HDMI 2.1の特徴を徹底解説!【使う必要ある?】

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パソコンやゲーム機などを楽しむためには必ずモニターが必要です。そして最近ではパソコンやゲーム機の処理能力の向上に合わせてより解像度が高く、滑らかで鮮やかな映像がモニターに出力されるようになってきました。 そんな中注目したいのは映像通信の方式についてです。 有名なものとしてHDMIがありますが、その中でも様々なバージョンが存在します。

そして最近8K映像などが注目されつつある中、同時に注目されてきているのは「HDMI 2.1」です。 この記事では通信方式「HDMI 2.1」について、どのような特徴があるのか、また、その必要性について解説していきます。

 

 

この記事を2文で説明すると

  • HDMI 2.1では2.0に比べてより高い解像度高いリフレッシュレート多配色の通信ができるようになったうえ、ダイナミックHDRなどの機能も追加されてより美しく滑らかに映像表示ができるようになった
  • HDMI 2.1はほとんどの人にとってはオーバースペックで、利用するのに高いコストがかかるため、乗り換える必要性が明確にある人の見利用するのが良い

HDMI 2.1の特徴

まずはHDMI 2.1通信の特徴についてざっと紹介していきます。

 

1.最大48Gbpsの通信速度

HDMI 2.1の一つ前のバージョンは2.0になりますが、こちらでは1レーン当たり6Gbpsの通信速度を実現していて、3レーンで合計18Gbpsとなっていました。これは標準的な8ビットカラーで60Hz(毎秒60フレーム)の4K(3840 x 2160程度)解像度の出力をするには十分となっていますので、ほとんどの人はHDMI 2.0の通信で十分満足できると言えます。むしろ、現在でもまだFHD解像度が主流だったりするのでHDMI 2.0だと十分すぎるって人すらいるかと思います(十分すぎても問題ではありませんが)

そしてHDMI 2.1ではなんとそれより3倍近くレートが上がり、理論上は48Gbpsの通信が可能となりました。48Gbpsというと最新のUSB4通信並みということになりますね。ちなみにレーン数が3から4に増えています。

そして毎秒48Gbの通信では10ビットカラーで毎秒120フレームの4K映像を出力することができるようになっています。8ビットカラーだと1,700万色程度ですが、10ビットカラーだと一気に増えて10億色程度になりますので、より滑らかに色を表現することができます。また、理論上では700億色程度の表現を可能とする12ビットカラーも、8K、60Hzで、HDMI 2.1で出力することができるとのことです。DSCを利用すれば10K、120Hz、12ビットの映像を出力することができるようにもなるそうです。

 

DSC

Display Stream Compressionの略で、VESAとMIPIが共同提案を行っているリアルタイム映像圧縮規格。 最大30%程度までロスレス圧縮を行うことができ、遅延もほぼ生じない。

他のバージョンの出力可能範囲や、Display Portなどの別規格については以下の記事をご覧ください。

HDMI・DP・USB Type-Cの違いを解説【映像端子】

4K出力もまだ使っている人が少ないのに8K以上なんて誰が使うんだよって話かもしれませんが、一応最近発表されたSonyの新型ゲーム機「Play Station 5」やMicrosoftの「Xbox Series X」などについては8K解像度や120Hzでの4K出力をサポートしていたりします。

PS5 vs Xbox Series X【2020年新型ゲーム機頂上決戦】

 

 

2.ダイナミックHDR

HDMI 2.1では新たに、「ダイナミックHDR(Dynamic High Dynamic Range(笑))」をサポートするとのことです。

ゲーム映像や映画の映像においては、暗いシーンや明るく激しいシーンなどの間に明るさの差が生まれます。というか、明るさに差が無いと映像にメリハリがなく、リアリティに欠けてしまいます。 ですが一番暗いシーンから一番明るいシーンまでを考慮しようとすると輝度の幅がものすごく広いことになり、制御しきれません。 そこでHDRでは暗いシーンなどで輝度の設定範囲を動的に変えることで見かけ上、ものすごく広い範囲で輝度などを調節できているように感じさせます

