどのディスプレイでこの方式が採用されています。例えばiPhone 11なんかもこの方式を採用しています。(iPhone 11 Proシリーズは有機ELディスプレイ)
マイクロLEDディスプレイ

一方マイクロLEDディスプレイでは、LEDを使っていることに変わりはありませんが、その使い方が全く違います。
通常のディスプレイではバックライトとしてLEDを使っていましたが、こちらは「画素」として使っています。つまり、赤・青・緑色の3つのマイクロLEDが1組になって画素を構成しているのです。
この三色は光の三原色ですから、様々な色を作り出すことができます。そしてこの方式では先ほどの液晶ディスプレイとは違って、黒色を発したい時はLEDを光らせなければいいわけですので、真の黒色を出すことができます。
究極のローカルディミングといった感じですね。そして逆に白色を発したい時はすべてのLEDを均等に光らせればいいだけですので、きれいな白色を出すことができます。
そしてこの「黒色」と「白色」をはっきりと表現することができますので、結果的にコントラスト比が高くなります。
また、このディスプレイでは「液晶」と呼ばれるパーツが必要ありませんし、バックライトもありませんので柔軟性を獲得することができます。つまり、ディスプレイを曲げることができるのです。
その上、単純にLEDの個数が多いですので輝度を非常に高めることができます。
また、液晶やバックライトが無く、LED自体が小さいのでディスプレイをかなり薄くすることができます。
通常の大きさのLEDでこの方式をとろうとすると1画素当たりの大きさがかなり大きくなってしまい、ディスプレイが荒くなってしまいますが、マイクロLEDを使えばきめ細かいディスプレイを実現することができます。
ただその一方で、新技術ということもあって製造コストがかなり高いのが難点です。
- メリット
- 視野角が非常に広い
- コントラスト比が高い
- 薄型にできる
- 柔軟性を確保できる
- デメリット
- コストが非常に高い
ミニLEDディスプレイとの違い
続いてはミニLEDディスプレイとの違いです。
大きさが違うだけ
ミニLEDディスプレイでは、文字通り「ミニLED」が使われています。
そしてミニLEDとマイクロLEDの違いは大きさだけです。
- ミニLED => 直径100μm~数百μm
- マイクロLED => 直径100μm未満
しかし、大きさが違うことで採用されるディスプレイの方式も異なってきます。
ミニLEDディスプレイ

こちらは現在、ミニLEDを使ったディスプレイで最も多く採用されている方式です。通常のLEDよりも圧倒的に小さい「ミニLED」を液晶ディスプレイのバックライトにすることで先ほど説明した「ローカルディミング」という技術をより効果的に使えるようにしたディスプレイになります。
大きさ的に1画素に1LEDというスタイルは取れないので上の画像は少し誇張していますが、先ほど紹介した通常の液晶ディスプレイよりはバックライトが細かくなっているのがわかります。
しかし、マイクロLEDディスプレイのように、LEDで画素を構成しているわけではありません。 やろうと思えばミニLEDでもマイクロLEDディスプレイのようにLEDで画素を構成することはできるのですが、そうすると画素が大きくなってしまいます。
最近ではスマートフォンで「300 ppi(1インチの間に300画素)」以上のディスプレイ密度を採用することが常識になりつつありますが、300 ppiはすなわち
(1インチ ≒ 25.4 mm = 25,400 μm)
25,400 μm ÷ 300 ppi ≒ 84.67 μm / p
上の式より、1ドット当たり84.67 μm程度の大きさでなければならないのです。また、3つのサブピクセル(三原色)で1つの画素を構成しているので、
84.67 μm / p ÷ 3 ≒ 28.22 μm / sub-p
つまり、LEDの直径が30μm以下でないと300 ppiのディスプレイを作ることができないのです。 ミニLEDの直径は100μm以上ですから、大きすぎてしまいます。
そこでより小さいマイクロLEDを使えばよりドット密度の高いディスプレイまで作ることができるということです。
マイクロLEDディスプレイのサンプル
実際にジャパンディスプレイ(JDI)はすでにドット密度の高いマイクロLEDディスプレイのサンプルを作ることに成功しています。

このディスプレイは 300 x 300の解像度で、265 ppiの密度を実現しています。
ちなみに私が使っている2019年製のiPadは264 ppiですので、AppleのRetinaディスプレイ並みの密度はあるということですね。
その上、輝度は通常の液晶ディスプレイの10倍以上となっているそうです。
以上、マイクロLEDの説明でした。
この記事は初心者が初心者のために作った記事ですので、情報に誤りがある可能性がありますが、ご了承ください。
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