【数学的検証】8K解像度など人間の視力的に意味があるのか?

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次から次へと高い解像度が登場している世の中になってしまい、ついに8K時代まで到来しようとしています。HD(1280 x 720)が高解像度だと感じていた時代はどこにいってしまったのでしょうか。もう現在ではHDの36倍の解像度をもつ8Kまでが主流になろうとしているわけです。しかし8K解像度と騒がれてはいるものの、今のところそこまで普及していないですよね。導入コストが高いからという理由ももちろんありますが、そもそも必要ないから普及していないのではないかと思い、今回検証してみることにしました。

 

 

この記事を3文で説明すると

  • 視力1.0の人が最適視聴角45~60度で視聴するとき、4Kが最適であって、8Kだとドットが細かすぎて4Kと見え方がほぼ変わらないので8Kをパソコン・テレビ利用の平面ディスプレイに導入する意味はない
  • 湾曲しているディスプレイVR用ヘッドマウントディスプレイ、画面全体を常に見ず、部分部分を見て作業する巨大モニターなどについては8K解像度を導入する意味がある
  • 8Kは、「繊細さ」ではなく、その「情報量」を活用するべきである

8K解像度とは?

実は前に似たような記事を作ったことがあります。

【2021年最新】おすすめのパソコン用8Kモニターはこれだ!【必要ある?】

この記事では、パソコン用8Kモニターのおすすめのものを紹介していきましたが、結果的にまだ8Kモニターは高すぎるし、8K解像度を利用できる環境が少ない(処理装置、コンテンツ共に)ということで、8K解像度はまだあまり必要がないと結論付けました。そこで、今回は8Kという解像度が必要あるかどうかについて、「視力」という新たな観点から検証していきたいと思います。 8Kの説明については上の記事で詳しく説明していますので是非そちらもご覧ください。

 

8KのKは「千」

前にも同じような説明をした気がしますが、8KのKは「キロ」つまり「千」という意味です。そのため、8Kというのは「8000」という意味になります。この「8000」というのは、ディスプレイの横の画素数を表していて、実際に8K解像度では「7680 x 4320」となっており、横の長さがおよそ8000ドットとなっています。

 

8Kの大きさ

上の図は、ドットの密度が同じだと仮定したときの、解像度別の大きさの比を表しているものになります。もちろんドット密度はディスプレイによって異なるので、同じ32インチディスプレイでも4Kのものもあれば、8Kのものもあったりします。

そして上の図では8K解像度はHD解像度の36倍となっており、非常に大きいことがわかります。アスペクト比自体は同じなので、横の長さ、縦の長さともに6倍ことなるということですね。変な表現をしますと、8Kの映画を出力しているとき、同じ情報量でHDの映画を36本同時に出力することができるということで、莫大な情報量をもっているということがわかります。一時期、HD動画撮影ができるビデオカメラ! みたいな宣伝文句で人気を得ているカメラがたくさんありましたが、いつの間にかHDがちっぽけな存在になってしまいましたね。

ちなみに現在では4Kモニターが主流になりつつありますが、BableTechの管理人は実際に4Kモニターを作業環境に2台も導入しています。以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

【湾曲ってどうなの?】Dell 32インチ4Kモニターのレビュー【S3221QS】

【4K 27インチ】Dell S2721QSモニターを徹底レビュー!【コスパ最強】

4Kモニターはすでに市場に多く出回っており、8Kと比べて実用的で普及率も高いということがわかります。

 

 

8Kを情報量とみるか、繊細さとみるか

なんか打上花火、下から見るか、横から見るか的な表現になってしまいましたが、解像度というのは二つの観点から評価することができます。

解像度というのは一つの色を表現することができる「ドット」の総数を表していて、単純にドットの数が増えることで表示できる文字の数や画像のサイズなどが増えるので、情報量が多くなるとみることができます。

一方で、同じ32インチのディスプレイにドットを4K分だけ詰めるか、8K分だけ詰めるかで、ドット一つ当たりの大きさが異なってきます。この時、8K分だけ詰める方がドット一つ当たりの大きさが小さくなって、同じ大きさの文字を表示しようとするときに8Kの方が細かく、繊細に表現することができます。 つまり、高解像度というのは「繊細さ」を高めることができるということです。

 

情報量を活用する例

高解像度を「高情報量」として活用したときの例として、比較的大きなディスプレイに8K解像度を導入したときがあげられます。この時、大きなディスプレイを4分割して仮想的に4画面化する機能などを盛り込むことで、一つの画面で情報量をかなり多くすることができます。実際に、市販の4Kモニターではこの機能が搭載されているものが多いです。

 

繊細さを活用する例

繊細さを活用する例としては、映画やテレビなど、一般的にはフルHDなどの解像度で再生されるようなスケールのものを8K解像度で再生しようとする場合などですね。また、パソコンでも、32インチくらいの大きさに8K解像度を導入しようとしている例では確実に、繊細さを活用しているとみることができます。(32インチであれば8Kにしたところでドットが小さすぎて実質的に情報量が増えるとみることができない)

