第10世代デスクトップ向けCPU「Comet Lake-S」が発表されている中ですから、その次の世代のCPUなんて耳にしたことがある人はまだ少ないと思います。Intelのロードマップによると、第11世代のデスクトップ向けCPUは「Rocket Lake-S」と呼ばれ、またしてもlakeが付きます。この記事では、Rocket Lake-SがどのようなCPUになるのかをお伝えしていきましょう。
2020/09/07追記:最近Intelから発表された第11世代「Tiger Lake」CPUについては以下の記事をご覧ください。
【ついに登場】Intel第11世代「Tiger Lake」CPUをモデル別に紹介
この記事を2行で説明すると
- 第11世代デスクトップ向けCPU「Rocket Lake-S」は2021年に登場予定だが、実に8年目の14nmプロセスとなる可能性が高い
- Rocket Lake CPUはComet Lakeと比較して10%程度性能が上昇すると期待される
Intelのロードマップ
まず最初に、Intelのロードマップについて紹介します。
そもそもロードマップとは?
ロードマップについて軽く説明すると、ロードマップとは「これからの計画表」ということです。ロード ‘Road’は「道」を表していて、マップ ‘Map’は「地図」を表しています。つまりは将来を描いた表のようなものですね。IntelやAMDのロードマップというと、通常はCPU等のアーキテクチャの開発計画についてです。
今回お見せするロードマップはTweakers.netが作成したものになります。
2021年も含めたIntelのロードマップ
こちらになります。

2019年の第一四半期から載っているわけですが、やはり「lake」だらけになっています。
一番上はH/Gシリーズで、ハイエンドモバイル向けCPUになります。2020年からComet Lake-Hが登場するようになっています。今の所Comet Lake-Hについてはほとんど話を聞きませんが…
そしてなぜかH/Gシリーズの中にRocket Lake-Uが混じってしまっています。これはたぶんミスです。
上から二番目はUシリーズで、低電力モバイル向けCPU(通常のモバイル向け)になります。このComet Lake-Uについてはもうすでに発表されていて、Corei7-10710Uがそのうちの一つですね。 そして最後の方にはTiger LakeとRocket Lakeも登場しています。 表にはないのですが、第10世代CPUとして「Icelake-U/Y」もあるはずです。 そして、Tiger LakeはIce Lakeの後継になります。
どちらもCPUアーキテクチャにCoveの文字が入っています。
そして三段目がYシリーズで、超低電力モバイル向けCPUになります。 こちらにIcelakeがあるはずなのですが、なぜか表には載っていません。
そして四段目が本題の、デスクトップ向けCPUになります。ソケットはBGAや固定式から「LGA」に変わり、ユーザーによる組み替えも容易に行うことができるようになります。
ちなみにComet Lake-S、それからRocket Lake-SもLGA1200が用いられると考えられています。
関連記事:Intel第10世代Comet Lake-S & 400番台チップセットについて整理してみる
第10世代IntelCPU「Comet Lake」のラインナップ解説
んで、第10世代デスクトップ向けCPU「Comet Lake-S」を2021年から引き継ぐのは「Rocket Lake-S」です。
図にも描いてありますが、Rocket Lake-Sでも引き続き14nmプロセスが使われます。そしてその次の世代「Alder Lake-S」にて10nmプロセスが実現されると言われています。
Rocket Lake-Sの仕様
続いては、Rocket Lake-Sの仕様を紹介します。
アーキテクチャ | Rocketlake |
---|---|
ラインナップ | デスクトップ向け(-S) モバイル向け(-U) |
プロセス | 14nm ++++ |
最大TDP(デスクトップ向け) | 125W |
最大コア数(デスクトップ向け) | 10コア20スレッド(Corei9-11900K?) |
最大動作周波数 | 5.0 GHz程度 |
サポートするメインメモリ | DDR4-2933MHz , 128GB |
PCIeリビジョン | 4.0 |
内蔵グラフィックス | Intel Gen 12(Xe) |
