2019年の7月にAMD社から新しい「第三世代 Ryzen CPU」が発売されました。第三世代Ryzen(Ryzen 3000)を正式にサポートしているのは今の所「X570チップセット」を搭載したマザーボードのみとなっています。ですがX570はかなり高価です。そこでこの度、廉価版のB550・A520チップセットが登場するという情報が入ってきたので紹介します。
この記事を2行で説明すると
- B550チップセットはPCI-e 4.0をサポートしない代わりに1万円台で手に入る可能性が高い
- 400番台マザーボードを持っている人は買う必要はないが、持っていない人はB550の登場まで待つべき。そしてB550搭載のマザーボードは”買い”である。
B550・A520チップセットの仕様
まず最初に、この度登場する「B550」チップセットの仕様を既存の「X570」チップセット、加えて「X470」チップセット(前世代)と比べていきます。また、さらに廉価版の「A520」チップセットも登場するとのことで、予想されている仕様を載せます。
参考:https://www.guru3d.com/news-story/amd-b550-specifications-and-details.html
比較項目 | X470 | X570 | B550 | A520 |
---|---|---|---|---|
対応CPU[gen] | 1,2(※3) | 2,3 | 2,3 | 2,3 |
位置づけ | ハイエンド | ハイエンド | 一般 | 廉価版 |
USB 3.2 gen2 | 2 | 8 | 2 | 1 |
USB 2.0 | 6 | 4 | 6 | 6 |
SATA 6Gbps(3) | 4 | 12 | 8 | 4 |
PCI-eリビジョン | 3.0 | 4.0 | 3.0 | 3.0 |
オーバークロック | 可能 | 可能 | 可能 | 不可 |
マザーボード参考価格 | 20,000円程度 | 25,000円程度 | 15,000円程度? | 1万円以下? |
※BIOSの更新により対応
※対応CPUについてはメーカーによって異なります。
以上のような感じになります。
対応CPUについてはマザーボードメーカーによりますが、基本的にX570と変わりません。
そして位置づけとしては「B」付きモデルになりますので一般向けとなります。X570に比べると廉価版となっていて、全体的に機能が抑えられます。
ですが、X付きモデルというよりはB付きモデルのほうが「メインストリーム(主流)」になりますので、どちらかというとB550のほうが標準になるでしょう。
そしてUSB 3.2 gen2(3.2 / 3.1 gen2)については8個から2個に減らされていますが、USB 2.0の個数は2個多くなっています。廉価版チップセットによく見られる構成です。
USBについては3.2 gen2をフルで使う人もあまりいないし、最終的な端子の個数はメーカーが決めることですので、あまり気にしなくてもいいかもしれません。
そして、SATA SSDの性能をより引き出す「SATA 3」ポートについては4個減っています。ですが、前世代ハイエンドの「X470」に比べると4個多いです。
そしてこのチップセットで一番注目すべき「PCI-eのリビジョン」については4.0から3.0になっています。
なんだかんだでPCI-e 4.0への対応にはコストがかかるので、廉価版では3.0までの対応となっている感じです。
実は似たような事例がIntelの300番台チップセットでも見られていて、「Z370」などはPCI-e 3.0に対応しているのですが、「H310」は2.0までしかサポートされていません。
こうすることによってコストを抑えているのです。また、Z370等と差別をしているというのも一つの目的です。
ちなみに2020年1月15日に新たな情報が入ってきたのですが、B550チップセットについてはCPUに近いPCI-e x16スロットとM.2スロットのみPCI-e 4.0をサポートするかもしれないとのことです。ただし、基本的には3.0までのサポートだという認識でいいでしょう。
情報源:https://www.ithome.com/0/468/177.htm
そしてオーバークロックについてはIntelのチップセットとは違い、B550でもできるようになっています。
そして参考価格についてですが、これまでの「X」シリーズ、「B」シリーズのマザーボードを考慮すると、PCI-e 3.0までの対応というのもあって、15,000円程度から手に入るかと予想されます。
また、廉価版のA520チップセットについては、1万円以下で手に入る可能性が非常に高いです。
B550・A520マザーボードは”買い”なのか?
新製品情報が出るたびに「買いなのか」問題について考えています笑
第三世代Ryzen CPUと同時期にX570チップセット搭載マザーボードが登場したときは、「ハイエンド版しか発売されないのか」と多く言われていました。
ハイエンドなことに越したことはないと考えるかもしれませんが、PCI-e 4.0のサポートによってコストがかなり高くなっている印象なので、PCI-e 4.0が必要ない人にとっては無駄に高価になるだけです。
以下の記事にて、PCI-e 4.0は本当に必要なのかを考えていきました。
そして結論を言えば、PCI-e 4.0は今の時点ではあまり必要ないです。そこで、第三世代Ryzenに、BIOS更新によって対応した「X470マザーボード」を使うことを推奨しました。
第二世代Ryzen CPUを使っていて、もうすでにX470マザーボードを持っている人であればあえて第三世代Ryzen用300番台チップセットを買う必要はないといった感じです(ほとんどのX470マザーボードがBIOSアップデートによって第三世代Ryzen CPUをサポートすることができます ※メーカーのホームページを要確認)
ですが、まだX470等のマザーボードを持っていなくて、第三世代Ryzen CPUで自作パソコンを組もうと考えている人はB550チップセットを搭載したマザーボードが発売されたら買うべきです。
予想ではX570よりも、X470よりも安いマザーボードとなるので、第三世代Ryzen CPUを正式にサポートしているマザーボードとしては相当コストパフォーマンスが良くなるでしょう。
更に、前世代ハイエンドのX470と比べたらむしろ性能が高いため、X470マザーボードよりも”買い”です。また、A520チップセットについても、かなり安く組みたいならおすすめできますが、サポートするUSBの数等が少なかったりするので、バランス型のB550がおすすめです。
発売日について
この廉価版チップセット「B550」「A520」を搭載したマザーボードについては2020年の4月前には量産に入るとのことです。
そしてそのあとにすぐ私たちが一般的な市場で購入できるようになるでしょう。
また、2020年の後半には、次世代Ryzen「第四世代 Ryzen CPU」向けのハイエンドチップセット「X670」を搭載したマザーボードも生産されるそうです。
関連記事:第四世代Ryzenのアーキテクチャ「Zen3」の情報
参考記事:https://wccftech.com/amd-b550-a520-chipset-mass-production-q1-2020-asmedia/