ゲーミングパソコンの頂点といったら何でしょうか。私だったら多分DellのAlienwareと答えますね。 この度、Dellから新しいゲーミングデスクトップパソコンとして、Alienware Aurora R11が発表されました。
日本での発売状況についてはよくわかっていませんが、その仕様がHardwareを逸脱した「Alienware」となっていますのでここではIntel製CPUを搭載している前モデルである「R9」と比較していきます。
ただ、日本では「R~」という型番では識別されていないようなので、ここで紹介する製品はあくまでもアメリカの製品だということをご理解ください。
この記事を1文で説明すると
- Alienware Aurora R11では、R9よりも新しいIntel第10世代CPU、高性能なメインメモリ、より高いグラフィックオプションに加えて、新たに水冷式GPUクーラーが導入された
Alienwareの特徴
新モデルについて解説する前に、一度DellのAlienwareというシリーズは一体どのようなゲーミングパソコンなのか少しだけ説明します。
実はAlienwareはDellのプライベートブランドというよりは、子会社になります。完全な子会社なのでその製品はDellのホームページ上で販売されていますが、一応Dellの他のパソコンとは別の組織が製造しているという感じですね。
ゲーミングノートパソコンやデスクトップパソコンを手掛けていて、(実用的な)最大級の性能を誇るモデルを次々と生み出しています。
そのため、Alienwareといったら高くて高性能なゲーミングパソコンしかないイメージではありますが、実はその一方で通常のビジネス向けパソコンに限りなく近いようなローエンドゲーミングパソコンも割と高コスパで販売していたりします。
しかもローエンドといってもハイエンドと同じボディでパーツ構成を変えただけなので、見た目は非常にかっこよくなっています。やはり他のゲーミングパソコンと比べた時の一番の特徴としてはボディのデザインでしょうか。ただのボックスではなく、曲線美が表れているボディで、異彩を放っているのがAlienwareです。正直パーツ構成は各会社のゲーミングパソコン似たり寄ったりみたいなところがあるので、AlienwareがAlienwareであるためには見た目を工夫するのが一番なのでしょう。

AURORA R11の特徴
それではこの度発表されたAlienware Aurora R11の特徴を紹介していきます。ここではIntel製CPUを搭載した前モデルとなる「R9」と比較していきます。ただしR9モデルは日本では「NEW AURORA」としか表現されていなくて、日本モデルと若干仕様が異なっている部分があります。
また、R11は5月現在日本Dellでは販売されていません。
デザイン