これを、もはやフレーム単位で設定できるようになったのが更に動的である「ダイナミックHDR」です。全体的に暗めのシーンについて輝度の設定値を下げることで、暗めの色をより細かく段階的に選ぶことができるようになります。

つまり例えると、マスの数が限られている絵の具のパレットに出すインクの種類を、一時的に全体的に暗めのものにすることで、暗めの色の中でもそこそこ段階的に色を調節できるようになるという感じです。 逆に明るめのシーンでは限られたマスをすべて明るめのインクで埋め尽くすことで、明るめの色の中でも細かく調節できるようになります。そしてフレーム単位でパレットを交換できるといったところでしょうか。

 

3.VRR

パソコンやゲーム機などで一律に映像が60Hz(60fps)で処理されて出力され、モニター側も一律に60Hzでうまく再生することができれば全く問題がありませんが、重たいシーンでフレームレートが落ちてしまったりするとパソコンとモニターで映像のタイミングがずれ、結果的にティアリングと呼ばれる現象が発生してしまいがちでした。 それに対応すべく登場したのはNvidiaのG-SyncAMDのFreeSyncで、チラツキなどが起きないようにフレームの管理をする機能でした。

そしてHDMI 2.1においては、この機能が盛り込まれました。 こうして可変フレームレートなどに対応することで、映像の出力元を気にすることなく様々なフレームレートで再生することができるようになるとのこと。

 

 

HDMI 2.1を利用するために…

HDMI 2.1の特徴としては主に以上の通りです。 これだけ見ると、HDMI 2.1に乗り換えるに越したことはないと感じますが、もちろんHDMI 2.1に乗り換えるためにはそれなりの条件があります。

 

1.入力先、出力先のサポート

HDMIは基本的に下位互換性があるので使えなくなるわけではありませんが、厳密にHDMI 2.1を利用するためには映像信号の入力先、つまりパソコンでいうGPU(グラフィックボード)などと、出力先、つまりは映像を映し出すモニターの両方でHDMI 2.1がサポートされている必要があります。

モニター側についてもサポートしているものは現時点では少ないですが、特にパソコン側だと、現在サポートしているグラフィックボードは主流であるNvidiaのものでいうとRTX 3000シリーズのみです。RTX 2000シリーズなどはまだ最新のゲームを快適にプレイできるくらいの高性能さはありますが、かといってHDMI 2.1をサポートしているわけではありません。 とはいってもHDMI 2.0の時点で4Kゲームは普通に楽しむことができるので、正直HDMI 2.1を使う理由はそこまでないのではないかと思います。

 

2.HDMI 2.1用ケーブル

HDMI 2.1のケーブル

端子の形状は一緒でも、HDMI 2.1ではレーンの使い方などが異なるため専用のケーブルを利用する必要があります。専用のケーブルには上の画像のようなシールが貼り付けられていて、HDMI 2.1をサポートしていることが示されます。

なお、HDMI 2.1通信では長いケーブルを用いた場合の通信がHDMI 2.0よりも更に不安定になっていることが懸念されているとのことで、少し使い勝手が悪くなるかもしれないです。

 

 

HDMI 2.1は必要なのか?

以上より、HDMI 2.1は現状ほんの一握りの人しか使う意味が無さそうです。高解像度&高リフレッシュレート&より多い配色での通信が可能とのことで、ビジネスにおいてはそこそこ活躍しそうですが、一般消費者において活躍する場と言ったら一部のプロゲーマーくらいでしょうか。

HDMI 2.1に乗り換えて損はないと感じる方もいるかもしれませんが、正直HDMI 2.1に乗り換えるにはそこそこコストがかかりますし、通信が不安定になるかもしれないなどの問題点も、現状のところあります。 そのため、HDMI 2.1に乗り換える意味が明確にわかっている人のみ利用するのが適当です。

なお、先ほども説明したようにHDMI通信には互換性がありますので、そういった意味ではHDMI 2.1をサポートしているデバイスを購入するに越したことはありません。







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