このような例では、1つの画面でいかに多くの情報を表示できるかというより、同じ映像をいかに細かく映すことができるかといった観点です。

 

パソコンで映画を見る場合などは一旦置いておいて、作業をする場合については高解像度の情報量を活用していることが多いです。 映画などの映像鑑賞については繊細さを活用していることが多いです。

つまり言い換えると、パソコンモニターにおける8Kはどちらかというとドット密度が高すぎない方が良く、テレビにおける8Kはどちらかというとドット密度が高い方が良いということになります。

ただし、パソコンの方がテレビや映画に比べて比較的短い視聴距離をとるため、その分ドットの粗さが目立つことになります。結果的に、動画視聴にせよ作業にせよ、同じくらいのドット密度で見えた方が良いのです。

 

 

ドット密度と視角

 

ドット密度

説明もせず平然と「ドット密度」という言葉を使っていますが、いったんおさらいしてみると、ドット密度というのは狭義では「1インチの間に詰まっているドット(画素)の数」ということです。ただ、ここでは広義的な意味合いとして「一つの画素の大きさ(小さい方がドット密度が高い ※ディスプレイの大きさは固定しているとして)」をあらわしているということにします。

つまり、ドット密度が高い方がドットを識別するのが困難になるということですね。人間が本気を出せばAppleのiPhone 13 Pro(約500ドット/インチ)やVRゴーグルの内部についているディスプレイ(3,000ドット/インチ程度のものもある)などの高密度のディスプレイを開発することができるわけですが、スマートフォンについては画面が小さいうえに手にもって目の近くで操作するため今回は関係ないとして(それにしても500ppiは高すぎるが)

VRゴーグルについては本体が小さいため、小さなディスプレイで高解像度を実現し、それを光学を利用して遠いところに大きなディスプレイが存在しているように見させるように作られているため、今回は関係ないとしましょう。

パソコン用モニターや映画観賞用のテレビなどについては、このような高解像度にしても人間の視力的に意味がないということですね。 実際にここでは、具体的な視力と、ドットの識別力について議論していきます。

 

視角

今回いろいろ調べてて出てきた用語として「視角」というものがあります。視角というと、「死角」や「視野角」などの言葉が想像されますが、いずれも関係ありません。視角というのは視力と密接にかかわっているもので、以下のイメージ図によって定義されます。

 

視角について
視力の定義(ランドルト環を用いた)

おそらく視角には他の意味もある気がしますが、ここでは曖昧さ回避として視角といったら上の図のような「視角」を表していることとします。

例えば視力が1.0のとき、スクリーンまで5m程度離れているとして、1.454mmの隙間を認識することができます。この時、視角と呼ばれるものは「1分」つまり「1/60度」くらいの細い範囲になっています。視力は視角と反比例の関係にあるため、視力が低くなると視角が大きくなり、Cマーク(ランドルト環)が大きくないと欠けている位置を認識することができない状況になってしまいます。 この説明だけだと、ランドルト環を全体的に小さくしてスクリーンまでの距離を近づけても視力が測れるみたいになってしまっていますが、スクリーンまでの距離は基本的に5mと決まっているようですね。これで近視かどうかがわかるということですね。近くで測る視力については遠視かどうかということで、とりあえずここでは議論しないことにします。

またここでは、世の中の基準となっている「視力1.0(A判定)」の場合について議論します。

その時、上の図に書いてあるように、三角関数の引数を「度」を単位として与えるとして認識可能な隙間aの長さは

ということになります。aの単位は[m]で、スクリーンまでの距離lの単位も[m]です。つまり視力を1.0と固定したとき、aはlに比例するということで、単純にスクリーンまでの距離が離れると認識できるドットの大きさが大きくなり、近づくと小さくなるということになります。

必要ない気もしますが、グラフ化すると以上のとおりです。

 

 

視聴最低距離とドット密度

スクリーンまでの距離という言葉が登場しましたが、一体どれくらいの距離で映像を見るのが最適なのでしょうか。それはもちろん、スクリーンのサイズや視聴目的によるでしょう。個人差があるため決定することはできませんが、私の意見だと以下の通りです。

 

シチュエーション別視聴最適距離

テレビについては首を動かすことなく、同じ姿勢で全体を見渡せられる方が良いため比較的視聴最適角(造語)は小さめが良いでしょう。 パソコンの場合、なるべくモニターと近い距離で、多少首を動かしてでも多くの情報を得られる方が良いため、視聴最適角は大きめが良いでしょう。

なお、VRや一部の映画など、とにかく視野を埋めたいシチュエーションの場合は、最大でも120度といったところです。人間の視野は左右合わせて200度ありますが、両目で見える範囲は120度で、そのさらに外側については滅多に使わない(振り向いたりして観る)部分になります。

つまり、基本的には45度~60度、最大で120度くらいの視聴角をもつと仮定することができます。

 