相変わらずボディが特徴的ですが、ボディの形は変わらないように見えます。ですが中央のライトの付き方に若干差がありますね。
ボディサイズについては、ミニタワー用に近いサイズのマザーボードが搭載されているだけあって、そこまで大きくはないです。
CPU
[dic term=”CPU”]
ゲーミングパソコンで重要になってくるのは処理装置です。グラフィックボードが最重要ではありますが、結局CPUが高性能でないとボトルネックが発生してグラフィックボードを活かせなくなってしまいます。
R9ではIntelの第9世代プロセッサが搭載されましたが、A11では最近発表されたばかりの第10世代プロセッサが搭載されています。
モデル | R9 | R11 |
---|---|---|
最低オプション | Intel Core i5-9400 | Intel Core i5-10400F |
2 | Intel Core i7-9700 | — |
3 | Intel Core i7-9700K | Intel Core i7-10700KF |
4 | Intel Core i9-9900* | — |
最高オプション | Intel Core i9-9900K | Intel Core i9-10900KF |
*日本にはない
このようになっています。どちらもCore i5からi9までのオプションがあり、ローエンドからハイエンドゲーミングまで実現可能です。R9ではオーバークロックができるモデルとそうでないモデルのバリエーションがありましたが、R11では一部カットされています。
そして全モデルでCPU内蔵グラフィックスが搭載されていないF付CPUが採用されています。ゲーミングパソコンということで最小構成でもグラフィックボードが搭載されますので、特に支障はないでしょう。
ただグラフィックボードが壊れた時にオワコンになったり、一部のQSV等の機能が使えなくなったりはします。
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こちらはGeekbench v5 マルチコアスコアを参考にしたものになります。ゲーム性能は通常シングルコアの方が有効だと言われていますが、CPUとしての性能差がわかりやすいようにマルチコアにしました。
第9世代から10世代にかけてきれいに性能が向上しています。ハイパースレッディングテクノロジーを手に入れたCore i5の進化具合もなかなかのものです。
グラフィックボード
ゲーミングパソコンということで内蔵グラフィックスを搭載しているモデルはありませんので、グラフィック性能については実質グラフィックボードの比較になります。
[dic term=”GPU”]
グラフィックボードについてはNvidia製のGeForceシリーズが選べるほか、AMDのRadeonグラフィックスも選択可能となっています。
モデル | R9 | R11 |
---|---|---|
最低オプション(Nvidia) | GTX 1650 | GTX 1650 |
2 | GTX 1660 Ti | GTX 1660 Ti |
3 | RTX 2060 SUPER | RTX 2060 SUPER |
4 | RTX 2070 SUPER | RTX 2070 SUPER |
5 | RTX 2080 SUPER | RTX 2080 SUPER |
6 | RTX 2070 SUPER x 2 | RTX 2080 SUPER x 2 |
最高オプション(Nvidia) | RTX 2080 SUPER x 2 | RTX 2080 Ti x 2 |
最低オプション(AMD) | RX 570X x 2* | 5600 |
2 | RX 5700* | RX 5700 XT |
最高オプション(AMD) | RX 5700 XT* | Radeon VII |
*日本にはない また、バリエーションが豊か過ぎるので一部省略
以上のようになっています。Nvidiaについては両モデルとも基本的にはTuringアーキテクチャのものが採用されていますが、R11では若干高めのオプションが追加されました。 そして最高オプションではRTX 2080 Tiが二基となっており、現状最強レベルのゲーミング性能を発揮します。
そしてAMD GPUのバリエーションも変わり、最新のNaviアーキテクチャを採用した「Radeon 5600」からVegaアーキテクチャの大将「Radeon VII」までのオプションが存在します。
RX 5600なら聞いたことがありますが、Radeon 5600ってなんでしょうね。とりあえず公式ホームページに載っていたのでそういう型番なのでしょう。
以上より、より高いグラフィックオプションが増えたと言えます。
メインメモリ
[dic term=”メインメモリ”]
続いてはゲームで処理装置の次くらいに大事になってくるメインメモリです。CPU性能が高くてもメインメモリが容量不足だったらボトルネックになってしまいますので、メインメモリもCPUに合わせてそれなりのものである必要があります。
モデル | R9 | R11 |
---|---|---|
最低オプション | 8GB DDR4-2666 | 8GB DDR4-2933 |
2 | 16GB DDR4-2933 | 16GB DDR4-3200 |
3 | 32GB DDR4-2666 | 32GB DDR4-3200 |
4 | 32GB DDR4-2933 | 64GB DDR4-2933 |
最高オプション | 64GB DDR4-2666 | 64GB DDR4-3200 |
一部省略
メインメモリに関しては同じDDR4メモリですが、動作周波数が異なっています。R9では64GBで2666MHz(日本では2933MHz)でしたが、R11では64GBでまさかの3200MHzとなっています。
3200MHzは不安定な印象しかありませんでしたが、こうしてオプションに組み込まれたということは安定して動作するのでしょう。
ストレージ
ストレージについては変わらず、SATA接続のHDD、SSDとM.2接続のNVMe SSDを組み合わせているオプションがたくさん存在します。
最小構成では1TBのHDDのみで、最高構成では2TBのNVMe SSDと2TBのSATA SSDという謎の組み合わせになっています。
正直片方NVMe SSDならもう片方は4TBくらいのHDDで良いと思いますけどね。ちなみに本体にいくつかベイがあるので自分で増設することも可能です。
冷却
普通のパソコンでは選べないことが多いですが、ゲーミングパソコンということで冷却装置のオプションまで存在します。
両モデルとも空冷クーラーと水冷クーラーのオプションがありますが、R9についてはグラフィックボードの冷却はすべて空冷となっていました。
ですがR11ではデュアルGPU構成をしない一部のオプションでグラフィックボードも水冷にすることが可能になっています。

水冷式CPUクーラーと接続しているわけではなく、完全にGPUクーラーで独立しています。そしてラジエーターが一つのグラフィックボードのようになっていて、その見た目はデュアルGPUのようです。ここまでの水冷システム要るかって感じですが、このシステムを導入することで温度を20%下げることができる上に、69%騒音を減らすことができるとのこと。
たしかにハイエンドグラフィックボードともなると発熱量がCPUより高いことが多いので空冷式ではそれなりに回転数が上がります。そのため水冷式が結構活躍するのでしょう。
電源装置
電源装置については、R9では最大850Wのものが採用されましたが、R11ではCPUの消費電力が増加したうえにより高いグラフィックボードオプションが登場しましたので、それに耐えられるように最大1000Wの電源装置が搭載されます。
1000Wで足りないゲーミングパソコンはほとんどないかと思います。おそらく常用最大って感じです。なるべくワット数が高い電源装置の方が、電力を多く食っているときの効率が良かったり、電源装置の負担が少なくて動作音が静かだったりします。
ワイヤレス
Wi-FiについてはR9でもKiller Wi-Fiオプションを選択することでWi-Fi 6通信を行うことができました。このKiller Wi-Fi 6カードでは最大2.4 Gbpsの通信を実現しますので、もはやイーサネットです。
そしてR11でもKiller Wi-Fi 6カードを選択できますが、それに加えてCPUレベルでWi-Fi 6がサポートされるようになったこともあってIntelのカードも選べるようになりました。
また、Bluetoothについてはバージョン5.1です。
以上がR9からR11の進化になります。最新のプロセッサを搭載したこと、水冷のGPUクーリングシステムを導入したことが目立ちましたね。
価格についてはオプションがたくさんありすぎるので省略しますが、最新のCPUを搭載していることもあってかR9よりはR11の方が高めになっています(現在)
日本でいつ購入可能になるかはわかりませんが、早く最新のCPUをAlienで使ってみたいところですね。