ソケット(デスクトップ向け) | LGA 1200 |
USB | USB 3.2 Gen2x2 |
Thunderbolt | 4 (USB4) |
※あくまで噂程度の話です
そしてデスクトップ向けの一部のラインナップと、モバイル向けで採用される内蔵グラフィックスについてはもう一つの第11世代CPU「Tiger Lake」と同様に第12世代グラフィックス(Xe)となっています。第10世代においてはモバイル向け「Ice Lake」のみより進化したグラフィックスが導入されましたが、第11世代ではデスクトップにも良質なものが搭載されるみたいです。もしかするとグラフィックボードレスの時代が近づいているのかもしれませんね。
そして第11世代 Rocket Lake-SシリーズではついにPCI-e 4.0をサポートするかもしれないと言われています。
詳しくは以下の図をご覧ください。

Rocket Lake-Sに期待される性能
IntelのCPUにおける開発方針みたいなものとして「チック・タック」というのがあります。
簡単に説明すると
チック
同じ構造で、プロセスだけを微細化しパフォーマンスを向上させる。消費電力の低下・発熱の減少などにおいて優秀となり、結果的に性能が向上する。SandybridgeからIvybridgeへの進化はこれにあたる。
タック
プロセスなどの開発基盤は変更せず、アーキテクチャの構造だけを変える開発方法。Sky LakeからKaby Lake,Coffee Lakeなどへの進化はこれにあたる。
という意味であり、チック・タックを繰り返すことでより効率的な開発を可能とする。
これがIntelの開発計画なのですが、よくよく考えてみるとSky LakeからRocket Lakeまでずっとタックではないですか。
タックの主な特徴としては、同じプロセスで構造を改良することによってより効果的にそのプロセスを用いることのできる技術を取り入れるといった感じです。でもさすがに14nmプロセスを温め過ぎですよね。
なのでIntelの14nmプロセスはかなり優秀と言われていますが、でもやはり14nmプロセスにも限界はあると思います。
そして本題に戻り、Rocket Lake-Sで期待される性能についてですが、おそらくComet Lake-Sよりも10%くらいは性能が上昇するのではないかと考えられます。
コア数等は変わりませんが(むしろ最大8コアに下がるかもしれない) クロック数等は上昇すると考えられているため、全体的に安定してComet Lake-Sよりも高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。
Intelのこれから
私自身あまりCPUについて詳しくなかった時に「Ryzen 3世代登場」みたいなムードになっていて、AMDがIntelを圧倒すると騒がれていました。
その時は「Intelの開発時期がズレているだけで、どうせIntelがまたAMDを圧倒するだろう」と考えていましたが、今考えてみるとIntelはどんどんAMDに引き離されていくだろうと思えます。
Rocket Lake-Sが登場するころには、AMDからは第4世代Ryzenが登場しZen2アーキテクチャの第3世代よりもかなり性能が上昇していることでしょう。
関連記事:第4世代RyzenではPCI-e 5.0 & DDR5メモリ対応?
ここで話しているのはあくまでもデスクトップ向けCPUのことですが、モバイル向けCPUについてもAMDの方が優秀になりそうですし、もしかしたらスマートフォン用のCPUを開発している会社が市場に現れるかもしれません(例として、QualcommのSnapdragon 8cxがあげられる)
Intelは「Xe」という名前のアーキテクチャで、グラフィックボード市場にも手を出そうとしているようですが、はっきりいって今更グラフィックボード市場を占領するのは難しいかと思います。
どうなる、Intel
そして来たる、「Intel、入ってない」時代。
第12世代デスクトップ向けCPUについては以下の記事をご覧ください。
Kabylake→coffeelakeはアーキテクチャ変わってないぞ
たしかに変わってないように見えるかもしれませんが、プロセスが14nm +から14nm ++と呼ばれるようになりましたし、Thunderbolt 3に標準対応するようになったりもしました。アーキテクチャ自体の意味はいろいろなとらえ方がありますが、少なからず調整は入ったので全く同じアーキテクチャではないと思います。