こちらもグラフ化してみました。ただ今気づいたのですが、視聴角120度までいってしまうと画面の端までの距離と画面中央までの距離に大きな差が出てしまうため、通常の平面ディスプレイでは圧倒的に見にくくなってしまいます(VRヘッドマウントディスプレイなどは中で湾曲している)

そのため、ここでは45度と60度のみについて議論しましょう。また、画面が近すぎる場合(スマートフォンなどの場合)は今回除くため、パソコンおよびテレビを利用するときの一般的な距離として、このグラフの値域が0.5~3.5m程度になるように、定義域を0.5m~3mとしましょう。

 

そして以上二つのグラフより、

以上のようになります。つまり視力1.0と固定したとき、画面の幅と認識できるドットのサイズは比例の関係にあるということですね。ただし、視力1.0の人の視角がどの距離でも1分ということもなく、近視よりだったり遠視よりだったりで個人差があるため実際はここまできれいな直線にはならないでしょう。

 

 

8Kの画素密度

アスペクト比を16:9と固定して、そのドットの大きさを求めてみましょう。まず、8K、4K、フルHDの解像度別に、画面の横幅とドット一つ当たりのサイズの関係をグラフ化してみます。

 

当然ながら画素数を固定すると、画面の横幅が長い方がドット一つ当たりの大きさが大きくなっています。このグラフに、先ほどのグラフを埋め込んでみましょう。

 

 

8K解像度の必要性

それではここで、二つのグラフを融合してみます。

このグラフ、非常に興味深いんですよね。青と緑のラインがそれぞれ、テレビにおける最適なドットサイズと、パソコンにおける最適なドットサイズを表しています。フルHDについてはドットのサイズが比較的大きく、視力1.0の人が利用するにはちょっと低い解像度(画面が粗く見える)となっています。 二年前の私はフルHDという解像度に憧れていて、実際にモニターを手に入れたときは本当にテンションが上がった覚えがありますが、物足りないくらいの性能だったということですね。まぁ最も、その時すでに視力は1.0もなかったのでちょうどよかったのかもしれませんが。

そして4K解像度については、テレビ視聴においては十分であるとなっています。パソコン利用についてはちょうどよいくらいですかね。すべてのグラフが原点を通りますので、これらのグラフが交わるということはないですが、両者は限りなく近い値をとっていますね。つまり、パソコンおよびテレビ視聴(視聴角45度~60度程度)については、4K解像度で十分ということになります。

そして8K解像度はかなり余裕をもって下の方にいますね。つまり視力1.0の人は視聴角45度~60度程度では8Kと4Kの違いをほとんど(厳密には、多少異なるだろう) 感じることができないということになります。

違いを感じるときは、視聴角を60度よりも大きくして、視野いっぱいに画面が広がるような状況(画面の一部に近づいて凝視している状況など) や、視力がさらに高い場合などになります。

画面の一部に近づいて凝視するというのはつまり、文字が小さいということですので画面を大きくすることで解決するでしょう。もしくは、画面の一部のみを常に見ることが想定されている巨大モニター(仮想4ディスプレイなど)などでは8K解像度が有効になってくるのかもしれません。つまり、8Kの情報量を活用した事例ですね。

そして、視野いっぱいに画面が広がるようにすることで没入感に浸らせるものがありますが、平面ディスプレイでは端までの距離と中央までの距離に大きな差ができてしまい、映像が歪んで見えてしまいますので、湾曲させる必要があります。 つまり、湾曲している巨大で視野を覆うようなモニターについては8Kを有効活用することができそうです。

また、視力が1.0より大きい場合については正直あまり考える必要がありません。視力とはだいたい矯正しても1.0程度ですし、それ以上にしたら疲れてしまうでしょう。 というかそこまで細かいドットを識別できるようにしたところで、正直そこまで繊細な映像をみるかといったらそうでもなさそうです。

 

 

結論

つまり結論として、平面ディスプレイをパソコン利用及び映画鑑賞などのテレビ利用する場合は、4K解像度が最適であり、8K解像度は人間にはオーバースペックである。といえます。

ただし特別な場合として、常に画面全体を見ないような、作業用巨大モニターを使う場合については8K解像度が有効になる可能性が高いです。ただその場合、そこまで巨大なモニターを使うのではなく、単純にモニターを複数枚並べてマルチモニターにすれば良いのかと思います。

とにかく、8K解像度に「映像の繊細さ」を求めてはいけません。繊細さの時代は4Kで終わりました(VRなどを除いて) しかしだからといって8K解像度が必要ないというわけではなく、8K解像度の「情報量」を活用することで、8K解像度の意味を感じることができるだろうということですね。 私の個人的な意見としては、8K解像度のディスプレイを作るのではなく、8K解像度の映像を送れる技術を利用して、一つのケーブルで4枚の4Kモニターに一気に出力するなどの機能を作るなどして活用できれば良いのではないかと思っています。

また、平面ディスプレイではなくて湾曲しているVR系や没入系のディスプレイに活用するべきですね。

 

参考記事:https://www.nidek.co.jp/eyestory/eye_5.html







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期限:2021/05/31

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